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【ポケカコラム】紙のカードのお話(印刷や裁断や反りなど)

おはこんハロチャオ~! はるさめです!
ポケポケとか出てポケカ人口増えましたね。今日は紙のカードのお話です。(全約5,000字)

0. 結論

「こんだけ大量に刷ってもらっているんだよ!無理難題な文句を言うな!」

1. はじめに

このnoteはポケカに関するコラム的な読み物です。
是非通勤や通学などの暇つぶしに豆知識程度に読んでいただければと思います。

ポケカでのTLを日々観測していると、
「センタリングズレすぎ!」
「裁断今回ひどすぎ…なんとかしてよ…」
「この前買ったやつ反りすぎだろw」
とかまぁよく見ますが、まぁまぁ、気持ちは分かりますが。。。

結論は先に書きました。強い言葉ですみません。
というのも、はるさめ実は某メーカーのしがないサラリーマンなのでして、ものつくりの現場を知っています。ポケカ(トレカ)関係じゃないです。念のため。
ただ構成要素的にはポケカ(トレカ)と似ている物の製造に関係したお仕事をしているので、こういったものつくりはある程度(?)知識を持っています。

ので、今回は知っている範囲での推測などにもなりますが、ポケカの「ものつくり」に関する小話を皆さんにできればな~と思います。

2. ポケカができるまで(推測)

第2章はポケカができるまで、に思いをはせて、「きっとこうなのかな~」なお話をしていきます。とはいえ全くの想像ではなく、適宜特許や既存の技術などを引用しながら説明できれば、と。

2-1. ポケカって、何でできているの?

一つ皆さんに質問してみましょうか。
ポケカは何でできているでしょう?

ほぼ全ての方で「」と「インク(印刷)」は出ると思います。
さらに出るとしたら「フィルム」まで出てくると思います。

さて、これだけでしょうか?
現状のポケカがどういった構成になっているかは知りませんし、リバースエンジニアリングする気もない(できる器具もない)ので、参考文献程度にこちらの特許を紹介します。

こちらの特許で出てくる図面ですが、ハイレアのトレーディングカードって断面から見るとこのくらいの層状になっている、と推測できます。

特開平11-024617 代表図面

鏡面印刷」のカード、聞きなれている言葉で言うなら「ホイル(フォイル)加工」といったところでしょうか。この辺のカードにはおそらくもれなく「アルミニウム蒸着層」があるはずです。鏡面反射を低コストで実現するならこれですかね。

レア感を出すための加工つながりで、最近「テラスタルのポケモン」や「テラスタルフェスex」に収録されているいわゆる「モンボミラー」や「マスボミラー」と呼ばれている物は、券面の表面を見た感じ、この印刷技術が使われてそうだな、というところまではいきました。
印刷会社さんは無関係と思いますが、おそらく「疑似エンボス加工」に類似した技術かなと思います。

https://www.shinkohsha.co.jp/processing/giji-emboss/

インク(光硬化インク)一つでここまで面白い加工ができるのも面白いですよね。


と、このように紹介した通り、トレーディングカードが紙に印刷しただけではないことがご理解いただけたかと思います。
この話は3章の「反り」のお話に関わってくるので覚えておいてください。

2-2 「裁断」について

さて、ここでポケカを構成する要素がなんとなく分かったので、次は製造工程を考えていきましょう。

ざっくりとポケカを製造するのは次の工程かな~と思っています。(あくまで想像、大まかには外れていないと思う程度です)

【大判の貼合】⇔【印刷(絵、接着剤や加工)】 ⇒ 【打ち抜き】 ⇒ 【端面研磨】

ざっくりこんな感じかな~と、、、
最初の大判状態(カードで言うと数十枚~数百枚が1枚に合わさったサイズ感)での「紙とフィルムの張り合わせ」と「印刷」は行ったり来たりするはずです。
そしてカード型での打ち抜き(カードの形のカッター刃で打ち抜く感じ)を行い、最後に端面を研磨する。そんな感じのはず…です。

