死ぬために生きる(Narcissu -ナルキッソス-感想)
サントラ聞いてたら突然エモの塊になって、プレイしてエモエモになったので感想書きます。
ナルキッソスはサークル「ステージなな」のビジュアルノベルです。
作品としては「narcissu」、「narcissu SIDE 2nd」、「narcissu 3rd -Die Dritte Welt-」、「ナルキッソス -スミレ-」、「ナルキッソス〜もしも明日があるなら〜」で5作品出ています。無印と2はタダでプレイできます。
なんと今年で15周年!めでてー!
今回書くのは最初に公開された無印のやつ。
ナルキッソスは死生観がテーマの作品です。美少女とラブラブちゅっちゅするようなゲームじゃないです。気軽にプレイすると3日3晩寝込みます。
でも無印は1時間くらいあれば全部読めます。2入れても2~3時間くらいで読めるので、気軽にプレイしてどうぞ。
概要
主人公は普通の大学生。普免取った翌日、具合が悪くなり病院へ。そのまま入退院を繰り返し、ホスピスである7Fへ移ることになる。
…高い天井、白いビニールの腕輪、15㎝しか開かない窓。
そんな場所。
そこで出会ったセツミという少女(のように見えるが年上)に7Fについて教えてもらう。
セツミは「家も7Fも嫌」らしい。ただ、行く当てなんてあるわけもなく。談話室のテレビをつまらなそうに、眺めているだけだった。主人公もつまらないテレビを眺める。他にやることなんてなかった。
普段無口なセツミが珍しく反応したテレビにはナルキッソスの花が映っている。病室にも飾ってあるが、厳密には違うらしい。
ある日、ふいに主人公の父親が見舞いにやってくる。
父親が席を外したときに目に入った車の鍵。胸ポケットに入ったままの真新しい免許。気づけばセツミと共に病院を抜け出して車で走っていた。
テレビで見たナルキッソスを目的に淡路島へ。
セツミ
中1から入退院を繰り返している普通の少女。あくまでも普通です。(だと個人的には思っている。)
週刊誌に載っていたグラビアの写真を見て、ちょっと憧れてみたり、恋人がほしいと思っていたり。ただ全てを諦めています。未来がないなら最初から期待する意味などない、自分への言い訳を用意して全てを諦めるしかない。と、そんなことを思っています。
パジャマ姿で外に出たくないと言ったり(明言しているわけではないけど)、道中買った服をサイドミラーでチラチラ確認したり、普通の女の子なんですよね。でもね、この子、もうすぐ死んじゃうんすよ。かなCなぁ。
エメラルドグリーンの海
セツミは車に詳しかったり、道に詳しかったりやたら博識です。病院生活が長いというのも理由ではありますが、他にも理由はあります。なぜ詳しいのかは2で語られています。
博識なセツミのナビで淡路島に到着して、厳密に言っても同じナルキッソスを拝めた2人でしたが、セツミに残された時間はもう僅か。
そんなセツミがビキニの水着が着たいと言います。が、当然そんなものはないので道中かっぱらってきたタオルと買ったスカートで真冬の海へ。
主人公は車のボンネットに入っていた使い捨てカメラを持ってセツミの写真を撮ります。真冬の海のグラビアアイドルごっこですね。微笑ましいです。(白目)
止めるか止めないか
目的地を淡路島にする前の道中、何とはなしに海岸まで行った際、波打ち際へと歩くセツミが主人公へ問いかけます。
1度目の問いかけには主人公は「そのときになってみないと、わからない」と答えます。
そして、淡路島へと向かっている道中の湖でも、また問いかけられます。
2度目の問いかけには答えてはいませんが、死ぬつもりないから止める必要がないと思っています。明確に目的地があるから、死なないだろうと。
そして、グラビア撮影の後、今度は主人公から3回目の問いかけをします。
1度目の問いかけで「そのときになってみないと、わからない」と主人公が言っていましたが、主人公は止めませんでした。
これを読んでる人たちは引き止めるでしょうか?
恐らく、「そのときになってみないと、わからない」と思います。明確に止めると言い切れる人は、病院勤務とかに向いてると思いますよ。偏見ですがね。
自分は止めないと思います。どんな理由であれ、どんなに近しい人であれ、死を選んだ本人の選択を尊重したいです。
生きるということ
「家も7Fも嫌」と言っていたセツミですが、道中の海岸線では足が止まっています。ビキニの水着を着て、淡路島まで旅行したセツミは足が止まることはありませんでした。つまり、そういうことなんでしょう。
毎日つまらないテレビを眺めて、ただただ、死を待つ日常。
想像しかできませんが、自暴自棄になったり無気力になったりするのは当然だと思います。
そんな中、最期に笑った彼女は生きていたと思います。少なくとも無駄に時間を浪費している今の自分よりは生き生きしてますねえ。
眩しかった日のこと、そんな冬の日のこと
主人公が現像した写真に書いた一言です。
セツミがいなくなっても、主人公はまだ生きています。病院の、つまらないテレビを眺める日常へと帰ってから、写真を見て15日間の旅を思い返していたのだろうと思います。
困ったように笑うセツミ、肩に手を置いた主人公。さぞ眩しく映るでしょう。
人間いつ死ぬかわかりませんからね。明日かもしれないし、50年後かもしれない。そんなの誰にもわかりません。自分も元気なうちに死ぬまでにやりたいことを考えておこうかなと思わせてくれた作品でした。
最後に
ナルキッソスの1と2はフリーゲームで、すてーじななのサイトからダウンロードできますので未プレイの人はプレイして、どうぞ。
steam版もあります。こっちは有料でDLCですが、すべての作品が買えます。
自分はとりあえず買いましたが全部はやれてないです。やらなきゃ…
ちなみにサントラがめっっっっっちゃいいので、それだけ買ってもいいかも。
ここまで読んだ人はナルキッソスのファンだな!(名推理
以上!終わり!閉廷!解散!