ねたい 短編小説
とてつもない眠気に誘われている。
幻想で目が覚めた私は赤子を抱えていた。
その赤子は甲高い声でキーキー泣いている。
そしてその赤子、胴体を包帯でぐるぐる巻きにされ、手足がない。
そこに好奇心を見出した私は偶然持っていたハサミで包帯を切り外した。
すると心臓はむき出しで、
鳥類に匹敵するような速さで脈打っていた。
こちらを悲しそうな目で見ている。
とてつもない眠気に誘われていた私は持っているハサミをその心臓に突き刺した。
すると泣き声は止み、安心した私は満足感の中で眠りにつく。
するとそこで誰かの歯ぎしりの音で風景が変わる。自分の部屋だ。
窓の外を見ると、
遠くのステージで美しい
女性が1人で単調なダンスを踊っている。
そしてその女性の上から
幼虫のような胎児が
まばらに落ちてきているが女性は全く気にせず、
それを踏み潰しながら、踊っている。
するとその踏み潰して出てきた胎児の血液が2階の
部屋にいる自分に向かって来るのである。
部屋の窓にこびりついた胎児の血液はやがて巨大な
1つの物体になったが
よく見るとそれはさっき自分が刺した
赤子の顔であった。
さっきの泣き顔とは一変、
今度は何か見透かしたような跳ねた目で
嘲笑いながらこっちに向かってくる。
私はちょうど持ち合わせていた血のついたハサミをその赤子の眉間に突き刺した。
刺した眉間から血液がドバドバ溢れ出し
その巨大な顔は空気の抜けた風船のように
すごい速さでしぼんだ。
するとそれと同時にステージで踊っていた
女性の顔にも眉間に穴が開いた。
顔がしぼんだものの女性は踊り続ける。
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