【感想】ファイナルファンタジーⅩ HDリマスター
「コロナ記念オリンピック」などやらないでくれ、というわけで、完全にオリンピック嫌いになった筆者が新たに現実逃避として選んだのがこちら。
『ファイナルファンタジーⅩ|Ⅹ-2 HDリマスターツインパック』(スクウェア・エニックス 2001ー2004、2013)
筆者にとって『FFⅩ』は以前からやってみたかったゲームなので、この機会に遊ぶため購入した。
まず、クリア後の感想としては、ストーリーにおける問題、特に「泣ける」という部分で本作に対して嫌悪してまうのが辛かった。
基本的なストーリーは、シンという巨大なモンスターに脅かされる異世界で、何故か女の子が世界の命運を背負ってしまう、という『風の谷のナウシカ』(1984)を想起させる内容だ。その事に嫌悪は無い。
筆者が辟易したのは、ストーリー中盤からのシンを倒す方法をめぐる「私が死ぬ、俺が死ぬ」合戦で、キャラクターの自己犠牲をウェットに描く事が「泣ける」話、という『宇宙戦艦ヤマト』(1974)的な発想である。
そして、その自己犠牲も根拠があるものでは無く、ストーリー終盤、飛空艇の主砲がシンの腕を撃ち落とす描写があり、「強力なマシンがあれば自己犠牲など必要無いのでは?」と受け取れるあたりも『ヤマト』的な頭の悪さで、本作に対して筆者の嫌悪が増してしまった。
あとは、シンという具体的な脅威がある世界で「ブリッツボール」というスポーツに興じる人々とは何かと考えてしまう、そして、それはコロナ禍のオリンピックという現実問題を想起してしまうという点も筆者の嫌悪するところである。
以上が筆者が本作に感じた悪い部分で、もちろん良い部分もある。
まず音楽だ。ドビュッシーを思わせるうねりのある「オリエンタルな西洋音楽」がちゃんと出来ている。筆者が個人的に刺さったのは音楽スフィア「M14:ほうこうの炎」だ。
演出も良い点だ。「ローポリ劇+ムービー劇」という今となっては陳腐化した様式だが、時代的な制約がある中での映画的な見せ方、特に映像スフィア「36:聖なる泉」での浮遊感あるラブシーンは力作だった。
バトル演出でもラスボス戦の召喚獣達をたたみかける事で最後の戦いを盛り上げていくというアイデアは良いなと思ったり、本作の音楽と演出の頑張りが筆者の本作をプレイし続けるモチベーションとなった。そして、これも…。
筆者の本作への感想をまとめると、音楽と演出は良いが、根拠無き自己犠牲を「泣ける」話とする『ヤマト』的な発想が本作への嫌悪を増してしまう、というものだ。
それでも『ファイナルファンタジーⅦ』(1997)よりは好きかな…と書こうとした筆者は甘かった、それは何故か。
その理由は筆者が購入したのは『FFⅩ』単品では無く「ツインパック」だったから、つまり『Ⅹ-2』が凄すぎたから、というわけで次回の感想はこちら。
本当に凄すぎた…。