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パワーストーンのオーラが消えた

パワーストーンの魅力に取りつかれたのは偶然の出会いからだった。デパートでショッピングをしている時に目に入った紫色の石の塊、アメジストのクラスター。引き付けられるようにお店に入り、手に取ると微弱電流が走った。お互いビビっと惹かれあったのだと思う。

そのアメジストはよく見かけるごつごつした形とは違っていた。紫色の細長い氷柱が岩から生えているようで、繊細で少し陰りがあるような美しさだった。”謎めいた美女”に魅了され、しっかり浄化しないまま、その晩枕元に置いて眠った。

いやな夢を見た。よく覚えていないが、暗い場所で暗い気持ちでいる、薄気味悪い夢。目覚めると、左の首がまったく動かせない。少しでも動くと激痛が走った。いままで寝違えたことはめったにないのに。アメジストを置いたのは左側だった。
その日から3日かけてしっかり浄化した。タイミングよく満月だったので月光浴させ、セージの煙でも浄化した。

アメジストは念を吸収する力が強いらしい。前の持ち主がどんな人でどんな念を注入し、どんな扱いをしていたかわからない。しっかりリセットしてから使わないと守られるどころか悪影響をうけてしまうのだ。そして、この首の異常がアメジストに残った念のせいであるなら、それだけパワーが強いということで、うまく使えばかなりの効果を期待できるのだろうと思った。

”陰りのある美女”は、だんだん私との生活になじんできたようで少し明るい印象になっていった。満月の光をたっぷり浴びると艶やかだった。

アメジストは、ギリシャ神話にでてくる美少女の化身。キリスト教では司祭の石。古代から神秘的な力を持つ高貴な石として、身に着けたり大切に扱われてきた。きっと私の心の疲れをリセットし、癒し安らぎを与え、邪悪なものから守ってくれていたと思う。

年月がたつにつれ、アメジストは部屋のインテリアのような存在になり、その美しさに見とれることも、語りかけることもしなくなっていった。埃がたまっているのを見かけ、水をかけると氷柱が折れることがあった。

いまでは鮮やかだった紫色もあせて、精気がなくなって見える。くたびれたというより年をとった感じがする。
私がこの石のパワーをすっかり吸い尽くしてしまったのだろうか。もうこのパワーストーンから卒業する時期がきたようだ。自然にもどしてあげよう。
いままで守護してくれてありがとうの感謝とともに。

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ポエミスト朱見
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