運動器超音波エコーの基本的な使い方と読み方
ここ数年で運動器疾患の評価方法の1つとして、理学療法士が超音波画像診断装置(以下、エコー)を取り扱うことが増えてきました。
運動器疾患に関する書籍やセミナーで、エコー画像を見かけることがあるでしょう。
エコー画像を目にすることがあっても読み方がわからなかったり、使い方がわからないセラピストが多い印象です。
この記事では、なんとなく知っているけど扱ったことがない方やこれから勉強を始めたいと思っている方向けに、エコーの基礎を簡単に説明します。
エコーとは?
まず、画像診断としてよく使われるのが単純X線やMRIですが、特徴をおさらいしましょう。
運動器疾患の画像検査で最も扱いやすいのが単純X線、さらに精密な検査をする場合にMRIと使い分けています。ではエコーはどうでしょうか?
人の耳では聞こえないほどの高い周波数の音を超音波といいます。
その超音波を用いて、臓器や組織から跳ね返ってきた反射波を映像化したものをエコーといいます。
エコーの主な特徴を以下に3つまとめてみました。
エコーを当てた部位の組織を可視化することができます。触診で大体の組織の位置関係を把握することができますが、可視化することで精密に把握することができます。
また、触診に限らず評価や治療にも応用ができるので補助ツールとしても活用できます。
単純X線やMRIと違ってリアルタイムで描写することができます。エコーは静止画だけでなく、組織の動き(動画)としても観察できる点が異なる特徴です。
超音波エコーは別名、超音波診断装置とも呼ばれますがセラピストは診断することはできません。
なので、観察・評価や治療の補助ツールとして使用します。
運動器エコーではその名の通り運動器疾患で取り扱う、骨や筋・腱などといった軟部組織を描写することが多いです。
メリット・デメリット
では、エコーを使用する上でのメリット・デメリットには何があるのでしょうか?
それぞれ4つずつ紹介します。
エコーの活用方法
エコーを臨床で活用する具体的な場面を紹介します。先ほど解説した通り、エコーと触診は親和性が高いです。
エコーは触診と治療の補助ツールとして活用できます。それぞれ解説します。
触診の補助ツールとしての活用
触診は上図のように適切な肢位をとり、ランドマーク・対象とする組織を触知する流れです。その後にエコーで触れているのかの確認として使用できます。
また、自分の触診した部位の確認や深層組織との位置関係を確認するためのツールとして使用できます。
例えば、普段の触診ではランドマークから組織の位置関係をイメージして触りわけることが多いでしょう。
ですが、臨床経験が浅かったり普段触ることの少ない部位では“合っているのかどうか”を確認することが難しいです。
ですが、エコーを併用すると触っている部位が合っているのか可視化できます。また、表層・深層の組織の位置関係も確認できるのでアプローチしている方法が適切なのかも確認ができます。
エコーを用いた解剖学の教育効果について紹介します。
対象群とエコーを用いた学習群では、三次元的な位置関係を問う問題の正答率は超音波群が高かったと報告されています。
その後、対象群にもエコーを用いて解剖学を行い、アンケートを実施したところ、71%が大変満足と回答したようです。
治療の補助ツールとしての活用
次に治療の補助ツールとしての活用方法を紹介します。
触診と同様、治療したい組織を確認しながら介入できます。
では、具体例として足関節背屈制限の治療をもとに解説します。
背屈制限の1つとしてFHLやKFPが考えられます。ですが、深層に位置しており触診技術が必要です。
エコーを用いることで治療できているのか確認しながら、アプローチできます。
ACL再建術後患者にエコーを用いたフィーフォバックを施行した症例を紹介します。
術後8週の時点では、上図のような状態でACLRプロトコールから3週間遅れていたようです。
エコーを用いた筋力訓練を実施したところ、術後15週で上図まで改善しました。
このことから、ACLR患者は膝関節の動きに関する感覚運動戦略が低下し、視覚運動戦略を用いるようです。
ACLR患者の視覚運動戦略を用いると、筋収縮を視覚で確認し運動・感覚ニューロンにフィードバックされ、筋の収縮力と感覚を再教育できると報告しています。
つまり、エコーを治療の補助ツールとして使用すると、適切な治療ができているのか確認することができます。
エコー画像を見る前に
ここからはエコー画像を見るための基礎について解説します。
エコーを使用するためには、プローブと呼ばれる機器を用います。プローブは体表面と接地することで画像を描写します。
プローブにはいくつかの種類があり、観察部位に合わせて使用するプローブを変えます。
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