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2歳種牡馬リーディング解説[2024年12月]

2024年の2歳馬リーディングが確定しました。

キズナが2年連続で2歳リーディングを獲得しました。G1にこそ縁はありませんでしたが、マジックサンズ[札幌2歳S]・ブラウンラチェット[アルテミスS]・エリキング[京都2歳S]と重賞3勝、東スポ杯2歳Sでもサトノシャイニングが2着に入るなど、重賞戦線での活躍が目立ちました。

3位のモーリスは前年の4位よりも順位をあげました。勝ち馬率が改善しつつ、アドマイヤズームの朝日杯FS勝ちの分だけ昨年よりも上積みがあった感じで基本的には成績を維持している恰好となりました。

逆に順位を落としたのはスワーヴリチャード。昨年の3位から32位まで落としました。

22産世代はJRAの登録頭数が61頭と少なかったものの、勝ち上がりが5頭というのは物足りない形。ただし来年以降は繁殖牝馬のレベルがかなり上がっているので巻き返しは必至でしょう。直近のレガレイラの有馬記念勝利でさらに需要が高まりそうです。

ただ売りのひとつだった早熟性が思ったほどでない傾向も見えつつあるので、中距離以上で活躍が多いノーザンファーム生産馬は引き続き高い評価はできそうですが、日高などの別路線タイプの活躍馬がどうなるのかは注目しておきたいところです(種付け料が高騰化しているので、そもそも日高産がかなり減っていると思いますが)。

2024年度 JRA2歳種牡馬リーディング

あと突如ランキングに出現したのがサトノダイヤモンド。8月から11月までは上位20位までに一切、名前が出てきませんでしたが、12位でフィニッシュしました。

代表的なところでは阪神JF2着のビップデイジー、朝日杯FS4着のダイシンラーの活躍がありましたが、個別のケースではキャロットクラブのロートホルンが8月デビューで6着に敗れたのち、3ヵ月の休養を経て2戦目で10番人気1着に変わり身。産駒傾向として、2歳の12月頃にぐっと成長期がやってくるというパターンはありそうです。

それに加えて、今年に関しては京都のロング開催で途中からパワーを要する馬場になったという点もサトノダイヤモンド産駒の後押しになった可能性もあるかもしれません。

新種牡馬に絞ると、サートゥルナーリアが1位、ナダルが2位となりました。

ただ数字の内訳としては、対照的な内容になっている点は注目すべきでしょう。このコラムのシリーズでは、8月末からのリーディング関連の数字を追っていますが、サートゥルナーリアはAEIが横ばいか、やや右肩下がりの傾向です(1.57→1.32)。

一方で、ナダルは年末に向けてAEIを右肩上がりで上昇しています(1.16→1.82)。

秋競馬に入りダート戦の1勝クラスが増えてきた点も要因として捉えられますが、ダート種牡馬でAEIが2に近いのはかなり優秀。加えて、勝ち上がり率.464は超優秀。2歳戦にダート重賞がない中で1走あたり平均200万稼いでくれる馬主孝行種牡馬です。

ナダル産駒の初年度2歳線成績(JRA)

JRAの2勝馬率の比較でもサートゥルナーリアの1.3%に対して、ナダルは5.4%ですから、ナダルは上のクラスに上がっても活躍していることがうかがえます。

サートゥルナーリアについて深堀りすると、血統的にはStorm Catがはいっていることから早期から活躍ができるイメージに合致します。

ただし2歳戦の後半にむけては勝ち上がり頭数は順調に増やしたものの、上のクラスではあまり活躍がなく、1頭あたりのパフォーマンスは伸び悩みました。

同じキンカメ+Storm Catのロードカナロア産駒も、古馬になっても活躍馬が出てきたので決めつけるのは早計ですが、早熟傾向が強い可能性は考慮にいれておいてもよいかもしれません。

サートゥルナーリア産駒の初年度2歳線成績(JRA)

ナダルに関しては2ヵ月前にもレポートを書きましたが、その時に考えられる課題として【1800m以上に対応できるか?】という点を指摘しましたが、クァンタムウェーブのもちの木賞勝ちなど着実にクリアしています。

ダート一辺倒の種牡馬であることは間違いないので、今後、ブルーバードCに挑戦予定のメルキオルが南関東のダートで結果を出すようになるとかなり先は明るいと言えそうです。


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