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左手首の住人〈IWC PilotWatch Mk-18〉

男とは、道具が好きな生き物だと勝手に思っている。しかし、それは年齢によってもその矛先や種類は全然違うだろう。

ただ、自分の場合あまり幼少期から変わっていないような気がする。というのも、物心つく前から絵本や『小学◯年生』『コロコロコミック』など年相応の本ではなく、『モノマガジン』や『Begin』を与えられて育ってきた人間である。背伸びをしていた子供が、背伸びをしたまま大人になってしまったような感覚である。

洋服に靴、鞄や時計、カメラや車。ありとあらゆるモノを僕は本から学んだ。もちろん、当時の僕には自分で使えるモノや買えるモノなど一つも載っていない。しかし、表紙をめくればそこには「憧れの道具」が溢れ返える…、いわば『宝物カタログ』だった。

そんな中でも別格で好きだったのが、IWCのパイロットウォッチ。ご存知の通り、パイロットウォッチとは飛行機乗りが着用することを想定した腕時計である。文字盤がブラックなのも、ただのデザインではなくコックピットで直射日光が反射して文字盤が見えなくなるのを防ぐ意図をもっている。

1948年に製造されたマーク11から始まるこのシリーズ。モデルチェンジを重ねながら、今ではマーク18までその数を刻んでいる。

ずっと欲しかった時計であったが、値段も値段。おいそれと手は出なかった。しかし、2016年にマーク17から18へとモデルチェンジをしたその年。自分の人生において大きな転機となる年だったので、清水寺を5棟ほど重ねてそのてっぺんの舞台から飛び降りる気持ちで購入をした。

あれから4年。ほぼほぼ毎日着けている(時計のためには良くないが)。それでも飽きない…というのは、ただの贔屓目か。それとも洗練されたデザインの成す技か。
いずれにしろ、この時計はオーバーホールを繰り返し、いずれ誰かに託そうと考えている。

そんな道具に出会え、そしてそれを使えるというのはとても幸せなことである。

もう一度いうが、男とは、道具が好きな生き物だと勝手に思っている。

まだまだ憧れの道具は世界に溢れ返っている。
しかし、それを憧れのままにしておく…。そんな大人の楽しみ方も覚えるとよいのだが、それはまだ先の話になりそうである。


さて、次は何を書こうかな。



店主

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