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第61回宣伝会議賞【赤ちゃん本舗】篇
ちょうど2023年度の第61回宣伝会議賞の終了から一か月たち、運命のいたずらか、たまたまパソコンの前に座り、違う公募のファイルを開けようと思ったら、宣伝会議賞のファイルを開けてしまったので、せっかくなので備忘録も兼ねて「振り返り」をしてみようと思う。
各課題について、ちょこちょこと書こうと思ったら、一発目からいきなり長くなったので、せっかくなので29回に分けてお送りしようかな(笑)。たぶん、絶対に続かないけど。
なお、万が一にでもファイナリストに選ばりたりなんかしちゃったりしちゃわなかったりしちゃったときに、その作品の作者が分かってしまうとファイナリスト取り消しになったりすることもあったりするらしいので、こういうのにつきものの、「具体例」、つまり、その結果書いたのがこんな作品です、という自作の紹介を入れることのできない、なんとも消化不良な備忘録になってしまいます。
具体的に1次通過発表が終わって通過ゼロだったり、最悪でもファイナリスト発表があったときに、確実に違う、となったら書けるわけですが、そんときゃあんた、ワシが忘れとるがね(笑)
相変わらず前置きが長いので、そろそろ本題。
まず第一回は【赤ちゃん本舗】さん。
たしかフライング気味に8月に7つほど協賛企業が発表されて、そのうちの一つがこの「赤ちゃん本舗」だった気がする。
協賛企業名なだけで、課題までは発表されていないわけだが、まぁまず間違いなく「赤ちゃん本舗の魅力を伝える」という内容であろうから、これはフライングで考えても大丈夫だろう、とその時点で考え始め、9月の正式なスタートまでに20ほど考えていた。
ほぼ直感的にだが、これはたぶん簡単に100行く課題だな、と感じた。
というのは、僕には子供がいて、まだ6歳と、比較的最近まで(いや、今でもか)赤ちゃん用品店に通っていたからである。割と生活に密着している。体験談に基づいて書きやすい。残念ながら、僕の住んでいる近辺には赤ちゃん本舗はなかったけれど、西松屋さんという赤ちゃん用品店とあとはイオンにある赤ちゃん用品店を参考にして書いた。
実際正式に課題が発表されると「アカチャンホンポならではの取り組みや魅力を伝えるアイデア」となっており、「ならでは」が引っかかるところではあるが、まぁそこらへんは無視して「赤ちゃん用品専門店」でざっくりくくっても問題ないのが宣伝会議賞というものである(笑)
取り組み始めるとすぐにわかるのが、結局「我が子への想い」を語る、というものにすり替わっていくのだな、ということだった。
赤ちゃん用品を取り扱うお店のコピーを書こうとするのだが、そうするためにはそれを買いに来る親、お父さんお母さんがどんな気持ちでいるのか、ということになり、つまりは「我が子への想い」を語る場所になっていくのである。
そしてこれには2パターンあり、「生まれる前」と「生まれた後」になっていく。生まれる前はワクワクと不安を描くことが出来、生まれたあとは想像していたより大変であることや、その存在が存在していることへの不思議さを描くことが出来た。これは正直、無限に書けるな。そう感じた(笑)
とこがどっこい(古いな表現が)、こいつが罠で、上記の方法でどんどん書いていると、どうもおなじパターンばかりになることに気づくのである。要は「愛」「愛」「愛」ばっかりになり、ぬたーんとした気持ちの悪―い、ムズがゆーいコピーばかりになるのだ。
なので、今度はそこから「外す」作業も入れだした。
ひとつは「親」目線でばっかり書いていたので、逆に「赤ちゃん」目線のコピーも入れてみよう、という試み。数は出せないけど、これでいくつかパターンが書けた。
次はもっと俯瞰で、「人類全体」における赤ちゃんの役割を描いてみた。これもなかなか面白い思考実験で、実に「当たり前」のことがいくつかわかりコピーになった。
ほんでもって当然ながら、お店のことを書く、ということもやった。ちゃんと、ホームページに見に行って赤ちゃん本舗の取り組みを調べたり、歴史っていうのかな? これまでの経緯を見たりして、それをまぁちょいと味付けしてコピーにする、というものである。
特に、お店サイドの人間の気持ちになって、実際に店内に立って(イメージの中でね)お店を見回した時に、来るお客さんはすべて「親」か「子ども」(あるいは「祖父祖母」と「孫」)であることに気づき、そこを突いた、実に大胆なコピーも思いついた(ああ、お見せできないのが残念だ)。
とにかくこうやっていろいろ考えた。
実際はこうやって、ブロックにわけてって感じではなく、ある程度考えたら次の切り口を探し求めて、また次の切り口を考えて、そこの草を食べつくしたら、また最初の場所に戻ってきて、もうないと思ってたけど、まだなんかあったんじゃないか? と掘り返すような作業だったんだけど。
でも全課題の中で、一番楽で、一番楽しい課題だったんじゃないかな? と思う。
基本、赤ちゃんという「愛」とか「命」とかお堅いものでありつつ、おめでたいことでもあるからふざけたものも書きやすく、ダジャレとかブラックジョークとかお軽いのもバンバン入れられた。たぶん、100と言わず200とか300書けたんじゃないかな? と思っている課題である。
でもそれって、たぶんみんなおなじで、ライバルたちも、刺さる、笑える、泣けるいいコピーをいっぱい書いてそうである。激戦区だな、と初めから感じていた。いかに頭一つ、いやみっつかよっつ抜け出たものを書けたか、であるが…。
Twitterを見てると「むつかしい」という方もいたけど、僕的にはこれは本当、今回の課題の中で一番入門編みたいな、いろいろ書けるしいい課題だな、と思っていました。一番楽しんで書けたんじゃないかな?(笑)
ここばっかり書いているとどんどん書けちゃうから、わざととっといて他の課題で行き詰まったら(たいてい行き詰まってたけど)、ここに息抜きに来る、みたいな。
思った通り具体例がないから、ぬるーッとした振り返りになりましたね。
好評であれば(まぁなくなっても気が向けば)またほかの課題も書いていきます。