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ネトフリでタイプロ(3〜4次)の雑感

※この記事を書いているのはプロの楽器奏者です。同じ職を名乗る人の中でもおよそ1%の特殊な職業に就いており、その視点で書いています。どちらかというと、なんでもこなすアイドルであるメンバーと違って、現場で職人のように仕事をこなす4次参加の俳優部や、専門職として職業舞台人だったり指導側でもあるダンス指導のNOSUKE先生の方が近いかもしれない。

俳優部の合流によって急に現実が見えたように思ったので、今これを書いています。既に現場で経験の長いプロと、プロを目指す上手い人がどう違うのかということ。

舞台に立つ者というのは、自分の頭で考え、自分の持っている引き出しの中からどう組み合わせるかが問われます。プロの自分に指導をしてくれる人などほぼ居ない中で、何がベストかを常に模索し続け、どう練習すれば良いか考え実行し、人前に立つ時にはいつもその時の正解を見せることができる事だと思っています。

だから、すごく分かるんです。候補生みんな頑張ってるとメンバーは言うけれど、頑張れば良いというものではない。プロと比べるとそもそもその意識が違う。向き合い方が違う。見ているビジョンがちがう。目標にする満点のレベルが違う。正直追求すればするほど満点なんて無い。それは教えることではなくて、自分で気が付いてくれないと意識は変えられない。

芸能界だけではなく、この演者側の業界で、おはようございます(その日二度目以降ならお疲れさまです)と仕事終わりのお疲れさまでしたは、人の顔を見れば条件反射で口から出るくらい当たり前のこと。たとえばそういった空気感を自ら察することが出来ずに「挨拶はしなさいね」と言われてからするようになるなんて論外。常に周囲を見て自分自身と闘い瞬時(本当に秒単位)に現状のベストを考えそこに尽くす、それはShow must go onの為には一番必要なこと。現場では何かが起こった時に、現実では1秒の間でも頭の中では時が止まったかのような熟考があり文字通り瞬間的に答えを叩き出す、YouTubeのライネクチーム定点カメラで起こっていた「落ちたスカーフが危険のない所にノールックで蹴飛ばされる」がまさにそれ。どちらかというと、あってはいけないことでありつつもわりと日常的な出来事。

また、体調管理や仕事に影響しない身体管理も仕事の内。この自己管理で言うと、例えば私は楽器奏者なので転んで足を捻挫しようが顔をぶつけようが、手を使う楽器奏者は転ぶ時に反射的に手と楽器だけは庇う。その結果、顔からいって歯を折った人や変な転び方をした人をたくさん知ってる(仕事に影響しない)。そう思うと踊る人が、それが不慮の事故でもない限り、足の怪我なんて話にならない。ちなみに不慮の事故があったとして、それが試験やオーディションのような大事な局面だとすると、この世界は運も実力なんですよ、運に味方されないのはご縁が無かった、そんなところに救済の余地など無いのがこちら側の業界、舞台人は縁(験)は担げるだけ担ぐきらいがあります。

プロとして人前に立つ者にとって、自分がどうしたいか、どうやってるつもりかなんてお客様には全く関係なくて、お客様がどう観るかどう聴くか、そしてお客様にどう見えるかどう聞こえるか、それが全てなんです。やってるつもりで客観視出来ない人はそういう性格でそれは今更変えられないし、自分から探りに行かず誰かの助言がないと上手くなれない人は指令通り動くサラリーマンの方が向いていると思う。

上記で少し触れたけど、目指している仕上がりが違うのも大きい。プロに完璧なんてないからどこまでも上を目指す。人の自己評価ってその人が目指している到達点のパーセンテージでしかなくて、お客様の思う100点に対して、満点が50点だと思っている人の満点と、満点が150点だと思っている人の90点には、客観的に見た時に40点もの差がある。本人たちがそれに気付いていないから、自己評価満点の人と自己評価6割の人に乖離ができるし、離れたところから見ると少し滑稽な光景になるにも関わらず、怖いのは、近くに居る人からしたら自信に満ち溢れた自己評価が高い人の方が上に見えてしまうこと。

これ、プロはたとえ近くにいても瞬時にわかるんです、言動や態度がそれっぽくても実力が全てだから。それが同じ側で見ているメンバーと、客観的に見ている指導側の違いかもしれない。アイドルは色々なことが加味されるからプロのアイドルとしての視点はまた違うことは承知してる、それは立場が違うから私にはわからない。ただ職業舞台人は完全な実力主義で「頑張ってる」なんて気持ちに1ミリの同情も無いので。(但し、実力以外に、リハから本番を通して一緒に仕事しやすい人、という一定の見方はあります。性格とか。)

あと、これはオーディション番組だから自分からマウントを取りに行くのは仕方がないかもしれないけれども、同じグループの中で自分が1番良く思われようとするのは違う。自分が1番頑張っているというのも違う。自分が1番やる気がある、自分が1番人生賭けている、そういった、分かりもしない他の候補生の胸の内と比べて自分が1番なんて言うのは全くもって違う。グループって並列であるべきだから。あとこういう人にはこういうマウント気質なファンが付きます(断言)。

