【読書ログ】「イシューからはじめよ」を読んで
Target この本で学びたいこと
本当に取り組むべき課題の見極め方、見つけ方
Before 読む前の状態
目の前の課題やそこから想起した課題に手当たり次第取り組んでいる状態
After 得た気づき
1.「悩む」と「考える」は違う。それは「答えが出る」という前提の有無。答えが出ないことについて考えるふりをする=悩んでいるときは思考をいったん放棄して休む
2.イシュー度とは自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ。解の質とはそのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い
3.イシュー度の低い問題に対して一心不乱に労働量を増やして取り組むのは犬の道。このやり方ではたとえ成長できたとしても再現性が乏しく、リーダーとして大成できない。まずはイシュー度を徹底的にあげて、それから解の質をあげることに取り組む。
4.世の中で問題かもしれないといわれていることのほとんどはビジネス・研究上で取り組む必要がある問題ではない。100のうちせいぜい2~3程度。まずはイシューを絞り込み、解きやすさや取り組みやすさにまどわされず、イシュー度の高いものに取り組む。
5.イシュードリブン(イシューの見極め)⇒仮説ドリブン①(イシューを分解してそれに基づきストーリーの流れを整理する)⇒仮説ドリブン②(ストーリーを検証するために必要なアウトプットのイメージを描き、分析を設計する)⇒アウトプットドリブン(ストーリーの骨格をふまえつつ段取りよく検証する)⇒メッセージドリブン(論拠と構造を磨きつつ、報告書や論文をまとめる) これで1サイクル。このサイクルを素早く(1週間~10日)回し、何回転もさせることが重要。
6.「根性に逃げるな」。労働時間なんてどうでもいい。価値あるアウトプットが生まれればいい。限界まで働くのはレイバラー(労働者)思考。同じ労力・時間でどれだけ多くのアウトプットを出せるかが生産性の定義。
7.問題に立ち向かうには、それぞれの情報について複合的な意味合いを考え抜く必要がある。それをつかむために最重要なのは現場で得られる一次情報。脳は自分自身が「意味がある」と思うことしか認知できない。そして「意味がある」と思うかどうかは「そのようなことが意味をもつ場面にどのくらい遭遇してきたか」によって決まる
8.イシューを見極めるには、実際にインパクトがあるか、説得力あるかたちで検証できるか、想定する受け手にそれを伝えられるかといった判断が必要だが、それにはある程度の経験や見立てる力が必要。それを得るためには相談できる人、知恵袋てきな人とのつながりをもっておくことがてっとりばやく、重要
9.イシューの見極めは、こんな感じのことを決めないとね、といった「テーマの整理」程度で止めてはならず、具体的な仮説を立てる必要がある。
理由は3つ
①具体的な仮説がないと「答え」が出せない。
例)「〇〇市場はどうなっている?」→「〇〇市場は縮小しているのではないか?」
②必要な情報・分析すべきことがわかる
③分析結果の解釈が明確になる
10.イシューが見えたらそれを言語化して表現することが重要。
人間は言葉にしない限り概念をまとめることができない。
絵や図はイメージをつかむためには有用だが、概念を定義できるのは言葉だけ。
11.イシューを言葉にするコツは「Why」より「Where」「What」「How」を考える。
なぜか?という表現には仮説がなく、何について白黒はっきりさせようとしているかが明確になっていない。
どこを目指すべきか、何をすべきか、どう進めるべきかの具体を考える
あるいは比較表現(Which)AではなくB、という表現もよい
12.よいイシューの3条件
①本質的な選択肢である(答えが出ることでそこから先の方向性に影響がある)
②深い仮説がある(一般的な前提を破壊し、新しい構造を生み、常識を覆すレベル)
③答えを出せる
13.なんちゃってイシューにまどわされぬよう、イシューらしきものが見えてもとびつかず「本当に今それに答えを出さなくてはならないのか」を考える
14.ある人にとってはイシューでも、他の人にとってはイシューではないということはいくらでもある。イシューの主語を明確にする。誰にとってという主語を変えても成り立つものはイシューとしての見極めが甘い可能性が高い。
15.仮説を深める簡単な方法は、一般的に信じられていることを並べて、そのなかで否定できるor異なる視点で説明できるものがないかを考えること。常識を疑い、直感に反したものを探す
ビジネス上。戦略・計画の根本的な見直しにつながり、競合が気づかない発見は大きな戦略的アドバンテージとなり得る