研磨って言っているけど、裁断面汚いじゃん!!
たしかに、最近のポケカの断面は、確かに「キレイ」とは言えるものではないですね。
ちょっとケバだってしている場合もありますしね。

本来、こういった「端面研磨」は裁断面を綺麗にする目的もありますが、一番の目的は「打ち抜きによるカードサイズのばらつきを最小限に抑える」ことかと思います。
カッター刃での打ち抜きのみだと、刃のサイズズレによってカードごとのサイズにばらつきがどうしても出てしまうので、数百枚単位でカードサイズを整えるために端面研磨をします。

研磨ってゆっくり丁寧にやるほど綺麗な断面を得ることができるのですが、量を出すためにはどうしても品質を犠牲にしないといけません。最低限、サイズを揃えるためだけに研磨しているのかなぁという印象です。

物凄くたくさんの人がポケカに触れられているのも、大量生産に舵を切って、品質をある程度犠牲にして、と、現場の工場で一秒でも研磨の時間を短くしようと頑張った技術者たちの努力の結晶です。
私はその姿勢を見て取れるこの状態には尊敬の念しか抱かないです。

3. 反りについて

身近なもので反っている物って何かないかなぁと思いましたが、ポケカやっている人に一番身近なものはポケカなんですよね…うーん。
まぁポケカがいろんな素材を積み重ねた「積層体」ということは知っていただけたので、「反り」が発生するメカニズムから、ハックとして反りの直し方を紹介します。

3-1. 反りのメカニズム

積層体の反りは、張り合わされたもの同士を比べて、ある環境下において、体積当たりの膨張/収縮率が異なると発生します。
具体的に説明すると、ポケカでは「」と「フィルム(印刷されたコーティング層)」の「湿度(および温度)」に対する体積収縮率が異なるため、「反り」が生じるのです。

ここで大事なのが2点
・「プラスチック素材(フィルムやコーティング層など)」は湿度変化に対する体積収縮率が小さい
・「」は湿度の変化による体積収縮率が大きい

と、いうこと。つまり、
・冬場など、湿度が低い時期は乾燥した紙が収縮し、凸反りになる
・梅雨時期など、湿度が高い時期は湿度を刷った紙が膨張し、凹反りになる

ということです。

いやー、日本って、カードにとってめっちゃ相性の悪い土地なんですよね。。。
こんな環境なのにパックのカードってほぼ反っていないじゃないですか、あれすごいんですよ。

先ほどのカードの製造工程ではおそらく全て温度湿度調整されたクリーンルームで製造されているはず。
そして皆さんバリバリ剥いているあのパック、多分アルミ蒸着フィルムか何か使ってます。
アルミ蒸着フィルムは食品包装(レトルト食品とか)にも使われてますけど、透湿度(どれくらい湿気を通すか)がめちゃくちゃ低いです。なのでパッキングしてから近所のコンビニでパックで並んでいても、外の湿度によってカードが反ったりしないのです。
ありがたいですね~。

3-2. 反りの治し方

さて、反りのメカニズムを学んだところで、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、「どちらに反っているかによって治し方が異なる」ということです。

ざっくり治し方の指針です。
凸反り ⇒ 紙が(製造時点より)乾燥している ⇒ 湿気を与えてあげる
凹反り ⇒ 紙が(製造時点より)湿気ている ⇒ 乾燥させてあげる

※ここから治し方を紹介しますが、どちらの治し方を試す場合も、(書き方が少し悪いですが)最初にどうなってしまってもいいカードで試してみてください。最初からハイレアのカードで試して、大変なことになってしまっては悲しいので・・・

3-2-1 凸反りの治し方

カード以外で用意するもの:
・小さいタッパーかケース(裸のカードを入れるもの)
・大きいタッパー(小さいタッパーが十分に入り、ふたが閉まるサイズ)
・スポンジorキッチンペーパー +

