メリゴになれなかった者達へ 【Remage】のお話
こんにちは。みなさま「Remage」というバンドはご存じ…ではないですね。1999年に発売された「Ré Image」というミニアルバムだけを残し、解散したバンドのようです。
かくいう私もAmazonで中古のV系CDを探している時に、たまたま見つけたバンドで、ふとAmazonのレビューに目が留まり、気になってそのまま購入へと至りました。
全体的な感想としては、この年代のマイナーバンドによくある、演奏は良いがボーカルの力量は「 」という一枚ではあるのですが、1曲だけ、どうしても引っかかる曲があるのです。
Capsule Complex
それがアルバムの最初を飾る「Capsule Complex」という曲であり、私の目に留まったAmazonレビューも、その曲にかなり強めに言及しておりました。
問題のこの曲、いざ聴いてみますと、徐々に盛り上がりを見せるハードなイントロが期待を高める中、突如として以下のような語りが始まります。
このような感じで、医薬品の添付文書のような文言が延々と読み上げられます。本当です。本当に。
本剤を本曲に変えたりと微妙に音楽へと寄せてしまう思い切りの悪さや、曲の後半に登場する「その名は…その名は…〇□×△」と、歌詞カードに記載のない上に、聴き取れないセリフがあるなど、レビューで強めに書きたくなる気持ちもわかる曲ですが…
その一方で、この曲のコンセプトについて思うところがあるのです。
注文の多い料理店
この曲を聴いて、まず最初に思い浮かべたのはMerry Go Round(メリゴ)の「注文の多い料理店」でした。
曲に合わせて、まくし立てるように宮沢賢治の「注文の多い料理店」を読み上げ、合間に歌を挟みつつ、ホラーな雰囲気も漂わせながらストーリー仕立ての曲として成立させている、この1曲。
それを頭に入れておくと、まさに「Capsule Complex」は、「ああ、メリゴっぽい曲にしたかったんだね…」と、そして「それに失敗したんだね…」と、添付文書を読み上げる、極めて前衛的すぎて後衛なセンスもストンと腑に落ちるのです。
「メリゴはメリゴだからメリゴなんです」という説明で通じてしまいそうな強烈な個性を持ったバンドの雰囲気に、おいそれと手を出すと、痛い目を見るよ…と、ぼんやりと思った1曲でした。
ちなみにメリゴの注文の多い料理店が収録されているのは「放送禁止の死んだふりをする潔癖症の実験体と、箱の中の毒入りショートケーキと、逆回転でまわるエゴイストのパラノイアボックス」というアルバムです。長い。
まだ未聴という方は、ぜひ聴き比べてみてくださいね。
一つ付け足すのなら、疲れた時、元気がない時に、聴くとなんだか元気が出るのは「Capsule Complex」の方だと思います。ただし、発疹、刺激感の症状があらわれた場合には…