16.「構造的な理解」を促す4つのポイント
①2つ以上のものになんらかの共通点を見出すと、人は急に何かを理解したと感じる。
②複数の現象間に関係があることがわかった場合も同様。
③グルーピングの発見も同様。
④ルールの発見も同様。2つ以上のものに何らかの普遍的な仕組み、数量的な関係があることが分かった場合。
常識を否定するレベルの深い洞察を得られずとも、新しい構造で現象を説明できないかを考えることで洞察を深めることができる。
17.どれほどカギとなる問いであっても「答えを出せないもの」はよいイシューとは言えない。気になる問題が100あったとしても、今答えを出すべき問題は2~3程度で、さらに今の段階で答えをだす手段がある問題はさらにその半数程度。答えをだすべき、かつ出せる問題は全体の1%程度
18.最初の仮説を出すために考える材料を集める作業は2~3日で終える。コツは2つ
①一次情報に触れる(誰かの間接的なフィルターを通っていない情報)
例)現場にたって現場の意見を聞く、顧客の意見を聞くなど
頭でっかちな人間はここをおろそかにして2次情報を得ようとしがち
肝心の仮説を立てる際に色眼鏡をかけた状態になってしまう
いかに優れた表現でも、2次情報は何らかの多面的かつ複合的な対象のひとつの面を引き出したものに過ぎない
②一次情報から得た感覚をもちつつ、世の中の常識や基本的なことをダブりも漏れもなく調べる。自分の思いで決め打ちしない。
19.取り組む課題領域における基本的な知識としてそろえるべき7つの項目
①業界内部における競争関係
②新規参入者
③代替品
④事業の下流(顧客)
⑤事業の上流(供給者)
⑥技術・イノベーション
⑦法制、規則
20.どんな領域でも、これまで課題がどのように整理されてきたか、課題をとりまくものがどのように位置づけられるかという情報が必要。既存のフレームのなかでどう位置付けられ、説明されているのか。
・レビュー
・雑誌、専門誌の記事
・アナリストレポート
・テーマに関する書籍(ノウハウ的なものではなく原則的なもの)
・教科書的な書籍
21.意図的にざっくり情報集めを行う。集めすぎ、知りすぎに気を付ける
ある時点までは急速に知恵が枠が、ある量を越すと急速に生み出される知識が減り、自分ならではの視点がゼロになってくる
22.イシューがみつからないときのアプローチ
①変数を削る。 例)「商品購買行動」では広すぎるので「デジタル家電」や「デジカメ」まで絞る、など。
②視覚化する。脳の後頭葉は「ものを見る」ことに使われていて、目で形をみることで急に本質的なポイントが顕在化することがある。数値をグラフ化してみる。
③最終形からたどる。目指すべき姿は何がわかれば決められるのか、を逆算する。
④So Whatを繰り返す。自分ないしはチーム内でだから何?を繰り返すことで仮説が具体化していく。なぜなぜ5回
⑤極端な事例を考える
23.イシュー起点でストーリーを考える。イシューに関するデータを集めまくって、データが出尽くした段階でその意味合いを考えてストーリーを組むのではなく、このイシューとそれに対する仮説が正しいとするとどんな論理と分析によって検証できるか、という最終的な姿から逆算して考える。(あつめた情報から仮説が生まれるのではなく、仮説を起点にして情報を集める)
24.MECEなどのフレームワークは有用だが、そこにこだわるあまり、目の前のイシューを無理やりそのフレームにはめ込んで本質的なポイントを見失わないように。自分なりの洞察や視点を大事にする
25.イシューを分解し、それぞれのサブイシューに個々の仮説が見えれば自分が最終的に言わんとしていることが明確になる(仮説ドリブン①)
ストーリーラインの組み立てのコツは2つ
①WHYの並べ立て。なぜそのイシューに取り組むのか、並列にメッセージをならべる
②空・雨・傘 西の空が晴れている⇒雨は降らなさそう⇒傘はいらないな
という流れのストーリー。この場合は「雨」にあたる課題の深堀がキーとなる
26.ストーリーを絵コンテにする(仮説ドリブン②)
絵コンテとはストーリーラインの個々のサブイシューに対して必要な分析・検証のイメージをまとめること。
どんなデータがとれそうか、ではなくどんな分析結果が欲しいのかを起点に分析イメージをつくる
最終段階では具体的なアプローチを考える。どんな情報源を使うか、どんな分析手法を使うか。
27.分析=比較。フェアに対象同士を比べ、その違いを見る。
優れた分析は縦軸・横軸の広がり、比較の軸が明確。それぞれの軸がイシューに答えをだすことに直結している
どのような軸で何と何を比較するとそのイシューに答えが出るのかを考える
