【おはなし】ブーメラン発言道②　#毎週ショートショートnote

店主はついに道を極めた。
彼らの声が聞こえるようになったのだ。

専用のハンガーラックにずらりと並ぶ姿は圧巻である。
店主は自分が世界中から集めた、また自ら作り上げた彼らの声に耳を傾けながらお客が来るのを待つ。

初心者用のスタンダードな彼が口火を切る。僕はやっぱり美しい筋肉を持った人の体の一部として生きていきたいなぁ！

筋肉？それは重要じゃねーよ！サイズだ！吸い付くようにピッタリとしたサイズ感の主の元へ行かなきゃな！
ぞうさんタイプの蛍光グリーンの彼は息巻いた。

サイズは大切だよね！でもあまりピッタリだとなぁ…
宴会芸で盛大にUSAを踊った主をポロリしてあげたい。
絶対に伝説になるよね！
そう無邪気に話すのはワンショルダー型の変わり種の若者だ。

重要なのはヒップだろう？
どれだけ主のヒップを美しく飾るか。これに尽きる！
股間の部分にポッカリと穴の空いたセクシーコーナーの彼が得意げに言う。

今日もブーメランパンツ専門店の店主は満足げだった。

（410字）

たらはかにさんの企画に参加です。
いつもありがとうございます！

一作目のコメント欄にて、「ブーメランと言えばブーメランパンツ」とのコメントをいただきましたので、ごもっとも！ということで書きました。