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金か銀か、どうなのよ(笑)
同僚のF子が、かつての上司と久しぶりに飲むことになったと言う。
横浜から大阪に移動する元上司は、名古屋駅で途中下車する。
彼女は私鉄と地下鉄で名古屋駅へ向かう。
待ち合わせ場所は【名古屋駅の銀の時計】だ。
ところが地下鉄東山線の名古屋駅で下車し地上に出ると、F子の目の前にあったのは【金の時計】だったという。
(たいていはそうなる)
「そこからはコンコース真っ直ぐ行くだけだよね」
と言う私に、彼女はいつもの再現ドラマを見せてくれた。
真っ直ぐ行くだけと言うのは、知ってるから言えることらしい。
愛知に来て1年半ほど、名古屋駅は数えるほどしか行っていない彼女にとって、金時計の周辺は迷路だったらしい。
地下だからかgoogleマップの現在地がわからず? アテにするのはやめにして地上と地下を上がったり下りたりしたらしい。
こっちか?と思っていくと「JPタワー」に。
どうも違うらしいと反対方向へ進んでいくと、行く手をJRの改札に阻まれたという。
いっそ入場券の料金取られてもいいから、もうここから入るか?と思うほど疲れ果てたと。
再び元の場所へ戻ると、高島屋が右にも左にもあって、意味がわからなくなったと…。
胸の下で両手を合わせ「いらっしゃいませ」と迎えてくれる宝飾品売場の店員さんに、「すみません、銀の時計はどこですか?」と聞こうかと思うほど、切羽詰まったらしい。
そこまで?
大勢の人が歩いてるやろ。
いつも仕事では全く業務外の男性引っ張ってきて、重い机の移動を手伝わせてるのに?
「駅員さんかお巡りさんいなかったの?」と言いながら、さっきからもうお腹が痛いほど笑っている。
わかるよ、それ。
もう忘れかけていたけど、その気持ちわかるよ(笑)。
で、最後は何がきっかけだったか肝心なところを忘れたけど、あの道幅いっぱいの人の間をかいくぐり、彼女は無事【銀の時計】に着くことができた。
(できない結末はありえないからね)
ついでだけどと、彼女はこうも言っていた。
環状線は、山手線なら東京駅を、大阪なら大阪駅を通ってるのに、名古屋の環状線(名城線)は名古屋駅を通らない!と。
そういうものだから仕方ないと思うけど、F子が言うと面白くなる。
その日の午後、私は同じ【銀の時計】で待ち合わせをしていた。
彼女の話を思い出しながら、コンコースを歩いた。
彼女のように迷うことはなかったが、私の待ち合わせは初対面の方だ。
見つける自信はあったが、やはり待ち合わせの多い場所だけに少し不安に…、なりそうになったが時間ピッタリにお会いすることができた。
お互い次の予定までの2時間ほど、お話しすることに。
プロのコーチとカウンセラーのセッション?
と言っても雑談だけど、学びのあるお話を伺わせていただいた。
そこからはまたそれぞれ次の場所へ。
私は地下鉄で一駅、歩けば7、8分のところへ向かった。
そして、F子のことを笑ってられない事態になった。
と言っても私はgoogleマップを見ながら地上を歩いている。
桜通線の上を歩いていけば、だいたいその辺りに行ける…と思ったら、相手が場所を「店」から「駅」に変更してきた。
それに動揺して、何がどうなったかF子に乗り移られたように、私の行く手に「柳橋中央市場」が立ちはだかった。
こっちじゃないと思いながら「とにかく前へ」だ。
「国際センタービル」の前にいるという相手、私も「国際センタービル」の前にいるんだけど。
「広い道に面した方」
「私も広い道の方にいる」
結局、ビルの西と南にいただけだった。
幸いというか残念なことにというか、F子ほど面白いことにはならず、その日二度目の待ち合わせをし、名古屋飯となった。
長々と最後までお読みくださって、ありがとうございました。
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