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広報の視点と詩を書くこと。「PR」って何の略かご存知ですか?

草間です。今回は少し、広報のことについてお話しします。

現在は別の職種ですが、私は広報担当者の経験が長いです。これまで、国際広報や、コーポレート・技術に関する広報、ブランディングなどを担ってきました。

広報は、PRと呼ばれることもありますが、宣伝を意味する「プロモーション」の略ではありません。
広報とは、「パブリックリレーションズ(Public Relations)」。つまり、様々な主体との関係性の構築を意味します。

広報の仕事は、発信力が命ととらえられがちですが、危機管理もかなり大切なポイントです。コンプライアンスはもちろん、ジェンダーバランスを含むダイバーシティ&インクルーシブ……単なる認知訴求を追い求めるあまり蔑ろになりがちな多角的な視点を持ち、時流を読むことで危機を敏感に察知し、時に「待った」をかけ軌道修正をするというのも、広報担当者にとっては重要な要素です。
昨今のSNSに見られる炎上案件の多くは、広報的な視点の欠如、或いは、経営側が広報担当者の意見を聞き入れなかったがために起こることも多いように感じます。

つらつらと書きましたが、詩を書く場合も、このような広報的な視点に支えられているなと感じることが多くあります。
特に、詩集を編む際、強く意見を伝えてくださる(アラートを鳴らしてくださる)編集者の方は多くないと感じています。
これは詩の世界における大きな課題であると思っていますが、要するに、詩人は自身の感覚に頼り作品を発信していくしかないわけです。

もちろん、ひとつの詩が社会的にどれほど大きな影響力を持つのかと問われるとそれ程ではないかもしれません。あちこちに配慮をしすぎた文学や芸術は、面白みに欠ける。そういう意見も、もっともだと思います。

ただ、私は、自分が公表するいかなる詩も、誰かを、特にマイノリティを排除し傷つけるものでありたくはないと考えています。
一方で、時に強い言葉を使わざるを得ない作品もあります。その時は、対象を深く刺すと同時に、自分も深く刺します。
だからこそ、感情や言葉の裏に縫い合わされた別の角度の感情や言葉について、多角的な視点で思いを投げることを忘れたくないと思っています。

SNSが活況の昨今、詩の「バズり」もさらに頻繁に生まれるかもしれません(どうだろうか)。
広く読まれることは喜ばしいことかもしれませんが、バズりは一過性のものであり、目的ではない。これも、広報的な考え方です。
作品を介して読者とどのようにコミュニケーションをとり、どのように世界を再構築していきたいのか、或いは特にそんなことは目指さないのか——都度都度、指標を振り返りながら書いていきたいと考えています。

強い発信力を持つものは、同時に深く誰かを傷つけることもあるということ、特に意味を背負った言葉を扱う以上、誰かを傷つけざるを得ない宿命と向き合っていくしかないことを、常に頭に留めながら詩を書いています。

(現在は別の職種と書きましたが、実は副業で広報業務も受けており、今年はありがたいことに様々な面白いお取り組みをされている方々とご一緒することができました。感謝🌟)

では、新詩集『ハルシネーション』から、ひとつ詩をご紹介して終わりますね。

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