ところでうちもオーディションでメンバーを採用するので、受ける側の気持ちも審査側の気持ちもわかります。必要であれば書類審査の後、実力主義なので最初(1次)は思いっきり振り落とし、タイプロでの2次くらいの感じだけどあんなに丁寧に接することはなく、無理だと思ったら容赦なくお帰りいただく。本当にここでもの凄い振り落としをするので、うちで2次に進めるのは受験生の中で単に優れている人ではなく、自分たちと同じ舞台に立つにふさわしい可能性がある人(受験生の中で1番上手い人ではなく、明らかに実力の違う人)で、1番良かった人でもその基準に達して居なければ該当者無し、可能性のある人が居れば数名を残して2次でしっかり見極める(タイプロでの3〜4次くらいのイメージ)、実力を認知した上で3次では実地でやっていけそうか(トップレベルのプロ集団の中でもその実力を発揮できるかどうかと生活態度、タイプロではこれから?)を見る、そこまではプロが審査、その後の仮採用で社会人として適合しているかを事務所が総合的に判断する。最後まで進んでも該当者なし、は普通にあります。

とここまで書いてきたけれど、なかなか興味深いなと思っているのは、アイドルという職業は実力主義ではないところ。また愛され力だけでもないところ。ビジュアルと歌と踊りと愛され力を持ってして斗真くんや風間くんみたいにデビューが無かった人も居た。不思議なものです。視聴者として私も、思わず推してしまう人達の中に篠塚くんが居るので、私自身も実力だけでは見ていないなと思う。
タイプロの付けている順位はよくわからなくて、今のところは実力と期待値(伸び代)なのかしらね?でも結論そのポイントが高いことがきっと全てではないし、何よりタイプロはtimeleszの仲間探し、相性もあるだろうし、まだまだ振り落とし段階かな?きっと、この人と思う人がそれぞれ居たとしても、3次で大倉くんが言ったようにこういう仕事だよということをわかって貰った上でやっていけそうか、心折れて辞めずに続けられそうか、強靭なメンタルと体力と対応能力を持った人に絞るだけ絞って最後の数人の中に一緒に働きたい人が居れば、って感じなのかな?(個人の感想です)

アイドルとファンにも性格の相性があるから、ファンとして一つ恐れているのは、メンバーに対してマウントを取ってきたり他のメンバーを悪く言いそうな性格の人がファンに付きそうな人が選ばれること。先述したように本人がマウント気質だったり「自分が1番◯◯してる」ってポジティブな順位に拘る人には同じようなファンがつくからね、もうこりごりなのよ。。。

個人的に、寺西くんと篠塚くんのやり取り(指導その他)やそこにいつも笑顔で存在する前田大輔くんの構図が凄く好印象だった。パプレチームのエリート感も良かったけど、ライネクチームは色んなドラマがあって引き込まれたなぁ。人生遊戯チームはアクシデントに注目されてしまったところが残念。これも運が全てだと思うと仕方がない。

ここまで観てきて特に4次は全員のフルネーム覚えて愛着が沸いてしまって、誰が居なくなっても悲しい中での6人脱落。
特にbehindで前田(元アイドル)くんと寺西くんの短い会話と前田くんの表情を見た時に、あぁ彼はきっと合宿で寺西くんを見てしまった時から、自分はここじゃなかったと悟ってしまってたんじゃないかな、と。もちろん可能性を賭けて全力で頑張ったけど、ただアイドルを続けたいってこういうことじゃないんだって、そこそこの年齢と経験値のある彼は気付いてしまったんじゃないかな、なんて思って涙(個人の偏見です)。こういうのは現実を知らない若い候補生や自己評価だけ高い人には分からないことかもしれない。
そう思って他の人を見た時に、残念だった人は自分で現在地に気付いちゃったメンタルが、たむ達やNOSUKEさんに印象付いてしまったかな、なんて(何度と言いますが個人の偏見です)。念の為に補足しますが、残った人より6人が劣っていたんじゃなくて、経験値や性格としてただ気付いてしまった人ってことが言いたい。

最後に。ちょっと黒いこと言います。具体的な指導内容がYouTube behindでのティッシュくらいしか放送されて無かったから実際どうなのかわからないけど態度だけ見てもちょっと歌指導者の印象が悪い。体育会系での指導が向くダンスとフィジカルでは見えない歌は違う。出来てない人に「出来てない」と言う時間が勿体無いし、こういう風に歌うべきとか単語の発音やまとめ方とか、音程の取りやすい歌い方や声色の使い分け、踊っていてもある程度声が揺れないボディマッピング、それを言語化してお伝えして、上手になってもらおうと思えばいくらでもやることがある。編集で切られていただけだとしても、嫌味なんかレッスンとして時間の無駄。behind観た感じだと日野くんは仲間に上手に教えてたなぁ、あれがバリバリ現役の成せる仕事です。指導する人だって生徒をいかに上手くするか、これも結果が全てですから。

5次、どうなるんだろう。
誰にも居なくならないでほしい気持ちと、是非この人をtimeleszの一員にと思う気持ちは全く別のものなので、応援の仕方が難しい。落ちてほしくはないけどtimeleszじゃなくて別のグループが出来たら良いのになと思っているファンの雑感でした。

ここまで長々と読んでくださった方いるんだろうか(¯―¯٥)ありがとうございました。

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