28.数字は細かくとればいいものではなく。最終的にどの程度の精度のデータがほしいかをイメージする。50%か60%かを見極めたいときに0.1%刻みのデータはいらない
29.分析における「意味合い」は「比べた結果、違いがあるかどうか」に尽きる。
①差がある
②変化がある
③パターンがある
これらのような最終的にほしい「意味合い」を分析イメージとして書き入れる
30.閾値をこえない入力は意味を生まない
脳神経系の基本単位である単一のニューロンでは、ある一定のレベルの入力がないと情報を長距離にわたって伝達する活動電位というものが発生しない
また、「なだらかな違い」を認識することができず、なんらかの「異質、不連続な差分」だけを認識する
31.脳神経系では2つ以上の意味が重なりつながったとき=理解した、と感じる。
理解するとは情報をつなぐこと。
既知の情報とつなぎようのない情報を提供しても、相手は理解のしようがない
何度も情報のつながりを想起せざるを得ない「なるほど!」という場面を繰り返し経験しているとその情報を忘れなくなる。
32.アウトプットドリブンにおいて重要なのは「いきんり分析や検証の活動を始めない」こと。サブイシューの中にも重要なものとそうでないものがあるので最終的な結論に関わる部分から重点的に取り組む。
33.自分では埒のあかない問題に対しては人に聞きまくることで解決する。聞きまくれる相手がいる、というのもスキルの一部。
人に尋ねようもない問題で独自のやり方が上手くいかな場合は期限を切ってそこを目安にして解決のめどがつかなければその手法に見切りをつける
34.天才の条件
①仲間の圧力に左右されない
②問題の本質が何かを見失わず、希望的観測に頼らない
③ものごとを表すのに多くのやりかたをもつ。
要するに固執しない。
もっている手札の数、自分の技となっている手法の豊かさがバリューを生み出す人としての資質に直接的にかかわる
25.丁寧すぎると害になる。60%⇒70%にするにはそれまでの倍の時間がかかる。60%の状態で再度初めから見直し、もう一度検証のサイクルをまわすと80%の完成度にする半分の時間で80%を超える完成度のものができる
一度の検証で丁寧にやっているとスピードも質も落ちる
一回の取り組みの完成度をあげることより、取り組む回数を重視する
(成果の)受け手にとって十分なレベルを自分の中で理解し、やりすぎない
26.まとめの作業にとりかかる前に「どのような状態になったらこのプロジェクトは終わるのか」という具体的なイメージを描く。受け手が語り手と同じように問題意識をもち、納得し、興奮してくれるのが理想。
受け手を次のような状態にする
①意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
②最終的なメッセージを理解してもらう
③メッセージに納得して行動に移してもらう
27.メッセージの受け手のことは「完全に無知」かつ「高度の知性をもつ」と想定する。「賢いが無知」というステータス。
28.優れたプレゼントは混乱の中からひとつの絵が浮かび上がるのではなく、ひとつのテーマから次々とカギになるサブイシューが広がり、流れを見失うことなく思考が広がっていくもの
最終的なメッセージは明確な論理の流れの中で示す
29.プレゼンはリハーサルをして磨きこむ
紙芝居形式の粗磨き⇒人を相手にした細かい仕上げ
30.エレベータテストに備える
仮にCEOとエレベーターに乗り合わせたとして20~30秒で複雑なプロジェクトの概要をまとめて伝えるスキル
コンサルやプロジェクトの責任者には必須のもの
31.チャート(図やグラフ)がぱっと見で理解できないときはメッセージが混在している場合が多い
32.「どんな説明もこれ以上できないほどに簡単にする。それでも人はわからないというもの。
そして自分が理解できなければそれをつくった人間のことを馬鹿だと思うものだ。人は決して自分の頭が悪いなんて思わない。」
33.分析結果が明確なメッセージにつながらない場合、切り口が甘い可能性がある。例)「人の属性」で切っているものを「場面」で切りなおす
スポーツ飲料を飲んでいる人、の分析ではなく、飲む場面、を分析する
34.結果を生み出すことに対するコミットメントの強さが自分を支える。人から褒められることではなく生み出した結果そのものが自分を励ます。生み出したものの結果によって確かな変化がおき、喜んでくれる人がいることが一番の報酬になる
35.結局、食べたことのないものの味はいくら本を読んでもわからない。自転車に乗ったことのない人に乗った時の感覚はわからない。イシューの探求もそれと同じ。まずは毎日の仕事のなかで「この作業って本当に意味あるのか」を考える。そしてそれは本当にイシューなのか?と問いかけることから始める。
