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#22 〖いちど立ち止まって生き方や在り方を考え直す場所が必要。。〗

第22回目は、『松浦朋子』さんから紹介いただいた『岡田勝太』さんにお話を伺いました!

"日本は立ち止まりづらい" という表現をぼくは初めて耳にしたのですが、すごく腑に落ちた言葉でした。

"浪人"という単語はとてもネガティブなイメージがあるし、同級生なのに年齢が上ってなると少し「ん?」ってなったりするのが、少なくとも学生時代の自分にはありました。自分の子どもが、そうならないほうがいいなという考え方すら、いまだにあります。

だけど、そういう思考こそが、若いうちからのチャレンジの芽を摘み取ってしまっているんだなと気づかされ、ぼく自身「何度でもやり直せる」「やりたいことはやるべきだ」という言葉を気軽に使ってしまったことを反省しなければと感じたインタビューでした。

そして、「仕組みや文化にしなければ」という言葉、とても響きました。

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Q1.今、どのようなチャレンジをしていますか?

岩手県陸前高田市に、2015年から移住して住んでいます。NPO法人SETという団体で活動をしています。東日本大震災で被災された地域に2011年から関わっていて、ご縁があって移住してきています。

いま、陸前高田で生き方・在り方に向き合いながら、自分自身と社会とのつながりを考える4か月の学校づくり、というチャレンジをしています。デンマークにある学校と連携をしながらプログラムの開発をしたりしています。

(学校の対象年齢は?)
大人の人もいますね。20代前半~後半といったいろいろな人が、この学校に来ます。日本にもともとあるような仕組みではなくて、デンマークでは成人学校と呼ばれているんですが、いわゆるビジネススクールとは違う大人のための学校です。

自分自身の学び直しだったり、生き方をどうしていこうかを改めて考えるための学校です。デンマークだと、17歳以上だと誰でも入れて、上は70・80歳まで通えるという社会福祉システムのひとつです。


Q2.今チャレンジしていることがどのような未来をつくっていきますか?

2011年に震災があってから、陸前高田の広田町という3千人の町で活動をしています。その町づくりをメインでやっていますが、人口が減っているいろいろな地域に、より良い未来をつくるためのチャレンジだとも思っています。

『より良い未来』が何かという話ですが、いま陸前高田市は人口2万人くらいで、田舎は人口減少が進んで、どんどん若い人がいなくなる。そういったときに、地方の田舎は、都心にどんどんいろいろなものを吸い取られちゃっています。

日本全体の持続可能性や良い未来を考えるとき、地方・田舎の意味はとても大きいんです。例えば、出産・育児とかって自然豊かな場所でしたいとか、教育も詰め込み式ではなく伸び伸びといろいろなことを感じながら、自分自身・社会について考えていくみたいなこととか。日本全体の持続可能性を、地方という場所が担っている可能性はすごく大きいと思っています。

日本の未来を創るってなったとき、地方に学び舎をつくることで、(日本の)端っこ・辺境の地から、日本の未来に対していい変化が起こせるような未来を創るためのチャレンジです。

あと、日本って立ち止まることを許されていないような雰囲気があるじゃないですか?当たり前のように就職活動して、それっきりずっと働いて、気づけば子どももいて、お父さんは子どもが成人するまで働き続けるみたいな。そういった形で、立ち止まれないんですよね。

立ち止まるとドロップアウトしたみたいな、社会的にダメなやつみたいなレッテルを貼られちゃうみたいなのがあると思う。だからこそ、若い人がもう一度立ち止まって考えて、自分自身の良い未来を考え直す場所が必要なんだなと、(自分自身も休学を経験している身として)感じていました。


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そういった若い人たちが(ほんとうは若い人たちだけじゃないんですが)、もう一度立ち止まりながら、限られた自分の人生の中で、何を手放して詰め込んで、もう一度歩み出そうということを考え直す時間が必要だなと思って、4か月の学校という方法論でやっています。

なので、日本の未来を、地方から可能性を引き上げながら創ることもそうですし。若い人たちが、もう一度立ち止まって・考えて・行動していく中で、「ほんとうに未来って面白くなっていくんだ」という社会との接続を創り、そういったことを学べるような場所を、震災があって生き方をすごく考え直させられたこの場所(陸前高田)から創っていくことが、ぼくの活動であり、それを通じて創りたいのは、日本の未来がより持続可能になっていく未来です。



(オフトーク:『誰かのために何かをすることの素晴らしさ』をたくさん体験してきた)

中学校くらいとかは、安全・安心に生きたいな・公務員志望だったんですよ、人のためとかボランティアとかあまり興味がなかったです。ぼくは家庭環境がめちゃくちゃで、いま思うとそれもギフトだったという気持ちもあるんですが、ふつうに考えるとよくぶれずに生きてきたなと。その影響もあって、中学の頃はひねくれていた部分があった。

