おめでとうの決心
「は?1週間も無いじゃん」
やんわりと好きになった男の誕生日が数日後に控えていると知った私は驚愕した。
「まぁ、そうだね」
なんでもないように彼は続ける
「誕生日なんてあってもなくてもあんま変わらんけどな。普通に起きて、普通にご飯食べて、掃除して、寝る」
この男、誕生日にどんちゃんやらねぇ男なのか?
それもそうだ。県外から遠く引っ越してきて3ヶ月ほどしか経たない彼に、誕生日でどんちゃんするような仲間は周囲にいないのだ。
瞬間私は考えた。
これは今年、私が誕生日を祝うチャンスに過ぎないのではないか?
そして彼も1人。ならば私が祝う他無いのではないかと。
神様……わかりました……!!
彼の誕生日は私が祝う。
数日しかない時間をフル活用し準備する。
私の中のサプライズ精神が踊り狂っていた。
前作でキスをした私達は、結局後半戦はずっとイチャコラサッサしていた。
どぎまぎしまくっている彼にお茶を口移しし
「これ、何茶?」などとクイズを出すくらい私は余裕だった。
それに対し彼は
「ん、、!?ん、、、、!?」
「味わかんなかった、、、」
などまるで童貞かのようなビビりっぷり
(経験豊富なくせに)
すっかり彼の可愛さに惹かれ、もう90%くらいこのトキメキに気づいていた
とうとう朝になった
「俺、始発で帰るよ」
そう言っていた彼が「帰りたくねぇ」と言うのだ
「ほら、始発行っちゃうよ」
「いや始発なんていいよ。始発で帰るより今一緒にいられるこの機会を逃したくない」
と抱きしめながら彼は言った
なんだァ??可愛すぎんかァ??
「今まで付き合ってきた人達とは明らかに違うってわかる。あまり本気になれてなかったし、今までの人も遊び感覚だったと思う。けどぷりんちゃんとは真面目にお互いが今後を考えていける。芯が通っててちゃんと意見を持ってるから。」
彼も色んな人に出会って「なにか違う」
と思いながら生きてきたんだ。
こんな事言うのは照れくさいが、私達は会うべくして出会ったんじゃないかと思ってしまう。
そうしてカラオケ店を2人で出て、早朝の空気を吸いながら歩いていた。
駅まで送ろうかと言ったが車まで俺が送ると着いてきてくれた。
ところで、私は世界で1番嫌いなアレの話をしていない。
私は結婚する相手に1番に求めるアレがあるのだ
「ねえ、私聞きたいことあるんだ」
「何?」
「Gの駆除できる?」
黒くてカサカサしたあの世界で1番嫌いなアレ
私はアレを駆除できる人としか結婚しないと決めているのだ。元々恋仲だった男がビビりで「え、俺無理……」と言われた瞬間一緒に生きていけない。と思ったくらいだ。
私は真剣に彼の顔を見る。
「ん?できるよ。仕事の現場とかで出たら駆除しなきゃ行けないし、慣れてる。」
結婚おめでとう!!!
私の中の天使が祝福をあげて結婚の決心をしている(早い)
感動が止まらず、しかしこんな事で天使が舞っているなんて知られたくもないため普通を装い
「へえ(笑)」
としか言えなかったが、頭の中では誕生日計画が物凄い勢いで練られ始めた。
誕生日、仕事が終わったらそのまま彼の最寄りに行き、サプライズしようと考えた。
その日が処女卒業の日になるなど当時の私は考えもしていなかったが。
続きはまた今度
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