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【ポーカー】4betpotの戦略検討①【IPからのCB→ターンでオールイン】


なぜ考察するに至ったか。

4Betpotのプレイが上手くない

 筆者がポーカーの勉強をし始めて結構な期間が経っていますが、「まずは2betpotだろう」と2betpotの勉強が多く、3betpotや4betpotの勉強がおろそかになっていました。
 その結果、2betpotでは比較的勝って、少しずつ勝ちを積み重ねても、3betpotや4betpotでその勝ち分を失い、元のスタックも削られていくことが多くなり、ストレスを抱えています。

逆に4Betpotのプレイはシステム化しやすいのでは?

 そういったわけで、頻度はそこまで無いですが、ポットが大きく、勝ち額に影響が大きい4betpotを勉強しようと思いました。
 よくよく考えれば、4betpotはポットサイズが50bb近くに膨らんでいて、エフェクティブスタックも75bb近くになっています(最初が100bbの場合)。SPR(スタックとポットの割合)も75/50=1.5と小さいので、当然できることは少なく、2betpotのように3つのストリートで継続してベットすることもできません。
 しかしながら、「できることが少ない」というのは裏を返せば、アクションの分岐が少なく、「システム化して学習しやすい」ということだと思いました。

実際にGTO+で解析してみたら

 それなら、まずはUTGvsBBの4betpotを解析してみようということで、以下の画像のとおり設定し、GTO+に解析してもらいました。

プリフロップのレンジ

 上のプリフロップのレンジについて、UTG側は自分がGTOwizardの頻度を元に考えた単純戦略のハンドレンジを用いています。一方で相手が自分と同じレンジで戦ってくるわけではないので、BB側のレンジはGTOwizardのレンジを参考にしています。単純戦略のハンドレンジに興味がある方は以下の記事を読んでいただければ幸いです。

 それ以外の設定については、以下のとおりです。

 気になる結果ですが、例えば下の画像はJh8s6cというボードでのUTG側のCBのレンジを示したものなのですが、ベットサイズが25.06(ポットの50%ほど)しか選択肢がありません。
 設定では、33%、75%、125%のベットサイズを入力したはずなのに1つしか選択肢が無いということは設定の他の部分がおかしいのでは?と思い、いろいろと確認してみると、上画像赤枠の「With only 2 bets left, get the money in smoothly」のオプションがonになっていたことが原因でした。

 ↑参考にさせていただいた記事
 ここの部分は、「スタックとポットの比率(SPR)が低いときには、任意に設定したベットサイズは無視され、幾何学的な大きさ(ジオメトリックサイズ)の2つのベットで資金が投入される」というオプションのようです。
 ポットサイズが50bbでエフェクティブスタックが75bbの時、50%の25bbのベットをしてコールされた場合、ポットは次のストリートで50+25+25=100、スタックは75-25=50となり、次も同じ割合の50%ベットでオールインすることができます。
 このように同じ割合でベットし続けて、最終的にオールインまで持って行くベットをジオメトリックサイズのベットと言いますが、これは非常に利益的で、相手を追い詰めることができるベットだと言われています。
 4betpotのジオメトリックサイズが50%に近かったのは単なる偶然ですが、ポットの半分というのは非常にわかりやすいので、いっそのこと50%のベットを2回するという前提でシステム化すればいいのではという考えに至りました。

フロップで全レンジ50%CBを打てれば

 片方のレンジがもう片方のレンジより強い場合(レンジアドバンテージがある場合)、フロップで全レンジ安めのCBを打つ戦略というのは、EVロスが少なく、すぐに実現可能な戦略として、近年一般的になってきています。
 50%のベットを2回する場合、フロップで全レンジで50%ベットのCBを打ってEVロスが少なければ、バリューとブラフのレンジ構築を考えなければならないのは実質ターンの1回のみとなり、学習しなければいけない要素が減ります。以降の章で全レンジ50%CBをした場合の集合分析の結果について解説します。

(補足)SPR低いなら最初からオールインすればいいのでは?

 少し話がそれますが、ポットサイズが50bbでエフェクティブスタックが75bbなら、もうオールインしてもいいのでは?という考えも浮かびました。ベットする回数が1回ですめば、アクションによる分岐も少なく、相手にレイズを返される危険すらありません。また学習するにも非常に好都合です。
 こちらも気になって、GTO+による解析をかけてみました。結果は以下のとおりです。

 全レンジでオールインをした場合と、全レンジでチェックをした場合のEVlossを示しています。セルが緑に近いほどその戦略が有効(=EVlossが少ない)ことを表しています。
 驚いたことに、全レンジオールインと全レンジチェック、ボードによってどちらか適切な方を選べば、EVlossはほとんどないことが分かりました。
 しかしながら、全レンジチェックをすれば良いボードの法則性を見出すのが非常に難しいと感じました。
・Qが入っているボード
・モノトーンボード
・下がペアになっているボード
・J,T,6,5,4などUTGは持っていないがBBのレンジには含まれるボード
で全レンジオールインができないという仮説は立ちましたが、全てのボードについて分類できる条件分岐を言語化することができませんでした。
 したがって、フロップでいきなりオールインする戦略は今回は検討しないこととします。

GTO+による集合分析結果

UTGvsBB 25.5bb 4betpotの場合

プリフロップのレンジ

 UTGのレンジがあまりにも強すぎるおかげか、ほとんどのボードでall50%CBの戦略が有効です。また、allcheckの戦略も多くのフロップで有効です。強すぎてスロープレイしてもいいよということなのでしょうか。
 セルが白いボード(=all50%CBが有効でないボード)を見てみると、AhQc3dやKhQc5cなどQが含まれていることが分かります。一方で、Qd9c3dなど、Qが含まれていてもall50%CBが有効なフロップもあります。これらの違いを考えると、Qが含まれている かつ AorKが含まれているボードはall50%CBが有効でないという認識で良さそうです。
 all50%CBの戦略が使えないボードでのチェックレイズ/コールやディレイドCBの考え方については、別の機会に検討したいと思います。

BTNvsBB 24bb 4betpotの場合

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