大空を飛んでいるつもりだった
社会の価値観なんて関係ない。いい会社とか、役職とか、興味がわかない…。わたしは、みんなの価値観には関係ない。好きなことをして生きる。
社会人を始めて4,5年経ったころのこと。
「いい学校をでたら、立派に働かなきゃいけないんだ」という理性に縛られていたことに気づき、もうこれからはこころに従おうと思って、転職先も見つかってなかったけど会社をやめた。
好きじゃないOL風の服に身ををつつみ、息苦しい電車に乗って、好きじゃない上司に愛想笑いをしていた毎日から解放された。
転職先が見つかっていないことは怖くなかった。だって、もう社会の枠組みで生きるつもりはなかったから。
当時、好きだったひとがオランダに住んでいたこともあって、いつ好きなひとができても、好きなところにすぐ行けるように、どこでもできる仕事がしたいな。そう思って、ウェブライターとしてアルバイトをはじめた。
はじめてみたら、結構上司に褒められることも多くて、じつは小さいころから書くことが好きだったことを思い出した。楽しかった。働くのは週3くらいでいいと思ってたから、それくらいのペースで働いた。
そのうち、アルバイトもやめてフリーライターになった。取引先もうまく見つかったし、なかなか楽しかった。有名な雑誌で書かせてもらうこともあって、夢かと思った。
ひとから話をきくこと、上手にまとめること、書いた記事が面白いって言われることはすごく嬉しかった。
でも、いつも締め切りに追われているのはいやだったから、固定の収入もほしくて、片手間にスタートアップでバイトを始めた。創業当初にジョインしたので使い勝手がよかったみたいで、いつの間にか会社に飲み込まれて、最終的には社員のように働いた。
そこには結局4年ちょっといた。
ライターの仕事も続けさせてくれたし、海外から働きたいといえば、それもさせてくれたし、融通がきくから「最高の会社に出会った!」と思っていた。
もちろん、自分も環境も変わるから、「最高の場所」も最高じゃなくなることだってある。
この会社もそうだった。でも「最高の場所」だと思い続けていたから、思っていたかったから、もう自分に合わなくなっても辞められなくなっていた。
本当は、苦しい。手放さないと。って、1年前から思っていたのに。
年齢も考えると、そこそこいい給料をくれて、自分の好きな仕事も続けさせてくれる会社なんて、ほかにないと思っていた。でも、その会社に残っているのは「恐れ」からの選択でしかなかった。
安定した収入がないといけないから。ひとりで生計をたてないと、いけないから。
あるとき、上司との面談中にぶわっと泣き始めてしまった。幸い面談がオンラインだったから、泣いているときはうまくマイクをミュートにしたりごまかせたのは、ちょっと現代っぽくて笑える。とにかく、もうこの会社にいるのは限界…って抑え込んでいた思いが吹き出した。
それでこの5月末には、やめることにした。
灰色で、冷たくて、固くて、すこしドロっとした会社に、社会に、もういちど飲み込まれる寸前だった。
自由な働き方ができて、海外からも仕事ができて、オフィス出社も好きなときだけでよくて、わたしは「会社員」という枠からはずれた自由な働き方をしている。以前の働きかたに比べれば、ずいぶんと解放されていた。
だからわたしは自由だと思っていた。自由に空を飛んでいたつもりだったけど、本当は鳥かごがすこし大きくなっただけで、まだ鳥かごのなかでバタバタしていたんだ。
何回も何回も失敗してきたけど、そのおかげで、もっともっと自由になるためのたいせつな方法がやっとわかった。
みんながのびのび生きられる世の中を夢みて、活動しています。よかったら応援よろしくお願いします^^