TODO 今後実際にやること
1.自分が「悩んでいる」ことに気づいたら考えるのをやめる(別のことに頭を向ける)
2.問題意識をもっていることに手当たり次第取り組まず、イシュー度の高い問題を選んで取り組む。その際の選定基準は
①答えが出ることでそこから先の方向性に影響があるか
②一般的な前提を破壊し、新しい構造を生み、常識を覆すレベルの深い仮説があるか
③答えを出せるか
3.イシュードリブン(見極め)⇒仮説ドリブン(ストーリーの整理)⇒仮説ドリブン②(検証に必要な要素の分析)⇒アウトプットドリブン(検証)⇒メッセージドリブン(結果をまとめる) このサイクルを高速(1週間程度)で何回転もさせる
4.とにかく「現場」を知ることで、自分の脳が必要な情報を「意味がある」ものとして認知できる状態にしておく。現場の業務に触れてみるか、現場の人間から得られる情報を一次情報として直接収集する。
5.あらゆるジャンルにおいて相談できる人脈を広げておく。人脈構築の場に極力出向いて広く関係を築く
6.答えが出るレベルの具体的な仮説をたてる。「テーマ」で止めない。
7.イシューは言語化する。WhyよりもWhat、Where、Howを考えて、解を白黒はっきりさせる。
8.仮説を深める際は一般的に信じられていることを並べて、その中で否定・異なる視点で説明できるものがないかを考える
9.他者に何かを「理解」させたいとき、次のポイントを意図的に取り入れるようデザインする
①2つ以上のものに共通点を見出させる
②複数の現象間の関係性を強調する、グルーピングする
③普遍的な仕組みや数量的な関係、ルールに気づかせる
上記のタイミングで脳神経系的に「なるほど」とかんじさせることができる
これをさらに繰り返し経験することでその情報を忘れなくなる
10.ノウハウ的な本ばかり読むのではなく、原理・原則が書かれた原書も読む
11.取り組む課題領域においてインプットすべき要素をおさえておく
①業界内部における競争関係
②新規参入者
③代替品
④事業の下流(顧客)
⑤事業の上流(供給者)
⑥技術・イノベーション
⑦法則・規則
12.意図的に情報は「ざっくり」集める。「知りすぎ」て自分ならではの視点を失わないように。思考法やフレームワークにも同様の理由ではめ込みすぎないようにする。
13.イシューが見つからないときは以下の行動をとる
①変数を削る(テーマを絞る)
②視覚化する。グラフ化など
③最終形からたどる
④So Whatを繰り返す。なぜなぜ5回
⑤極端な事例を考える
14.仮説ドリブン①ではイシューを分解してサブイシューについて個々の仮説をたてる。
ストーリーラインの組み立ては①空・雨・傘のシナリオ仕立てか②Whyの並べ立て
15.仮説ドリブン②では各サブイシューにおいてどんな分析結果が欲しいのかベースで分析イメージをつくる(絵コンテ)
分析とは「比較」のこと。何と何を比較するかを考える。
数字は細かくとればいいというものではなく意味(差分・変化・パターン)が描ければよい
分析結果が明確なメッセージにつながらない場合は切り口をかえる
16.アウトプットドリブンでは、いきなり分析をはじめず、サブイシューの中でも最終的な結論に関わる部分が大きいものから優先して取り組む
17.丁寧にやるより、何度もやる。回数重視。受け手にとって十分なレベルを理解し、やりすぎない
18.メッセージドリブンでは、受け手のことを「完全に無知」かつ「高度の知性をもつ」という前提にたち、次のような状態にもっていく
①意味のある課題を扱っていることを理解させる
②最終的なメッセージを理解させる
③納得して行動してもらう
19.重要なプレゼンは対人のリハーサルをして磨きこむ
20.グラフには1メッセージ。メッセージを混在させない。
21.承認欲求をモチベーションにしない。その代わりに結果を生み出すことに対するコミットメントの強さが自分を励ます。生み出したものの成果によって確かな変化が起きることをモチベーションにする
22.今抱えている仕事について、以上の内容を実際にあてはめて試してみる。
まとめ
限られた人生の中でより良い成果を出すためには、イシューの見極めが最優先事項。イシュー度が高い問題を選び、解の質を高めることで意味のある成果を出すことができる。それが解決することで、何がどう変わるのか。そのインパクトを常に追求する。
①イシュードリブン(イシューの見極め)
②仮説ドリブン①(シナリオの組み立て)
③仮説ドリブン②(分析・検証手法の検討=絵コンテ)
④アウトプットドリブン(分析・検証)
⑤メッセージドリブン(成果報告)
のサイクルを何度もまわすことで成長していく。