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ほろ酔い系。
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#小説

花火 1

一瞬だけ明るくなる空に誘われるように顔を上げる。 ずっと遠く、かすかに浮かぶ花。 小さな…

6

ニブイヒト。

「もしもしー?」 「今忙しかった?」 「あ、だいじょうぶ?そっかそっか」 「んー、何して…

5

花火 2

川べりの道 日が落ちて 昼間の暑さが嘘のようにひんやりとした空気の中 私とあなたは並んで歩…

6

Not Deleted

何の予定もない日曜の午後。誰かを誘おうにも、それも億劫。 つけっぱなしのテレビでは筋のよ…

6

冷えた関係

ねえ 暗くなってからしか会えない私たちって いったいどんな関係? これだけはわかってね 私…

10

こぼれたミルク

あ。 ちょっと泣きそう。 そんな気分になったのは、 さっき飲んだビールがまわっているせいな…

10

痛い靴

おろしたばかりのパンプスが 足に合わなくて痛い 買う前に ほんとうは少し迷っていた つま先の細いデザインは 大人っぽいけれど 足を入れた瞬間の 小さな違和感 それは 私とあのひとの 最近の関係に似ているかもしれない 相手に合わせてばかりの恋は どうしたってずれや傷ができる かかとにできた靴ずれと 窮屈に押し込められた小指の痛みで 信号が青に変わっても もうこれ以上歩けない 今日はもう あなたにも会いに行けない

タカラモノ 1/3

届きそうで届かないものほど欲しくなる。 手も、指先さえもふれることができないものほど。 …

5

タカラモノ 2/3

タカラモノ 1/3 酔ってる?と聞くのがはばかられるほど、彼女は酔っていた。 僕よりも終電の…

2

タカラモノ 3/3

タカラモノ 1/3 タカラモノ 3/2 夜の間はけばけばしい光が誘蛾灯のように見えたはずなのに、…

3

インラブアゲイン

昔好きだった人に偶然会った。 たまたま立ち寄ったCDショップ、 私はひとりで、彼もひとりで。…

21

ハート

コンビニからの帰り道、落ちていたハートを見つけた。 そのまま通り過ぎようとして、一、二歩…

14

捨てないで。

私たちは狭くて寒い部屋に押し込められて、毎日じっとお客さんを待っている。 透明な扉から覗…

11

ラーメン・餃子・生ビール

顔なじみの店員に、とりあえずビールと餃子の注文を告げた後、 「またけんかしたの?」 私はいつものように、こう切り出した。 あなたは曖昧に笑っているけれど、やっぱり図星か。 「今ダイエット中なのに。夜10時以降に食べちゃだめなんだから」 「じゃあ食わなきゃいいじゃん」 「じゃあこんな時間に呼び出さないでよね」 こんな言い合いも、いつものこと。 「ま、ここは俺がおごるから」 ちょうど運ばれてきた生中のジョッキを、二人で何となくぶつけ合う。 かんぱーい、と小さく呟いたあなたに 「