ヒスイヌメルゴンVSTARでチャンピオンズリーグ Top 32 になるまで。そして、これから。
1. 最初に
2023シーズンお疲れ様でした。上述の成績を残せたので、日本の横浜で開催されるWCS2023の前に、今期のまとめを書いておきます。
2.「この環境が嫌いだ」
Dレギュが落ちた後の環境は、小物はロストに、大型はミュウに淘汰される。サーナイトのような器用なデッキは稀である。
ルギアやアルセウスやパオジアンのような、どこかに不安定さが残るデッキを使うことを強いられるという環境で、多くの人がロストへと指向し逃げていった。
3.「ロストミラーをやりたくない」
ロストへと逃げていった一人が私だ。ただ、ロストバレットのようなデッキは毎ターンのハードルが高いことやミラーにおける対応力が要求されること、ハンド干渉に対して運ゲーなこと、勝てても負けても接戦になることから、決して心地良いとは思えなかった。
では他のデッキを使った方が良いという結論になるが、2022年にミュウとDレギュ落ち前のルギアを散々使っていて、一度も勝てなかった事が尾を引く。
4. 救いの光
友人のDレギュ落ち前最後のシティリーグに持ち込むデッキの指導・監修をした。その際のデッキがこちら。
結果、シティリーグベスト4になってくれた。振り返ればこの時から新環境にマッチしたデッキを見つけることができたと確信したわけだ。
ロストヌメルゴンを最初に使い始めたのは2022年8月であったが、その頃はまだDレギュレーションを使えたことから環境適性が無かっただけのように思う。新レギュ環境当初はサーナイトですら流行っていなかった。
5. 「環境があまり変わらない」
最近の傾向である。インターネットの普及によって、膨大な情報と強いデッキリストを入手することができる時代になった。そのせいもあってか、古の強豪プレイヤーたちも自ずと環境デッキを軸として、その中から答えを見つけ出そうとする傾向にあると感じた。競技人口が増えた今、以前までの攻略法が通じないことは目に見えて明らかである。
環境デッキが変わらずメタが取りやすいことから、自然とTier 1のデッキがマークされがちになる。メタを乗り越えるパワーがあるからこそのTier 1であるが、私には使いこなし乗り越えられる自信がなかった。
6. 練習方法
ジムバトルへ出る。自宅ではリモート環境が欠損したので、(お世話になったPTCGO→)PTCGL。
7. 参考にしているもの・CL2023各デッキタイプ分布
海外大会の結果とデッキリストと環境分布。前回のCL環境分布(毎回大型大会の結果を私個人がまとめている)。無料のNote記事。
記録のために2023シーズンの入賞デッキ分布をここにまとめて置いておく。無断転載・盗用禁止。
☆ CL2023横浜
☆ CL2023京都
☆ CL2023愛知
☆ CL2023宮城
☆ CL2023新潟
☆ JCS2023
8. 直近の大型大会で使用したデッキリスト・成績・マッチング
☆ CL2023宮城 11-3 Top 32
Day 1 14位
1回戦 ギラティナ 4-6 ×
2回戦 ロストリザードン 5-2 ◯
3回戦 エレキミライドン 6-4 ◯
4回戦 連撃ウーラ 6-4 ◯
5回戦 一撃ルギア 2-4 ◯
6回戦 白ルギア 6-5 ◯
7回戦 一撃ルギア 4-5 ◯
8回戦 ロストリザードン 5-4 ◯
9回戦 ミュウ 5-4 ◯
Day 2 17位
1回戦 白ルギア 0-6 ×
2回戦 ミュウ 6-4 ◯
3回戦 アルギラそらピカ 6-3 ◯
4回戦 ロストカイオーガ 6-3 ◯
5回戦 一撃ルギア 3-3 × (配信)
☆ CL2023新潟 6-3
1回戦 ピカチュウV-UNION 6-4 ◯
2回戦 ゾロアークバレット 6-1 ◯
3回戦 パオジアン 1-2 ◯
4回戦 アルセロコンヌメ 4-6 ×
5回戦 ギラティナ 1-6 ×
6回戦 パオジアン 4-4 ◯
7回戦 サダイジャイダイトウ 6-2 ◯
8回戦 パオジアン 4-0 ◯
9回戦 ロストカイリュー 0-1 ×
☆ JCS2023 3-3
1回戦 アルギラ 6-4 ◯
2回戦 ロスカイ 6-2 ◯
3回戦 炎アルセ 6-3 ◯
4回戦 ロスギラ 3-5 ×
5回戦 ロスVバレ 3-6 ×
6回戦 ロスバレ 0-1 ×
9. 細かい採用・不採用理由
<採用>
・キュワワー 4
スタートすると、嬉しい。
・ヒスイヌメルゴンV・VSTAR 2-2
2面立てるプレイングをしたい人は3-3が安定して良い。練習を積み重ねると分かるが、3枚あるからと甘えてロストに送りがちなことに気付くべきだ。
2-3の頭でっかち構築は推奨できる。なぜならば、VSTARへのアクセスのしにくさ、Vがスタートしてしまうことへの懸念、それらのバランスを考慮すると存外まともな配分だ。
