WCS優勝デッキってほんとすごい。
こんにちは、ポケモンカードカレッジの凛です。
今回は先日ロンドンで行われた世界大会、WCS2022の結果優勝されたOndřej Škubal選手のデッキにフィーチャーして僕がわかる範囲でのデッキ考察をしていこうと思います。
※あくまで個人的な思考ですのでご理解お願いします。
今回の記事の内容は既にYouTubeで公開しております。音声付き、モーション付きで楽しみたい方はこちらも!
実際の対戦シーンはこちら↓
デッキコンセプト
環境に多くいるパルキアVSTAR、ついで多いと予想されるアルセウスVSTARやミュウVMAXなどのポケモンに対して有利なポケモンをぶつけながら、マリィや頂への雪道などで相手のプランを妨害しつつじわじわと盤面の押し合いを優勢にしていく、といったところでしょうか。
シマダダイチ選手も仰ってましたがこういったアルセウスVSTARから色んなポケモンを起動していく構築のデッキは先攻後攻で大きくパワーの差が出ると思います。なので国内大会での25分一本勝負よりも海外で主流なBO3形式で光るタイプのデッキなのではないかと思います。後攻をとって相手に押しきられても次のゲームで得意な先攻をとって相手より先にゲームを組み立てられますからね。
決勝戦は構築は違えどメインポケモンは同じというミラー戦になりましたが、特に先攻のゲームをしっかり勝ちきるのがとても大切で逆に言えば後攻ゲームを捲れればBO3では一気に有利になります。なんだかテニスのサービス権の移り変わりみたいですね(笑)
またパルキアのうらこうさくやミュウのフュージョンシステムという継続的に使えるポケモンの特性でに頼るのではなく、博士の研究やマリィという古き良きドローサポートが厚く採用され、それを補うカードとしてクロバットVやネオラントVが採用されています。また頂への雪道を4枚採用している状態でも相手の手札干渉に対抗できるようにビッパ-ビーダルのラインを採用しています。決勝戦ではビーダルのはたらくまえばを繰り返し使って勝負を決めるボスの指令を引き込んでいましたね。
採用枚数
アタッカーの採用枚数は最初に育てるアルセウスが4-3、使う頻度が高そうなそらをとぶピカチュウが3-2、対面によって使うヒスイジュナイパーが2-2とサイド落ちケアを含め安定した枚数採用されています。
・そらをとぶピカチュウV-VMAX
パルキア対面では相手の2ターン目にこちらのベンチのピカチュウVを倒されないように、できるだけ1ターン目にベンチにピカチュウを置いて2ターン目に進化しておきたいです。また逃げエネがないのでスタートしても使いやすいのもありジュナイパーよりも多い進化元3枚採用されています。VMAXのワザ、ダイバルーンはたねポケモンからワザのダメージを受けなくなるのでロストバレットに採用されるたねポケモンやハピナスミルタンクなどに強く戦えます(ちなみにハピナスVのハッピーボンバーはダメージを与えたあとにエネ加速なのでトラッシュからエネがつけられません)。またシマダダイチ選手の構築ではサンダースと一緒にメモリーカプセルが採用されていて、そらをとぶピカチュウVMAXにつけると進化元そらをとぶピカチュウVが持っているワザを使えるようになっていました。コインは絡みますが20点与えつつマヒにしたり、120点与えつつ次のターン相手のワザのダメージと効果を受けなくすることもできます。
・ヒスイジュナイパーV-VSTAR
このデッキの他のアタッカーではVポケモンからワザのダメージを受けない特性ミラクルボディを持つミルタンクに対してダメージを与えることが出来ないので、進化元のヒスイジュナイパーVが持つワザのきんせつしゃげきで特性を無視してダメージを与える役割があります。上ワザのやまがりも優秀ですが後攻時でも最初の手貼りは基本アルセウスにすると思います。
進化後のVSTARのワザ、サマーソルトフェザーで相手のアルセウスを弱点突いて倒せたり、手札から3エネトラッシュすれば250点という高火力も出せます。なのでヒスイジュナイパーを育てるゲームでは、序盤のトリニティノヴァでつけるエネを調節したりとエネルギー管理も大切になってきます。本線では終盤デッキから引いてくるカードのうちのエネの枚数が勝敗を分けるシーンもあったみたいです。VSTARパワーのフウウンスターは手札が8枚になるようにデッキからドローできる特性で、序盤頂への雪道でスターバースが使えなかった時などに後半残ったVSTARパワーを切れる選択肢として優秀です。
・ビッパ-ビーダル
頂への雪道をゴリゴリ貼っていきたいので干渉しないシステムポケモンです。シマダダイチ選手は特性じんらいのめざめを持っているサンダースをスターバースで準備する流れが強かったですがこのデッキではビーダルを準備する動きが強そうです。パルキアに採用されている最強の手札干渉カードであるツツジのために準備しておきたいですね。様々なアタッカーが採用されていますがクイックボールやハイパーボールが4-4枚入っているのでゲームで使わないカードをどんどん切りながら圧縮、はたらくまえばのバリューも高くなりそうです。
