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野菜づくり、出会い、学びの場としての都市農園 ー農家・鴨志田純さんー
「都市と地方をかきまぜる」、「消費者と生産者の接触面積を広げ、都市と地方のあいだに「関係人口」を生み出す」ことを指針を根底に持つ、ポケマル。しかし、必ずしも「都市」に住む「消費者」と「地方」の「生産者」という枠組みのみでは捉えきれない営みがあります。
今回取り上げるのは、「大都市」の東京の住宅街で、地域に根ざした自家製完熟堆肥を使う栽培方法を採用しながら、農場をさまざまな人に「教育畑」として開放する、鴨志田農園6代目・鴨志田純さん。
自分が食べるものが出来る一連のサイクルを実際に見て、知ることによって、その後の生き方が変わってくると思っています。
ポケットマルシェ創設の初期から、弊社スタッフたちも何度かお邪魔させてもらっている鴨志田農園は、「たくさんの植物や昆虫、目に見えない微生物たちがあつまるテーマパークのような場所」(弊社ライター談、過去紹介記事より)
都市農園で得られる体験の価値を信じる鴨志田さんは、どのようにして人とのつながりや学びを日々醸成しているのでしょうか?
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「学校では教えられないことが、農の場では教えられる」ー半農半教育の実践
実は鴨志田さんが農家に転身する前の経歴は「旅人」と「数学教師」。
大学を卒業してから2年間、ずっと旅をしていました。地球一周(Peace Boat)に自転車日本縦断、ヒッチハイク、バックパッカー、四国遍路等の旅……。合計で47都道府県と30カ国を訪問し、世界中の社会問題を目にしてきました。
だから、「自分もいつかは課題を解決する側に」と考えていました。
そんな中、転機は突然訪れます。
父他界のタイミングで、すぐ継がないといけない、という意識になっていきました。そこに生かされてきた姿を見ていた、苗に水をあげないと死んでしまうと実感しました。
また、京都府の塩見直紀さんが提唱する『半農半X』に感化され、教員と農家という形で”半農半教育”を目指すため、準備を始めました。
タネから自分が食すという一連のサイクルや、堆肥のプロセスから発酵の仕組みなど、学校では教えられないことが農の場では教えることができると思ったんです。
(※その詳しい経緯については、こちらの記事からどうぞ!↓)
慣行農業とオーガニック双方に役割がある上でも、特に鴨志田農園がある地域では、有機栽培・堆肥づくりが課題解決の手段になりうるのではないか、という見立てがありました。
鴨志田さん
「農薬は撒けば撒くほど労働時間も増え、購入費用や人件費もかかってくるので、圧倒的にコストがかかります。さらに都市農業は面積が減っていく一方なので、単位面積あたりの単価をあげる必要があります。そのうえで有機農業が一つの選択肢となるんです。実際に有機農業に転換することによって、一般的な慣行農法と比べると3割以上高く売れるようになります。各地域にコンポストセンターを作って安定的に良質な堆肥を供給する事で、それが実現できるんです。」
また、ここで鴨志田さんは、「生ごみ」の焼却にかかるコストやエネルギー効率の課題を考えるにおいても、堆肥化という手段が一役買うのではないか、という都市に限られないマクロの視点も併せ持っていました。
(※鴨志田さんのその他の活動を紹介するメディア記事等は、本文の最後に掲載しています!)
