カバンの中身

服にも靴にも事件を起こすけれど、一番事多いのは鞄だとは思う。あれは、確か寒い朝だった・・・。

爽やかに朝早く目覚めた日。朝からゆったりと過ごせば、肌に刺さりそうな寒さも清々しさに変わる。
大きな荷物があったので鞄を入れ替えて、ゆったりと準備をして家を出る。肩にグッと重みを感じるのは、朝の冷気で体が固まっているからか、コートの重みだろうか。それでも足取りは軽い。目的地について、荷物をおろし鞄の中から荷物を取り出して、全ての物が揃っていて、ちょっと嬉しくなる。ああ、朝ゆったり過ごすって素敵。

・・・と、酔いしれたのも束の間。
鞄の底から何やら大きなものがいることに気づく。

なんと!鞄の中に湯たんぽが!
なぜにー!

布団の中をあっためて私をホコホコにしてくれる湯たんぽは愛らしいけれど、鞄の中にいる冷め切った湯たんぽなんて、重くて間抜けな憎たらしいやつにしかみえない。なぜにお前が鞄の中に!?なぜに私はお前を持ち歩いたんだ!?と深き謎を抱えたまま、お手洗いをお借りして湯たんぽを運びお水を流したのだが、巨大なカバンごとトイレに入れなさそうだったので、扉の前で湯たんぽを取り出しす間抜けさよ。優雅な時間が一瞬にしてコントに変わってしまった冬の朝。


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