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『虎に翼』⑰回収とは言わせない

ついに『虎に翼』の最終週となった。
今回の朝ドラは一度も”中だるみ”がなかったような気がする。

法律という切り口から私たちの暮らしを見ることができ、時代は違っても何も変わってないじゃないと思うことも多かった。

憲法14条の法の下の平等も、差別される側が描かれることで、実感するように理解できた。

さて、最終週の感想は。

寅ちゃんと同じくらい、ずっと気になっていたのは、よねさんだった。

子どものころに女として生きることを捨て、今も男装で生きるよねさん。
彼女の心が癒される日は来るのか、それがないのは悲しすぎると思っていた。
彼女にとって癒しとは、どうなることなのだろうかと。

尊属殺人の口頭弁論は、美位子さんの弁護人としてでありながら、よねさん自身の心の奥深くから発せられる言葉に感じられた。
実の父親から酷い虐待を受けた上に、自由を奪われた美位子さん。
彼女のために法廷に立つ姿は、自分の過去への怒りとリベンジだ。

轟の「行け、山田」とささやくところ、グッときた~。
よねさんの目に涙が光っている。

桂場の告げる判決に、憲法や法律は裁くためだけでなく、救われるためにあるのだと感じた。

自分のしたことと判決との間で、まだ心が揺れている美位子さんに、
「あなたができることは、生きて、できるかぎりの幸せを感じ続けることよ」と寅ちゃん。

愛だな。

桂場さんの、顔の演技もよかった。
ずっと眉間に皺をよせ難しい顔で。
インスタで農業やってる松山ケンイチさんを見ながら、そのギャップがいいなと。

さらに、最高裁長官を退官した桂場さんが、和服姿で現れて驚いた。
でもやっぱりタイミングが悪くて、眉毛の上に桜の花びらつけたままなのが、ほんと桂場さんのままだった。

最終回は明日の金曜日。
最後まで桂場さんから目が離せない。


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御手洗 育/暮らしのエッセイスト
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