鶴子
「出て行ってくれないかな?」女が目を覚ましてすぐ私は話しかけた。
しかし軽くこちらに視線を向けただけで返事はなかった。
もう一度「出て行ってくれないか?そろそろ妻が帰ってくるんだけど」と言うと女はゆっくりと立ち上がり玄関へ向かっていった。
そして無造作に脱いだ靴を履き、ドアを開け去り際に小声でこう言った
「またくるから…」そう言って帰っていった。
あとで冷静に考えると恐怖の体験であったが、その時はホッとした気持ちが大きくて問題が解決したように思えた。
翌日は妻も仕事が休みで家にいたので心強かった。
もしあの女が来てもふたりなら追っ払える。
もう二度と来ないだろうとも思っていた。
案の定、女は来なかった。
その翌日も妻は休みだったのだか来なかった。
一体あの体験はなんだったのだろうか?
もう済んだことだから忘れようと心に決めていた。
しかし、女は現れた…
<つづく>
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