【感想】『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(2021)
ジョス・ウェドンの『ジャスティス・リーグ』(2017)が大味な大作映画なら、本作は異常な大作映画だ。
242分という上映時間も異常なら、アスペクト比まで異常というザック・スナイダーの異常さが際立つ本作について筆者の感想を記す。
結論から言えば筆者の本作に対する評価は高くない。
具体的には、筆者が最も期待していたジャンキーXLの音楽がイマイチな点だ。スーパーマンやワンダーウーマンと違い、新規メンバーやジャスティスリーグのテーマにわかりやすいメロディーと盛り上がりに欠けるのは残念だ。
次の点は、筆者がウェドン版の頃から疑問だったラスボスと原子炉の中で戦うというシチュエーションだ。放射線に被曝してリクビダトールのようになってしまうのでは?と思うのだが、一般人代表のバットマンすら何ともないのは不可解だ。この事について本作でも特にフォローが無いのはいただけない。
他にもサイボーグの父親はあのレーザーで箱ではなくステッペンを撃てばよかったのでは?であるとか、ナイトメアバットマンのくだりが意味不明であるとか、DCユニバースのワンダーウーマンは好きになれないであるとか、悪い点を言い出すときりが無いのでここまでにする。
もちろん良い点もある。
サイボーグが母親と事故に遭うシーンをスローでは無く一瞬の悲劇として描いたシーンや、サイボーグが自分のスーパーパワーに目覚めるシーンを視覚的に表現するシーンや、サイボーグの回想シーンで現在の自分が過去の自分を見つめながら話すシーンや、サイボーグが自分のアイデンティティを確立する事で敵に勝利するシーンや…つまりサイボーグが本作最大の良い点であるという事は強調しておきたい。
話をまとめると筆者の本作への感想は多くの欠点を抱えたヒーロー映画だが、サイボーグに関しては良いというものだ。まぁ、隠し腕は箱の分離の時だけ使ってほしかったとも思うが。
感想から離れて一般的な話をすれば、本作とウェドン版を見比べる、そして自分はこっちの方が好きだとか、何故こっちはココを変えたのか?と作り手たちの思惑を妄想する楽しさはあると思うので、本作と合わせてウェドン版も観るというのが筆者のおすすめである。