腕にいない腕時計
s私の人生、物を捜索している時間を積算していくと、エライコッチャになるような気がする。そして最近は「ない」と思った瞬間に、無意識にどこかに置いてきた自分を全く疑うことなく、さっさとあちこちに問い合わせをする自分がいる。というわけで、関西のJR・私鉄(京都のバス含む)の落とし物とセンターは、おそらく網羅したと思われる。
先日も、腕時計が見当たらなかったので、その日行った場所に問い合わせをした。残念ながら見つからず。ああ、またやってしまったと頭を抱えていたところ、3日後、その日持っていたカバンのポケットから出てきたのである。
「一番疑うべきところやろ。」
「見たつもりって、こんなポケットにドカンと入ってるのは見てない証拠やろ。」
と先輩刑事から怒鳴られそうな初動ミスではあるが、落とす方も探す方もポンコツなのだから仕方がない。とりあえず見つかったので、めでたしめでたし、ということにしておきたい。
ここで、「腕時計って腕につけてるのに、どうやって外で落とすんですか?」と思った人は多いだろう。そして、実際にこのセリフを吐かれたことがある。ええ、私もそう思っていた。だから、腕時計だけは見つからなくても、絶対家の中で息を潜めているもんだと信じていたのだ。一年半前までは。
ちょうどそのとき、メインとサブの腕時計が失踪するという事件があり、20年近く使っていたサブは家のソファの下から出てきたが、メインの新しい方が一向に出てこなかったのである。「そんなに酷使したら時計が可哀想・・・」と時計に同情して買ってくれた母に言いづらいよな・・とと冷や汗を垂らしながら、大掃除のごとく探ったが出てこなかった。みなくなってから、すでに数週間は見ていなかった気がするので、問い合わせ先も困った。大体、腕時計なんてどこで落とすんだと途方に暮れながら、最後の砦で警察に電話をしてみたのである。
そうしたら、なんと見つかったのである。
いつ、どこで、無くしたかわからず、名前が書いているわけでもない腕時計となると、警察の方も確認しようがないので本当に手間をかけてしまった。時計には製造番号というものがあるらしく、保証書写真を実家の母に送ってもらい(なんでそんなものいるの?と聞かれたが、素直に答えられない娘・・。)無事確認が取れた。
最初に電話して受けてくれた府の警察のおねえさんも、管轄の警察署の電話のおねえさんも、そして窓口で対応してくれたおねえさんも、おおよその時期も場所も説明ができないな私に対して、「どっちかでも良いから思い出せませんか?」「本当に3週間前ですか?もうちょっと前ってことはないですか?」「そうかも・・記憶がないから、1ヶ月ちょっと前だったかもしれません」というと、「その頃に届いたのならありますから、きてください」となんとか助けてくださろうとしてくださったりした。さらに、「今から取りに行きます!」と鼻息あらい私に「いや・・もうちょっとで窓口しまっちゃいますし、書類かいてもらわないといけないし、まだ大丈夫ですから、時間余裕あるときにきていただければ」と丁寧に制してくださり、電話を切る前にはなぜか警察のおねえさんが「ありがとうございます」とお礼まで言ってくださった。
拾われた場所の住所を見ると、家のものすごい近くの路上だった。私はどうやって道で腕時計をすっとばし、気づかなかったのか、未だ深い深い謎である。
ちなみに、このおよそ1ヶ月前くらいにも同じ警察にお世話になっておりまして、それはまた別の機会に・・・。