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大好きな人が死を選んだ日①

2020年7月18日。

小さい頃から大好きでずーっと応援していた俳優、三浦春馬くんが亡くなった。30歳だった。

自殺だった。

私はあの日のことを今も鮮明に覚えている。

だけど人間はいつかその時の記憶も、気持ちも、苦しみも、痛みも、悲しみも、言葉にできない感情も全て忘れてしまう。

だから忘れないうちに、彼を忘れないように。



あの日は私は原宿の美容室に行っていた。

髪を黒くして、シャンプーして、長さを揃えてもらって、綺麗にしてもらって、ルンルンで原宿の街へ買い物に繰り出した。


原宿駅前の、UNIQLOとIKEAの前の歩道。

イヤホンからLINEの通知が聞こえて、マスクをズラして顔認証でLINEの内容を確認すると、高校の時の友達からの連絡。


【 三浦春馬好きだったよね!? 】

【ニュース見た!?】


そんな内容だった。

その時の私は「え?なに?結婚?誰と!?」ぐらいにしか思ってなかった。


数時間ぶりにTwitterを開いて、検索しようとした時、 三浦春馬 と 自殺 という文字が目に飛び込んできた。


その瞬間の、あの絶望感というか、喪失感というか、信じられない気持ち、意味が分からない、混乱する、動揺する、あの言葉にできない感情を今もしっかり思い出すことが出来る。


信じられない、それだけだった。


なんで?どうして?なにがあったの?春馬くんなんで?ドラマ楽しみにしてるのに?まだ撮り終わってないよね?一昨日も 君に届け 見たばっかなんだよ?インスタもあげてくれてたよね?なんで?どうして?嘘だよね?


頭の中で自問自答しても答えは出るはずもなく、ただただ立ち尽くすしか無かった。


道行く人達が笑いあって、楽しそうに話して、手を繋いで、幸せそうな周りの人達を見ていると吐き気がした。


私を心配した友達や仕事の同期から連絡が来たけど、何をどう返していいのか分からず、気を紛らわそうにも紛らわせるはずもなく、ただただぼーっと原宿の街をあてもなく歩いた。


不思議と涙は出なかった。


私の世界にとって、三浦春馬が死ぬことは非現実的すぎた。


そして何より、実感がわかなかった。

この世に春馬くんがいない?もう演技を見れない?笑顔を見れない?映画も見れない?舞台も見れない?ドラマも見れない?春馬くんの世界が終わった?






原宿から家までどうやって帰ったか、正直あまり覚えていない。



でも不思議とお腹は空くもので、私はいつもと同じように食事をした。




春馬くんが亡くなったと知った瞬間の感情も苦しさも手の震えも喉の乾きも動揺も全て覚えているのに、この日食べたご飯の味は少しも覚えていない。

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