#26 秋になると果物はなにもかも忘れてしまって(八木重吉)/いちじくの赤ワインコンポート
秋の果物がたくさん並ぶようになった。
いちじく、梨、巨峰にピオーネ…。
たっぷりと果汁をたたえ、ぽってりと、たわわに熟れた果物たち。
秋になると果物はなにもかも忘れてしまって
うっとりと実のってゆくらしい
―八木重吉
秋の果物を見ると、明治期の詩人・八木重吉(やぎ・じゅうきち)の詩を思い出す。
「うっとりと実ってゆく」…これは秋の果物ならではの表現。
たとえば春のいちごやスモモ、夏のキウイやグレープフルーツにはこの表現はそぐわない。やはり、芳醇でたっぷりと実る秋の果物にこ