高校3年のときに、良い仲間・人との出会いがあって、クラスメイトのみんなが社会問題に関心があったりとか、学校の先生から「もっと未来には期待が持てる」という話をすごくされたことがありました。いきなり変わったわけではないのですが、ぼくにとってすごく心が熱くなった。そういう仲間と文化祭をやったりする中で、そういった(人のために何かをする)体験があって、初めて興味を持ち始めたというのが高校時代です。

あと、日本1周の旅をしていた時期(震災前)があって、それは高校のとき、「ぜんぜん社会のことわからないな」って思って、日本1周ヒッチハイクで、いろいろな人に会いに行こうと思い、ぐるぐるしていく中でいろいろな考え方の人たちに出会いました。

そのあとに震災があって、「自分ってなんのために生きているんだろう」「どういう風にこれからも生きていきたいんだろう」「何が豊かさなんだろう」とかを考えさせられました。


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日本1周で出会ったいろんな人たちもいたし、自分もすごく恩をもらうこともたくさんあったので、やっぱり「誰かのためになれるようなことをしていきたい」というのが、そのあたりから自分の中にしっかりと芽生え始めました。2011年には、先輩からたまたまドライバーが足りないから、現地に行くときに「岡田は体力ありそうだから来て!」みたいに言われて、それで初めて陸前高田に入りました。

なんとなく誰かに認められたいから、誰かのために何かをやっていた部分も当初はあったと思うんですが、『誰かのために何かをすることの素晴らしさ』『単純に自分だけが豊かになっても、本当の意味で豊かになれないんだな』と考えさせらえる・気づかされるみたいな体験をたくさん経て、自分が生きてる社会や自分自身の話とすごくリンクしてきて、いまのような活動に昇華されてきたと感じますね。


Q3.二十歳に戻れたら、その未来に向かって何をしますか?

いまのことをまたやりますね。同じことではないかもですが、同じことの延長線上のことをするんだろうなと思いますね。

20歳に何もない状態で戻るとしたら、3つありますね。

ひとつは、社会とつながるということ。社会という言葉を広く感じる人がいるんだとしたら、広さが縮まることってたくさんあると思うので、自分が思う社会ってなんだろうとか含めて、いろんな社会を感じられることをやりたいですね。

ふたつめは、没頭することです。その先に、「どんな意味がある」「どんな未来になる」「お金に・ビジネスになる」なんてあまり関係ないと思っていて、自分が好きだな・いいなと思うことに没頭できることをやっていたいですね。いまもそれが大事だと思っています。自分が没頭できる瞬間って素敵だなと思います。

みっつめは、たくさん仲間と関わりたいですね。生きていくうえで仲間って大事だと思っています。仲間は、何かを成し遂げるためじゃなくて、そこにいてただ自分の話を聞いてくれて・共有できたり・ときにはいっしょに未来を目指す人たちだと思っているんですが、気づいたらそういった仲間がいるくらい、いいなと思った人たちと、たくさんいろんなことを語りつくすということをしたいですね。


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(オフトーク:文化や仕組みも創らなきゃいけない)

日本には、『立ち止まる』っていう文化がないんですよね。例えば、大学にアプローチしたりしても刺さらないんですよね、そのルートだと。やっぱり、人づてのコミュニケーションでしかなかなか「イイね」って感じにならない。口コミやいっしょにイベントをしたりとか、いちNPOの事業だったら、そういうアプローチでもいいと思うんですね。

ただ、ほんとうに進めていくってときには、仕組みが必要だと思っています。例えば1年間ギャップイヤーしても、大学が逆に10万円補償するといったようなやりやすい環境が必要だなと感じていて、この部分はいち団体だけではどうにもならない話だと思います。

こういう(立ち止まって自分を考え直す)場所に来た人のほうが、生きづらくなるっていう社会もある。自分の考えを持っている人のほうが生きづらいっていう。この辺りは、ちゃんと仕組みとか、アプローチする先を変えていかなきゃいけない。

(対象の若い人に)アプローチできないのは、文化や仕組みがまだないから、(人生を)踏み外しちゃうじゃないかという怖さが、どうしても付きまとうのかなと思っていて、オープンにそういうことに飛びつけないみたいな、そういうことが起きているんだろうなと思っています。だから、ほんとうに信頼できる人からの情報じゃないと(行動まで移っていかない)。

生き方・在り方とか、自分ってどう生きるっていうのは、言葉を選ばずにいうと宗教的なことも感じさせてしまうこともある。それはそもそも、「宗教ってなんだっけ」みたいなことを考える必要もありますが、それすらも、若い人たちの中には、心理的にも・思考的にも・時間的にも考えるスペースがない、ということをこれまでの活動の中で体感しています。


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Q4.(ご紹介してくださる)素敵な人を教えてください。

いま連携をしているフォルケホイスコーレという学校がデンマークにあるんですが、その学校から帰国していて、キングコングの西野さんのインターンシップで受かった子です。その子なんかは、面白いと思います。



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(インタビュー風景:上が岡田さん)

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岡田勝太さんインタビューありがとうございました!


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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岡田勝太(2020/8/31)


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