『魂の器』 てくてく通信+🎈 #34
こんにちは、英会話Oneのただともこです。読む瞑想マガジンへようこそ。
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あなたの毎日の底に静かで気持ちのいい音楽が流れますように。
器
寒さの峠は越えたでしょうか。今日はアトリエもフル暖房ではないです。寒さの中には、あたたかいココアを飲んだり、ふとん天国で長く眠ったり、いつもより暖かく人を迎えたりできる良さがあります。夏も素敵ですが、私は冬のほうが年を取るにつれて、どんどん好きになっていきます。渋い趣味になってきました。
今日は器の話。
人はそれぞれ生まれてきてから、自分の魂を容れる器を用意します。それは性格だったり、好き嫌いだったり、人格や、その人の特徴を表した容れ物になります。中には、魂や気持ち、悲しみや痛み、喜び、日々の楽しみや疲れや、ストレスなどいろんなものが入っています。日々、みんながその中身と容れ物を手入れして生きています。
人々を観察しているといろんな形の器が見えます。とても深い形のお椀のような器。花瓶のように細く深い器。お皿のように広く浅い器。模様がついている器。透明な器。深い釉薬で色付けされた器。蓋が閉まっている器。たくさんあります。私はそれを見極めて、眺めるのが好きです。いろんな器があるなぁと思います。
その器の入り口から、人々は、感情や情報を言葉やしぐさや行動で表してやり取りします。たまに、人の器の中に、自分の負の感情を無理やり投げ込んでいく暴力的な人もいます。そういう人は、その人自身の器が壊れていたりもします。穴が開いて、水漏れしていたり、ざっくり半分に割れているのに、手入れをしていなかったりする人。そういう人もいます。
私の器は、ずいぶん小さいときに粉々に壊されました。そこから、一つずつかけらを拾って、金継ぎという方法を使って、ついできました。漆を小麦粉と一緒に練って、糊にして、かけらとかけらの間に塗って、二つをくっつけます。3週間くらいかけて乾かして、その継ぎ目に、金や銀の粉を漆と一緒に塗ります。また3週間くらい待つと、とてもきれいな形になります。博物館やネットで見たことがないでしょうか。割れた器を継いできれいに修復して、元の器よりもっと美しい器になっている様子を。
私の器は今でも、まだ、穴がきちんとふさがっていなかったり、淵がちょっとかけていたりしますが、長いお休みの時と毎週毎週のお休みに、私は自分で自分の器に金継をして、自分の器を作っています。大変ですが、とても気持ちがよく、楽しいです。
みなさんの器も、壊れることがあります。人生の大きな出来事、失恋や離婚や死別、失業、転職、あるいは、他者からの暴力、自分の暴力、事故や天災、天災から派生した人災。そういう時に、器は淵が欠けたり、腹が壊れてしまったり、本体が二つに割れてしまったりします。多くの人は、そこから、自分で丁寧に、その器を直していく作業をします。これは痛みに向き合う作業なので、とても難しいです。そして大変です。でも、Oneに来るみなさんの中には、そのかけらを合わせている途中の方に出会うことがあります。私はひそかに、頑張れと心の中で思って、応援しています。
人生に何の事件も起きなかったら、それはたぶん、あんまり味気ない人生だろうと思います。生きている限り、器を直しながら、よりいい器を自分で自分のために作りながら、成長していくのが、人生の醍醐味です。器が割れた時は、そんなひどいことが起きるなんて!しかも、自分だけに起きるなんて!と思うものですが、スケールの違いはあっても、器が割れることは誰にでも起きていることです。大事なのは、そこからどうするかなのです。
いつか、この世を去るとき、金継された、深い釉薬の、手に取ったら深くほっとするような器を、最後の荷物として持って、それを土に返して、この世を去りたいなと思います。誰にも作れない、自分だけの、満足のいく、納得のいく器を最後に見て、それを丁寧に土に返して、自分の死を見つめたいです。映画「リトルブッダ」に出てきた最後のシーンで器を半分に割って魂(水)が元に帰っていく様子と同じように、静かに、自分が来たところに透明になって帰っていきたいと思います。だから、日々、器は大事に継ぎます。そういう見えない毎日の行いが、その人がどうやってこの世から去るかを決めると私は思っているからです。
みなさんの器はどんな形ですか?色ですか?よかったら、教室で教えてください。
ちょっとしたおすすめ
干し柿バター
久しぶりにレシピの紹介です。
私は無農薬食品やビーガン食品が好きなのではなく、丁寧な味のするものが好きなのです。
だから時々は、バターコーンラーメンとか食べます。
この冬に一品。外国にも是非。
編集後記
ノルウェーに行くRisaさんの受け入れ先が決まりました。ほっと一息ついています。それと同時に、この仕事のむつかしいところは行きたい人が責任の所在をはっきり理解していくことなのだと実感しました。私は日本からはいくらでも助けられますが、外国に行ったらほぼ何もできません。その中で、ほかの人に自分の不安を押し付けずに、でも、きちんと助けてもらって、自分で自分のしたいことを自分の責任でやっていくことを学べたらどんなに素晴らしいかなと思います。留学のほとんどはそのことを学ぶためにあるといっても過言ではありません。そして、もちろんこれは日本にいても学べることです。自分で自分のけつを持つ。とっても人生がすっきりします。
(初出:2019.2.9)
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