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『虎に翼』⑪8月ジャーナリズム以上に

今週の『虎に翼」は、差別や戦争がキーワードになっていて、重いドラマが続いた。

ニュースなどで見かけるヘイト行為には嫌悪感をもっているが、ドラマの時代にも差別はあって、今回は朝鮮人に対する偏見が描かれていた。
親の世代はあからさまに差別的なことを言っていたし、私と同年代の在日韓国人の知人から就職が難しかったことを聞いた。

小池都知事が、関東大震災の朝鮮人虐殺を諸説あると言って追悼文を出さなくなったことは、あの方の見方が変わる残念な出来事だった。
今回ドラマの中に、大震災後のことが盛り込まれていたのは驚いたが、納得いく描き方だったと思う。

一方、航一の「ごめんなさい」の意味が、ようやくわかった。

総力戦研究所の存在は、今まで全く知らなかった。
機関として戦争をシュミレーションしていたんだ。
負けるとわかっていても戦争に向かっていったのは、何の力なんだろう。

もちろん航一に戦争を止めることなど出来なかっただろうし、日本は(日本って誰?なんだけど)何のためにどこに光を求めて無謀なことをしてしまったのかと、重くて苦しくて涙が滲んだ。

東京裁判で戦犯が死刑になっても、戦場で命を落とした多くの兵士や、空襲で亡くなった子ども達は帰ってはこない。

8月ジャーナリズムと揶揄されても、戦争の悲惨さは伝えていってほしい。
知らないことはまだたくさんある。
ひとりの話でありながら世界平和を考えること、今週のドラマはとてもよかった。

ドラマを見ていると、すっかり感情的になって心が揺さぶられるんだけれど、寅ちゃんが言う、それは偏見だよ、感情に流されちゃいけないよという時の言葉に、たびたびハッとさせられている。


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御手洗 育/暮らしのエッセイスト
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