アウェイなのか
娘が年末年始に帰省する時などに言う。
「アウェイだから」
そんな風に言わないの〜と窘めるのだが、本人はケロッとして「だってアウェイじゃん?」と言う。
自分が夫の実家に行くことや、弟の妻がウチに来ることを指して言う。
せめて、ビジターって言うとか…。
まったく、母親の躾が適当だとああなるのだろうか。
ところで、出産後まもない息子の妻は、まだ病院にいる。
息子の住まいから彼女のいるところまでは、100kmあまり。
高速を走っても2時間ちかくかかる。
出産の知らせを聞き、自分の体調も良くなり、息子は車で行くことに決めたらしかった。
問題は、病院にずっといるわけにはいかず、どこに泊まるかということらしかった。
ビジネスホテルを予約するか、彼女の実家に泊まらせてもらえば?と私。
元気はあるが何分にも病みあがり、まだ万全ではない。
ちゃんとした部屋で寝てほしいと思った。
そして、行ってみると案の定「うちに泊まりなさい」とお父さんに言われたらしく、両親と母方の祖母3人で暮らす家に、2泊することになったという。
両親は共に働いているので、朝は早い。
食事は自分で食べるからお気遣いなくということと、お風呂もスーパー銭湯に行くからと伝えたらしい。
そうでもして時間を稼がないと、産院の面会時間はせいぜい1時間だ。
「家にいさせてもらえばよかったじゃん」と私。
しかし、おばあちゃんとふたりで過ごすのは、病みあがりの心身には無理らしかった。
何も気を使うことないよ〜、甘えさせてもらえばいいんだからと言ったのだが、物静かな京女という雰囲気のおばあちゃんと、共通の話題が思いつかないらしい。
リビングでおばあちゃんとふたり、無言でお茶を飲んでる息子を想像すると、笑ってしまいそうだった。
そこで息子が考えた昼間の時間の潰し方は、なんでそれ?というものだった。
最初の一日は、突然で迷惑をかけてしまった同僚に、お土産を買いに行ったという。
それはだいじなことだ。
そしてもう一日、生まれた子を撮るために持ってきた一眼レフを使いたくて、競艇場に行ったらしい。
そこがよくわからない。
写真を撮りたいなら、付近に名所はたくさんある。
帰宅して、夕ご飯を食べに来た息子が、カメラからスマホに画像を転送していた。
こんなペースで撮ってたらあっという間にいっぱいだなぁと、ひとり言を言っている。
そのとおり、寝ている赤ん坊やその顔、交代に抱っこしている写真でいっぱいだった。
そしてその間に、数々の疾走するボート…。
初めて行った競艇の様子を説明しながら見せてくれた。
何やってるんだか。
子どもが生まれた翌日に競艇場にいたなんて、ダメ親そのものみたいだ。
せっかくだからと、当てずっぽで買った舟券が4千円になったと笑っていた。
そんなことしながらも、妻から頼まれた買い物にドラッグストアにも行ったという。
新生児用紙おむつをレジに持って行くと、何度もこのサイズでいいのか確かめられたと言う。
言われたとおりで間違いないと、初めてオムツを買った様子を話してくれた。
さあ、子育ては始まったばかり。
ホームでもアウェイでも、サポーターは応援したくてうずうずしている。