花火 1
一瞬だけ明るくなる空に誘われるように顔を上げる。
ずっと遠く、かすかに浮かぶ花。
小さな輪が広がって、すぐに消える。
また上がる。
輪が広がって、消える。
繰り返す。
いつも遠くから見ているばかりなのは、花火だけじゃなくて、恋も同じ。
終わりを告げたのがいつのなのか分からないのも同じ。
その場を立ち去りがたくて、ただ待っている。
暗い空がもう一度だけ、明るくなるのを。
ただ待っている。
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