ひとりごと
「この人に嘘はつきたくないな」
と思ったことが、人生で一度だけある。
なんでかは分からない。
嘘とか、バレなきゃいいとか
都合の悪いことを都合のいいように解釈して生きてきたことも多かった気がする。
でも、またそんなことを繰り返してしまいそうな時に
なぜか、ストップがかかった。
「裏切りたくない」
たぶん、そう思った気がする
嘘がバレた時のことを想像したら血の気が引いた。
目先の欲望とか、感情とかをそれが追い越した。
それから
都合のいい嘘をつかなくなったような気がする。
そうすると
何より自分の気持ちがラクになった
嘘は、すごくめんどくさいもので
すごく頭を使うんだと思う
自分のことを嫌いになって答えのない問いを繰り返す時間も減った
人の嘘に、感情的になることは滅多にない。
自分も嘘をたくさん利用してきた人生だったからかもしれない。
その代わり
失うものの大きさを静かに感じるようになった
こうやって、減っていくものなのだと。
そして、修復することが限りなく難しいものなんだと。
どうして嘘をつかなくなったのか分からない
「裏切りたくない」
そんな思いに出逢えてなかったら
きっとわたしは今も都合のいい言葉を重ねて、使わなくてもいい頭を使っていただろうと思う
そして、取り返しのつかないものを失うことになっていたとも思う
邪な思いが消えたわけじゃない
ただそこに、ストップがかかるようになっただけ
嘘や隠しごとの
ひとつやふたつあるのは当然。
墓場まで持っていく話もあるでしょう
人間だもの。
ただ
人を大切にするために貫き通す嘘
じゃなく
都合のいい嘘で人間関係にヒビを入れるような思いは二度とごめんだ
そうして
人の嘘を静かに受け入れる
人の嘘をどうこうなんて誰もできやしないんだから
そうかそうかと、悲しいような虚しいようなどうしようもない気持ちにのまれるだけ
そこからどうなるかは、わたしも知らない。
そこだけは、正直に生きられないかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?