web3.0の概念「コンポーザビリティ」とは
web3の業界では非常に大きな専門用語が飛び交って、「難しい」と思う人もいるかもしれません。私もその一人でした。
メタバース、NFT、Defi、DAOと活動領域はそれぞれだと思うのですが、web3の多くのサービスは概念に賛同しサービスが展開されているケースが多いので、まず「どのような考えの元で活動が行われているのか」根本から見る視点を持てるとより深く理解するきっかけになるかと思います。
今回は、私がweb3の中で最も感銘を受けた「コンポーザビリティ」という概念について解説していきます。
1.web3の背景
まずweb2の特徴として、下記の二つがありました。
一方でweb3は全く異なる価値観から、従来とは違ったアプローチを示しています。
今回お伝えする「コンポーザビリティ」という言葉は、web3に強く根付き影響を与えている考え方の一つ。
コンポーザビリティとは、日本語で「構成可能性」という意味。
企業がビジネス情勢の変化を察知して即応するための「マインドセット」「プラクティス」「ツール」を組み立てる能力という意味を持っていて、web3のプロジェクトにおいてもレゴのように組み上げてあたらしい構成をなせることが好ましいという考えです。
web2では情報共有が軸であった中でコアとなる部分は企業秘密として非公開にするのが常識でしたが、web3はオープンソースが基本なので、ブロックチェーン上に記載されている情報はだれでもコピーして使用することができる仕組みになっています。
つまり、従来の”隠すべきであった内容”もweb3では全て見れてしまうということですね。
また、こういった背景としてはブロックチェーンの
①非中央集権性
②データの対改竄(かいざん)性
③システム利用コストの安さ
④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在
していてもシステム全体が正常に動き続ける)
といったメリットが根底にあるからこそ、実現できたと言えるでしょう。
コンポーザビリティの利点を活かしたプロダクトは分散型金融であるDecentralized Finance(DeFi)が顕著に見られ、文脈では”マネーレゴ”とも呼ばれており、複数のプロトコルを繋ぎ合わせることで互いのプロジェクトにプラスの効果をもたらすことができます。
同様にゲームの開発であっても、スマートコントラクトプラットフォームであっても開発者はゼロから構築することなく、独自のプロジェクトを立ち上げることができるということです。
そして、こういったプロジェクトを参考にした作り手がより良いサービスを提供できる。いわばコンポーザビリティの概念ゆえに、技術者同志で相互利益を生み出すことができるということですね。
2.web3のプロジェクトにおいて重要視されている軸
共同開発やコラボレーションといったプロモーションも目立ち、他者のコピーが可能な世界。慎重に考えれば、デメリットと大きく捉える人もいるかもしれません。
だからこそMoat(競合優位性)を重要視されていることもまた特徴のひとつです。Moat(モート)とは事業という城が外敵から攻められた時に、事業を守り続けてくれる”堀”、つまり競合優位性や強みのこと。長く続く事業を作ろうとする際にはMoatがあることが必須と言われています。
競合優位性と書くと「競合が少ないことが強み」と認識するかもしれませんが、「ユーザーが選び続ける理由」と認識する方が反映しやすいでしょう。
投資家の神と呼ばれるウォーレンバフェットがMoatについて下記のように述べています。
結論として、従来のweb2は中央集権的であり、「比較」「競争」といった概念の中でサービスが展開されていましたが、web3はコミュニティにギブした人には相応の還元がされる仕組みで業界が一体となって「全員で勝つ」というコンセプトを軸にサービスが展開されています。
それがコミュニティ内でも、web3の業界という大きなくくりで見ても体現されているからこそ「コンポーザビリティであること」に価値があるとされています。
3.Fat Protocol理論
また、従来とは価値の所在が大きく変わったことも特徴のひとつ。
Fat Protocolとは、web3においてGAFAのようなアプリケーションよりもプロトコルにこそ価値があるという理論であり、web3のスタンダードな理論として捉えられています。
web3で重要なのは、これらのプロトコルはスマートコントラクトを書くことをだれでも記述することができ、一度書いた改変不能なプロトコルを管理しているのは誰でもないということ。
だからこそコンポーザビリティの概念において、皆平等に共通のルールのもとデータを扱うことができるということですね。