凸反りをしている場合は湿気を与えてあげれば反りは改善するので、大きいタッパーに水を適度に含ませたスポンジかキッチンペーパーを入れてあげ、小さなタッパーなどに裸のカードを入れ、その小さいタッパーをそのまま大きいタッパーに入れます。このとき、水がカードに直接付かないように気を付けましょう。そうして大きいタッパーのふたをして密閉をして、しばらく置きます(気温などによって湿度がいきわたる時間も変わるので、適宜見てあげてください)。そうしたらそのうち凸反りが解消します。

3-2-2 凹反りの治し方

カード以外で用意するもの:
・小さいタッパーかケース
・大きいタッパー
乾燥剤

工程としては凸反りを直した時とほぼ同じで、水を含ませたスポンジなどの代わりに乾燥剤を入れてあげるだけです。

この治し方では、適切な湿度に調節しているわけではないので、大体放置していると反りが逆方向までいきます。そうなっても慌てないで、元の環境に少し置いておけば、反りが緩和してくれるのできっと大丈夫です。

次の項目に、反りの防止と調整のための最強アイテムを紹介します。

3-3. 反り防止アイテム

最強の防止/調整アイテム、それはズバリ、「調湿庫」です。
まぁそれはそう、という感じなのですが、設定した温度湿度に24時間保ってくれるので、ちらちら見たりする必要が無いので、超便利アイテムです。
大事なカードがあって、お金がかけられる人は手を出してもいいかもしれません。

4. さいごに

0章みたいなこと言ったけどさ、じゃあどれくらい刷っているんだろう?
ふむ、ちょっと色々過程を考えつつ計算してみましょう。(フェルミ推定ごっこの時間)
CSP保有者(1pt以上)の人はどうやら2025.2.1時点でおよそ30,000人いるそうです。

トレーナーズウェブサイトにプレイヤー登録していて、CSP非保有者を、プレイヤー優先権によるBOX枠目当てで登録した人も加味して、保有者の5倍の150,000人とします。(CSP保有者を登録プレイヤーの20%弱と仮定)
保有者はアクティブなプレイヤーなので、平均で新弾を5BOX買うと仮定します。
また、非保有者の分もプレイヤー優先権時代は2BOX予約できていたので、2BOX分はあると仮定します。
これでトレーナーズウェブサイトのプレイヤー分はおおまかに計算できそうですが、そこに「転売対策係数」として2~5程度かけようとおもいます。(大体そのくらいバッファーがあれば、今の体感の手に入り具合になりそう、という体感の数値)

{ [CSP保有者数 30,000人] × [5BOX × 30pc × 5sht] + [非保有者 150,000人] × [2BOX × 30pc × 5sht] } × [5 転売対策係数] = [刷っている枚数]
⇒ 約3億4,000万枚 ⇒ 約230万BOX

多分オーダーは間違ってない・・・はず? [転売対策係数]を2にしても1億枚は超える
数億枚オーダー(数百万BOXオーダー)で刷ってはいそう。
(数間違えてたりしたらごめんなさい…笑ってください…)

そんな億とか枚数言われても分からない…ってなると思うので、ここ最近に刷られた年賀はがきの枚数を出しておきます。

2025年用のハガキは大体10億枚前後ということが分かりますね。

ポケカをちょっと少なく見積もっても新弾で1億枚刷っているとして、それに対して1年に一回の年賀はがきが10億枚。
日本全国いろんな印刷所で刷って、10億枚です。一方ポケカはおそらく(秘匿性の高さから)1社、多くて数社…(その下請けまでは知らないですが)程度かと思います。それが1億枚以上のカードを刷るのです。
年賀はがきなんて端面どうなっていようが、印刷多少ズレていようが、番号がきちんと刷れていれば誰も何も言わないですよね。
でもポケカは?

言うな、とは言いませんが、その前にどれだけ企業が努力しているかは思いをはせてもいいんじゃないかなぁ…などとお気持ちを言ってみたりします。

それではまたどこかで! はるさめでした!

おまけ⬇️

ジェネレーションズの箱(多分)の登録実用新案


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