しんやの餃子世界紀行 Vol.38
「ポケモンマスターを目指したあの日」
小学校1年か2年かの記憶は定かではないんだけれど、ポケモンが発売されて世の中がポケモン一色に染まった。
もちろん僕もポケモンに熱狂した1人のクソガキであり、でも厳しい家庭もありすぐに手に入れた訳ではなかった。
遅れるほど何ヶ月かして、念願のポケモンを手に入れる。
ポケモン赤だった。
とにかくずっとポケモンまみれの毎日。
時が過ぎてみんなが遊戯王を始めてもムシキングを始めても永遠にポケモンばかりの毎日が続いた。
当時はインターネットなど普及していない時代。
どうやらポケモンには裏設定があって、育ち方に個体差があるらしい。
その個体差はキャタピーを252匹とかマンキーを252匹とか。
同じポケモンで倒しまくると隠しパラメーターが上がって行くらしいということを知り、鉛筆と紙をそばにおいて、正の字を書きながら同じポケモンを倒しまくって行く。
今でいう努力値ってやつ。
しかし、努力値ばかりあげても仕方なく、ポケモンには個体値がしっかり設定されていて、すべて最高の値でなければいけないと知った時の絶望感。
しかもその個体値を確認する術は発見されていないという。
今でいう、孵化厳選ってやつの存在も知らない。
だから、ゲーム内で2匹しか出てこないカビゴンに攻撃をしてダメージの平均値をとったりしながらちまちまと強そうなポケモンを手探りで探してはまた同じポケモンを252匹倒して行く毎日。
そうこうしている間に金銀が発売されて、攻略本にこういった手探りが解決するヒントが書いてあったりして。
大分楽にはなったがまた果てしない道。
僕はそんな絶望的な闇の中でポケモンと向き合いながら、街で負けなしのクソガキになっていく。
しかし札幌で行われた大会に参加した時、自分が所詮八幡町最強の男なだけであって、まだまだ広い海のミジンコの中で威張っていた事実を知る。
札幌はおろか、同じ函館から参戦していた年下に負けたのだ。
あの時の悔しさってない。
自信が崩壊する音が聞こえる。
そして上には上がいて、こいつら全員ぶっ倒さないと気が収まらない。
僕はその日から今までずっと、ポケモン廃人である。
札幌で苦楽を共にした友人がポケモンに詳しく、そこで得た知識を元にさらに深いポケモンの沼にはまっていく。
ここまでくるともう抜け出せない。
岡山にも任天堂Swithを持ち込んで夜な夜な新たなポケモンの可能性を探っている。
今はインターネットがあり、YouTubeがあるから色々な情報を精査できるのが良い。
ほとんどの時間、働いていようが。
友達と飲んでいようが、女を抱いていようが。
頭から離れないのは次に出会うポケモンのこと。
マジでそんな毎日を送っている。
脳がバカになっているようだ。
ふと急に、使いたいポケモンのことを思いつくと、その時点でもう家に帰りたくて仕方ない。
のめりこむとすぐにこう。
ずっとそのことだけ。
飽きることはなく、別の趣味の沼を見つけたらその中へ。
沼から沼へと移動しながら没入していくんだ。
しんやって男は。
飽きるのは早いほう。
でも飽きなかった時が厄介なんだよね。
オタクのように早口で話している時が、本当のしんやを見た時。
でも引かないでほしい。
ポケモンって素晴らしいよ。
すごいゲーム。
だって1匹と同じポケモンはいない。
厳密にはね。パターンがあるから同じポケモンはいるけど。
でもね、使う人の思考によってちゃんと動き方を変えてくれるのがポケモン。
だから裏切らない。
人は裏切るけどポケモンは裏切らない、ふふふ・・・。
こういうエンターテイメントを供給できる男になりたいんだ。
たくさんの人に愛されるような人でいたい。
世界はまだまだ遠いけど、少しだけ近くにきている気がする。
僕は見たいんだ、どんなことであっても。
世界の頂点ってやつを。