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青春を駆け抜けた自転車を手放した話

12歳の時から乗り続けていた自転車を、引き取ってもらった。

抹茶みたいな、緑色の自転車。
スタンドが止めやすい。
鍵は1回なくしたから付け替えてある。
かごも、重い荷物を詰めすぎてゆがんだから、大きいのに付け替えてある。
あちこち錆びてる。
ブレーキをかけると左右両方とも「キキッ―」って音が鳴る。

引き取ってもらった理由は、サドルがひび割れすぎて、どんなに乾かしても座るとおしりがぬれてしまうからだ。

実は、1年前くらいにパンクしてタイヤを入れ替えていた。
5000円以上したため、できるだけ使い続けようと頑張った。
しかし、どうにも、よく晴れた日に自転車から降りるとおしりがぬれている、というのは悲しい。

それでもずっと立ちこぎでこぎ続けたが、家族に何度も勧められとうとう買い替えることになった。

私は小学生の時から大学生の半ばまで、10年以上1つのスポーツを続けてきた。

雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けず…
毎日大きいリュックを背負い、その自転車に乗る。

雨の日はレインコートを着て、自転車をこいだ。
スポーツのチームメンバーの前以外で、そうやってレインコートを着て自転車に乗って行くと、とても驚かれた。
今でも驚かれる。雨が降っていたら歩くのが普通なのか?

スポーツはかなり頑張っていた。週に6日以上練習はあった。
そのため、自転車は酷使された。
電車に乗って練習場に行くことも多かったが、最寄り駅に行くためにも自転車に乗っていたため、ほぼ毎日だった。

なんてね。メンバーはみんなそうやって頑張っていて、別に特別な事じゃなかった。
でも今の私ではもうできないな~若いってすごいな~と思う。

だからその自転車には愛着があった。
毎日の練習に連れて行ってくれて、その自転車と練習を乗り越えてきたのだから。
その自転車を見ると、練習場の風景が思い出される。練習場へ向かう風景も。


どんな道を通ってたか。
なぜか金曜日は雨が多くて、いつもレインコートを着てたとか。
人通りが多いのに道が狭くて、通るのが大変だったとか。
憂鬱で練習に行きたくない日がしょっちゅうあったとか。
メンバーのだれだれと一緒に話しながら帰ったとか。
きつい練習を遅くまで頑張って、やっと終わった帰り道の、川の横を通る夏の夜のここちよさとか。

自転車を手放したら、それらの記憶が全部消えてしまうんじゃないか、と思った。しまった。せめて自転車の写真をとればよかった。
でもその写真も、いつまでも手元においておけるわけじゃないし…

だから忘れないようにnoteに書くことにした。
今日までありがとう。
私は思い出をすぐ忘れてしまう人間だから。
忘れないように頑張るけど、忘れた時はこのnoteを読むようにするよ。




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