・クロバットV
最近クロバットを採用しない(しなくても戦える)タイプのデッキが多く見られましたが今回のリストでは採用されています。やはり1ターン目にアルセウスを出してエネルギーを貼る、というのが絶対にクリアしたい要素なので序盤の安定性は大事ということでしょうか。またサポートを使わずにドロー出来るので終盤ボスの指令を引き込む役割もあります。強い。
・ネオラントV
相手の動きやこのターンの自分の要求によってサーチしてくるサポートを博士の研究かマリィか選べるのがとても強いと思いました。また終盤ボスの指令をすぐサーチ出来るのがやはり強いです。
・バケッチャ
頂への雪道以外のスタジアムが採用されていないため、こちらがスターバースを使う前に相手が先に頂への雪道を張ってきた場合に対抗するために採用されています。またゲーム中常に頂への雪道を張り続け、終盤バケッチャでリセットしてからクロバットVやネオラントVで詰めにいくカードを集める、という役割もあります。マナフィがいないのですがビッパが進化さえできれば相手のげっこうしゅりけん2枚取りを気にせず使えます。一応2エネワザのふむで20点出るサイド1アタッカーでもあります。
・ポケモンいれかえ
アルセウスVやそらをとぶピカチュウV以外のポケモンでスタートしてしまったときにスターバースからサーチし、入れ換えてトリニティノヴァに繋がるように採用されています。後半からはダブルターボエネルギーも多めに採用されていますし逃げエネが軽いポケモンが多いのでいれかえは1枚の採用になっていると思います。
・ボスの指令
こういったデッキタイプの場合、ポケモンの耐久力が高く攻撃回数もお互いに多くなることが予想されるので、どのポケモンからダメージを与えていくかがとても重要になってきます。どのターンにおいてもベンチのポケモンをすぐに呼べて最善の選択肢を取れるようにボスの指令をしっかり4枚採用されているのがとても強いです。
またダブルターボエネルギーとボスの指令を4枚ずつ採用することで、先攻2ターン目に相手ベンチのアタッカーを呼んでトリニティノヴァのダメージを与える、いわゆる"先殴り"の強い動きを手札によってはスターバースを使わなくても実現できるような構築になっていると思います。
・キバナ
アタッカーが全員それぞれの色のエネルギー+ダブルターボエネルギーでワザを撃っていけるので、前のターンにサイドを取られた時に手貼り出来ていないアルセウスを起動したり他のアタッカーもすぐ起動出来るのでカウンターとして便利に使える1枚だと思います。同時にデッキから好きなカードをサーチしてこれるスターバース以外の手段になるのでデッキに1枚しか入っていないカードを合わせて使うことも出来るようになっています。
・頂への雪道
自分のスターバースやVポケモンの特性をしっかり使えるような構築やプレイングができれば頂への雪道を4枚採用するのは元環境でかなり強いと思います。パルキアを始めかがやくゲッコウガがどのデッキにも採用されていますし、仮想敵のパルキアには頂への雪道を返すスタジアムが1枚しか入っていない構築が多いので、場に頂への雪道が出ているターンが長くなることが予想されます。
また多めに採用することによって先攻2ターン目に手札にキープ出来ている可能性が高く、スターバースのサーチ先を別のカードに当てながらトリニティノヴァを撃ちつつ、一方的に特性を止める動きが実現しやすくなります。
加えてこのスタジアム採用枚数とマリィの4枚採用によってミュウVMAXにも対抗できるようになっていて、ゲーム終盤の"雪道ツツジ"ではなくゲームを通して継続的に繰り返し使う"雪道マリィ"によって有利に戦えることが予想できます。
おわりに
以上が僕がデッキリストやWCSの中継を見て考察したことになります。アタッカーのポケモン達からトレーナーズの採用までかなり先攻に重きをおいた構築になっていると同時に、BO3という試合形式に合っているなあとリストを通して思いました。実際の解説でも仰ってましたがこういった"強いデッキに対して強く対策していくデッキ"はミラー戦であったり仮想敵以外の対面がとても難しいと思います。実際に素晴らしいプレイングを見せて優勝したOndřej Škubal選手、おめでとうございます。
【ライター】
ペンネーム:凛
普段はポケカを遊びながらYouTubeチャンネルの運営・動画編集・各デザインを行っています。好きなポケモンは色違いのブラッキー。元環境の好きなデッキはうらこうさくアルセウス。
【ポケモンカードカレッジ】
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