個人的には、青天井が見える対面以外では1面しか立てないので、やはり2-2推奨。
弱点がなく、耐久力があり、回復もできる最強ポケモン。あと可愛い。
・ザマゼンタ 1
キーパーツ。ヌメルゴンを1面しか立てなくて良いとする理由。相手目線は取りたくもない非ルールのザマゼンタを決して無視することができない。VSTARやVMAXに対して、おとぼけスピット110+220=330や、げっこうしゅりけん90+220=310で見ることができる点が大きい。
・かがやくゲッコウガ 1
かくしふだによる手札補充。
手札に来てしまった基本エネルギーは、手張りするか、トラッシュしてからふつうのつりざお(エネルギーリサイクル/すごいつりざお)で戻すしかない。ミラージュゲートで山札にエネルギーがない時の絶望たるや。
アルセウスギラティナデッキを例とする。げっこうしゅりけんでアルセウス・ギラティナに90・90を与えておくことで、アイアンローリングやかたきうちで返せるようになる。
水エネルギーが自然に採用されているため、ワザを使いやすい。
・ウッウ 1 or 2
ウッウが2枚欲しい対面はロストギラティナやサーナイトである。
ギラティナへの打点を先に当てる時や、マナフィを倒してからげっこうしゅりけんを通していく時に必要だ。
サーナイトに対しても、序盤からボスやヒモでラルトスとキルリアを狩っていくために必須である。
・ネオラントV 1
アクロマの4.5枚目。絶対にポケギアを信用してはいけない。ブルーの探索が環境だったころに学んだことだ。ハイパーボールが当たりになるため実質アクロマ7枚体制となる。
崩れたスタジアムまたはアクアリターンで盤面からご退場いただく。
ロストが苦手な終盤のハンド干渉にも一役買う。ここでいうハンド干渉とは、相手が使う場面と自分が使う場面の両方を指す。
・ドラピオンV 1
ミカルゲでも可。その場合はネオラントが抜けてコンセプトが壊れる。JCS決勝のミカルゲ入りサーナイトvsミュウの試合の結果からも分かるように、ミュウに勝ちやすいのはドラピオン入りだという答えを持っている。そしてこれだけは言いたいが、対策札が入っていないとミュウには逆立ちしても勝てない。
たまにサーナイトを叩くが、その場合はキバナが欲しい。
・バトルVIPパス 4
初手で来てくれたら、嬉しい。1枚あれば盤面形成ができる。
ハイパーボールのコストで切れるので、非ルール主軸のロストよりもハンド干渉に無抵抗ということでもない。
・ネストボール 2 or 3
最近はネスト3枚がよいと感じている。ミュウ対面ではドラピオンやヌメルゴンを後から置くときにめちゃくちゃ大事なカードとなる。
・ハイパーボール 2
ヌメルゴンVSTARを持ってこないとVの250耐久では到底耐えられない。
ネオラントとの相性が良い。
・いれかえカート 3
メロンの不採用で後述する海外のデッキではポケモンいれかえがメジャーである。ヌメルゴンがバトル場から下がるメリットがないと考えているので、たねへの回復手立てを確保できるいれかえカートを採用している。
・あなぬけのヒモ 3
実質グズマ。
・すごいつりざお 2
結局毎試合使うので2枚採用。後述するが、1枚をエネルギーリサイクルでも良さそう。
・ミラージュゲート 4
必要な時に全然手札に来ない。最初に山札を見る際はゲートとつりざおの枚数も確認すべし。
・ロストスイーパー 1
相手の雪道を割る。アクロマが撃てないターンがあったときに間に合わせる時必須。
・こだわりベルト 1
足りない打点を補う。ボスでベンチのVを倒す時に一役買う。
・勇気のおまもり 1
マナフィを採用しないで済む。ウッウでウッウを取られない。他にキュワワー、ザマゼンタ、ネオラント、例外的にミュウ相手のヌメルゴンVやドラピオンVに付ける。
入れなくても怒らない。ネストボールとか入れ替え札の方が良いと思う。
・アクロマの実験 4
手札に来ると、嬉しい。流されると、悲しい。
・ボスの指令 3
ヤミラミ入りのデッキでもそうでなくとも、ボスを1枚や2枚にしている人が多い印象。
絶対に3枚欲しい。2パン前提なので、撃ち漏らしたポケモンに止めを刺すことが非常に重要である。ヌメルゴンの耐久力のおかげでポケモンを育てるターンが減っていて、その代わりに相手の準備中のポケモンに先殴りすることができる。序盤でおとぼけスピット、終盤のフィニッシュ場面にゲーム全体で使う。非常に大事。
・ナンジャモ 1
ロスギラが増えてきた頃に、アビスシークの後に能動的にハンド干渉をすることができるナンジャモかジャッジマンが欲しかった。あまり効果が無いので気休めではある。後1にアクロマがない時によく使う。
・ツツジ 1