このような可能性を秘める、堆肥化・コンポスト。
近郊に暮らす一木さんは、鴨志田さんに出会い、自宅でコンポストを始めるまでのエピソードをこのように語ってくださっています。
一木さん
「初めに私が鴨志田農園の野菜を買ったのは、子どもたちの送り迎えの際に通りがかったコインロッカー式の庭先直売所でした。時々そこでお野菜を買っていたので、鴨志田さんの存在は知っていたんですね。」
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一木さん
「最近、子どもの学びのあり方を見直す議論が多いけど、自分もその必要性をすごく感じていて、ある意味鴨志田さんの土壌づくりも教育とも近いと思って、関心があったんですよね。
学びのコンテンツとして学校と農園という見方もあるけど、教育そのものが、促成栽培で子供を育てたいか、有機で土壌づくりようにゆっくり育てたいかっていう思想が、農業の思想と似ていると思って。
子どもにとって、生産の場が身近にあることが、自分が食べてるものを手間暇かけて作ってくれる人がいて、っていうことをわかるきっかけになるので、食べ物に対する感謝は違うなと思います。
私自身もコンポストを実践する中で、生ごみが土に変わっていく過程から、土も生き物なんだとわかって感動します。菌がお腹空いてないかな〜?みたいな感覚も芽生えました。」
一木さんは、鴨志田さんと交流するうちに、親の立場から、生産現場での学びや、家庭内でコンポストを実践することの重要性を確信していったのだそうです。
また、弊社代表の高橋博之と共に、中学生の課外授業を鴨志田農園で受け入れ・講義された記録も残っていました。
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1.今回新たに学んだ事、発見した事
「『3回の食事を何を食べるかで3回社会を変える権利がある』だけじゃなく、食事をして出すゴミによっても変える権利がある。」
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「食の大切さから生と死の話まで」
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2. 特に印象的だった事や心に響いた言葉、その理由
「食はコミュニケーション
食の大切さを伝えているのが鴨志田さん」
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3. 「働く」という事や「大人」に対する考えの変化、自分の将来を考える上で覚えておきたい事
「机の上で学ぶことより、実際に経験した方が遥かに説得力があるということ」
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「人生の講義みたいでした。すごく面白かったです。
これからの決断にも関わってくる経験でした。」
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当時の鴨志田さんの講義を聞いた中学生たちは、鴨志田さんの取り組みやメッセージを「命に関わる授業」として、受け取っていたようです。
鴨志田さん
「体験農園をやる上で、自分たちも意図していた以上のことが返ってくることがあります。
コンポストを持ち帰ってくれたり、夏休みに来てくれた子どもたちが、「採れたてのきゅうりを食べた」っていう話を夏休みの宿題の作文で書いて出してくれたり。
そういうことがあると、やっててよかったなって思いますね。」
「人に会いにくる農園」ー出会いの場としての農園
鴨志田農園に通いつつ、ポケマルも利用してくださっている一木さんは、生産者さんや現場でこそ得られる出会いについて、このようにおっしゃっていました。
一木さん
「鴨志田農園という存在は、私にとっても、農園で出会う仲間とか、繋がりを豊かにしてくれる点でも価値を感じています。
鴨志田さんの農園に通う人たちって、世界観に共鳴した人、価値観が近い人だから、予想外の出会いがあって楽しいです。」
そんな現場ならではの出会いは、ポケマルの出品ページでも生まれています。
なんと、鴨志田農園さんでは、月1回と月2回の定期発送便のほか、現地引き取りの選択肢が用意されているのです。
コミュニティ欄を覗いてみると、ポケマルユーザーさんの中でも、コンポストやゴミ問題に興味を持たれている方もちらほら・・・?
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「脱プラスチック」で新聞紙に包装される野菜セットも人気のようです。
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ご近所のユーザーさんには現地+対面でつながりが持てる選択肢が、そしてお住まいが三鷹からは遠い方も、鴨志田さんの採れたて野菜を楽しんだり、共にコンポストの実践を行うことができる。
斬新な取り組みやポケマルの活用法を通じて、多様な関係性を生む鴨志田さんを応援するため、弊社は2022年に、ポケマルチャレンジャーアワード 年度テーマ「一次産業の現場から、地球を持続可能に」の最優秀賞を表彰させていただきました。
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「堆肥技術者」と「教育者」という二足のわらじで、農園からその先の様々な課題の解決に挑戦していく鴨志田さん。
今後とも、消費者と生産現場をつなげる同志として、ポケマルが鴨志田さんのお役に少しでも立つことができれば本望です。
鴨志田農園は、JR中央線三鷹駅または京王線調布駅からバスと徒歩で30分もあれば訪れることのできる農家さん。直売所には駐車場もあり、アクセス抜群!
東京に住むみなさま、ぜひ鴨志田さんに会いに行ってみませんか?
関連リンク
◆鴨志田純さんの生産者ページ
(執筆:雨風太陽PR・三輪)