何もないところから一日を作り出す
読書記録。
シングルマザーで小説を書きながら二人の息子を育て上げた著者は、アメリカの都会生活に疲れていた。カナダの半島、ノヴァスコシアの海辺に広い土地とおんぼろの家を買い移住する。孤独や価値観の違いに苦しめられながらも自然の偉大さや美しさを見つめて向き合い、一人生きる歓びを見出していく。
図書館でタイトルに惹かれて手に取った本。面白かった。爽やかで陽の光にあたるような暖かさを感じた。
1978年に書かれたもので今から40年以上前のものだ!この時代に女手一つで子供二人を大学に進学させている。収入も精神的にも自立した生活を送るのは本当に凄い。
素人ながら手探りで有機農法に取り組んでいたところは興味深かった。堆肥作りから始まり、小さな種から野菜が大きく実るまでの神秘的な様子を 喜びと敬虔さをもって熱く語る。
プライバシー優先が当たり前のニューヨークとは違いズカズカと入ってくる移住先の隣人に戸惑うところも面白かった。あぁー田舎あるあるです。地域のネットワークがかなりしっかりしているからこそ一人でも寂しくはないが、鬱陶しく感じるのはワカル。
この世界はペアでいる事が当たり前になっているがおかしくない?と問う。一人が好きな人だっているさ!と。うんうん。その通りだ。
著者が生きていた時代は、一人でいるのは今よりも更に更に生きにくい事だったろう。
田舎暮らしを試行錯誤しながら「生きる」事を心から味わう姿に心打たれる。
ニューヨークに住んでる時はスケジュールがパンパンだったが、田舎では一通り家事や畑仕事を終えた後は何したらいいんだ?と戸惑う事もあったらしい。
そんな中、「何もないところから1日を作り出す」という意識に辿り着いた。なんて素晴らしいんだろう…✨
ワタシ達現代人は、ただ漫然と起きて食べて仕事して寝ての繰り返しをしている。何もない1日がまずない。丁寧に生活をしていると1日を作り出すという境地にたどり着けるのだろうか。命や時間を味わい尽くす著者の生き方にひたすら憧れを感じた作品だった。
この本から学んだ事。
なんでも面白がる姿勢。
とにかく挑戦してみる。
土地の人達をリスペクトし積極的に関わる。
その土地の習慣を自身も取り入れる。
素晴らしい事は身の回りに溢れている。
ワタシも何もないところから素敵な1日を作り出すのだ。
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