雪道ツツジさいつよ。ただし、自分が撃つ場合に限る。キュワワー→ヌメルゴン(相手サイド残り3)→ヌメルゴンV、ザマゼンタ置くミラージュゲートツツジかたきうちが良い。
・頂きへの雪道 1
最強スタジアム。回復した後は特性を使う場面がほとんどないため、置いてよい。
・崩れたスタジアム 1
前述の通りネオラントやスタートしたドラピオンをよく消すが、傷付いて回復して傷付いた後のヌメルゴンを消すと相手が喜んでくれる。サーナイトやミュウ対面でのベンチ狭窄による嫌がらせ。
・ボウルタウン 1
スタジアム枠兼ボール。相手にタダ利用されて嫌だと言う人へ、相手がボウルタウンを使うデッキは、パワーが低いデッキであるケースが多く、ヌメルゴンが基本的に有利に働くことが多いので、気にしすぎないで大丈夫。
・水エネルギー 5、鋼エネルギー 4、ジェットエネルギー 2
体感水エネルギーの方が多く使うため。ザマゼンタに手張りしにくいから、本当は5-5-2にしたい気持ちもある。
ジェットエネルギーは1試合につき1回使えれば効果があるという考えで2枚にしている。
<不採用>
・マナフィ
要らない。置いたら取られてサイドを1枚タダであげるだけだ。このデッキにおいてはキュワワーを守るためだけのカードでしかなく貢献度が低い。
盤面にはキュワワー2(倒されてからの3枚目)、ゲッコウガ、ウッウ(orザマゼンタ)のサイド4 or 5枚分に加えてヌメルゴンを倒さなければいけないハードルを相手に押してつけていくことから、マナフィのサイド1枚分は負けに直結する可能性が高い。
ヌメルゴン対面のプレイングを分かっていない人が多く、げっこうしゅりけんをキュワワー2体に当ててくれる。リソースを割いてくれて非常に助かるので、いつも誘っている。
・ヤミラミ
サーナイト対面やギラティナ対面ではギリ使うかもしれない。しかし、なぜこちらからサイド1枚をわざわざ献上しに行く必要があるのか。
ただでさえ枠がないのにエネの分配もバラけてしまうし、スタートした時やげっこうしゅりけんの的になる時なんてほとほと弱い。
他に超エネルギーを使うポケモンもいない。そして何より、このデッキのロストの枚数のゴールは7枚である。ロストマインを使いたいだけなのであれば、ロストギラティナデッキの方がロストの枚数を溜める点、超エネルギーを自然に採用できる点ではるかに優れており、このデッキで無理矢理に使おうとすることは愚策である。
それに、ロストマインは1試合に3回ワザを言えたら効果を発揮できるワザである。ボスを使わずに後ろのポケモンを倒すことはできるが、ツツジ・ナンジャモ・ジャッジマンなどのハンド干渉をされながら前の元気なアタッカーにHPの低いヤミラミを簡単に倒され、苦境に立たされることの問題から目を背けている。
・メロン
海外で序盤のエネルギー加速手段としてメロンを多く採用したデッキが勝っていた時期があった。日本ではそこまで流行っていない。理由として考えられることは、BO3では先攻が必ず1度取れて、2ターン目にアイアンローリングを撃つことができるという保証があるからあるからではないか。BO1では確率上おおよそ半分の試合で後手を取ることになり、後2でアイアンローリングを使うこともしやすくなるだろうが、反面ロストは溜まっていない状況にあるため、先攻のアドバンテージをひっくり返す準備ができていない。ザマゼンタやゲッコウガが活き辛く、ヌメルゴンに頼り切ってしまうデッキとなる。相手目線からそれが分かることもまた問題点である。
・キバナ
ヌメルゴンに耐久力があり中々倒されないこと、ヤミラミを採用していないことからキバナを有効に使える場面が少ない。手札が増えるわけでもない。
・ビーチコート
相手にタダ乗りされるのが癪。回しにくいと感じた人は入れてよい。
・エネルギーリサイクル
よくミラージュゲートで山にエネがない人にオススメ。意外とすごいつりざおでポケモンを戻す機会が少ないから採用を検討中。
・ヒスイのヘビーボール
0.5枚分の価値しかないカードである。ポケギア同様信用していない。それならまだ現物を増やせという主義。たねポケモンがサイド落ちしていなければ価値が0のカード。
そもそも拾いたいたねポケモンがサイドにいたとして、一体どうやってヒスイのヘビーボールに触るのか。サイド捲った方がはやいと思う。
10. 後書き
長々と駄文を書き連ねて読みづらく、大変失礼しました。
今シーズン関わってくださったすべての方々に感謝します。
一先ずそれなりの成果を出せたことには満足しています。
今期は友人たちがCLで優勝・準優勝しました。2人とも尊敬する強いプレイヤーなので、本当におめでたい。2023年8月11〜13日に横浜で開催されるWCSも現地で応援するので、頑張ってほしい。
盾目指して来シーズンもがんばるぞー。
また次回(?)