【感想】『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』
『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』(2020)をDVDで観た。コロナに感染するのが恐ろしいので、映画館に行くのは控えた。
物事にはアルファがありオメガがある。
例えば、ライアン・レイノルズの『デッドプール』(2016)について語るなら『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)について語らなければならない。
そして、『劇場版 仮面ライダーゼロワン』について語るなら『仮面ライダークウガ』(2000)について語らなければならない。
『仮面ライダークウガ』は髙寺成紀の東映特撮への憎しみ、荒川稔久の遅れる脚本、オダギリジョーのヒーロー番組への嫌悪と、石田秀範の才気走る演出で成り立っている。
更に、彼らが賢かったのは海外ドラマの『ER』(1994)を参考にすることで東映特撮には無いリアリティを担保した事だ。
筆者は「EPISODE47 決意」など未だに観賞に耐えると思うが、もし、『仮面ライダークウガ』が宇宙刑事シリーズのように作られていたらどうなっていただろう。考えるだけで恐ろしい。
この、東映特撮にリアリティを持ち込む手法は後番組の『仮面ライダーアギト』(2001)まで受け継がれた。筆者はライダーシリーズで『仮面ライダーアギト』が一番好きだ。
だからこそ、『仮面ライダー龍騎』(2002)が始まった時に味わった筆者の失望感をどう伝えたらいいのだろう。『ビーファイターカブト』(1996)が終わり、『ビーロボカブタック』(1997)が始まった時と同じだと言えばわかりやすいかもしれない。
話が脱線した。では、『仮面ライダークウガ』を踏まえて『劇場版 仮面ライダーゼロワン』を観るとどうなるか。
『劇場版 仮面ライダーゼロワン』にも良いところはある。ヒロインの魅力。敵にも戦う理由がある。そして、バルキリーのバイクアクション。
だが、悪いところもある。主人公のギャグ。カパカパ動く着ぐるみの肩パーツ。そして、アキラ100%の裸。
何より一番悪いのは、アニメを模倣した演出だ。
これは、筆者の『仮面ライダーゼロワン』(2019)テレビシリーズへの批判でもあるが、アニメの手法で実写を撮ると、実写が持つ最大の武器である作用・反作用、重力や加速力が消えてしまう、すなわち、リアリティが無くなるという問題がある。
更に言えば、テクノロジーを主題にするならば、演出だけでは無く、ストーリーやキャラクターにも、もっとリアリティが必要だったはずだ。
『仮面ライダークウガ』は『ER』を参考にしたが、『劇場版 仮面ライダーゼロワン』は何を参考にしたのだろう。『ER』ではあるまい。アニメを模倣した実写といえば、庵野秀明の『キューティーハニー』(2004)だろうか。何にせよ、あまり賢いとは言えない。
話をまとめる。リアリティの無い東映特撮はただの東映特撮だ。『仮面ライダークウガ』にはリアリティがあった。『劇場版 仮面ライダーゼロワン』にも良いところはある。しかし、リアリティが足りない。