船の旅
ひとりの日曜日。
テレビをつけて本を読んでいた。
ベースボールと源氏物語のミスマッチな時間が過ぎ、ひととおりチャンネルを変えてからスイッチを切ろうとした。
そこへ、見ただけですぐわかる通販番組が目にとまった。
ジャパネットタカタが!?
生放送で!何売ってるの?
初めて見たのだけれど、それは「船旅」の通販だった。
日本一周と済州島を巡る10日間の旅。
一旦見てしまったら、いくらするかが気になる。
なかなかお値段言わないから、結局最後まで見てしまった。
船旅が好きなカウンセラー仲間が、ひとりでよく出かけると言っていたのを思い出して。
海側のツインルームなら、150万円くらいするのかなと思ったら、そこはジャパネットだ。
全て込みで、399,800円だという。
安い!と思った。
帰宅した夫に話すと、思いのほか食いついてきた。
「いくらだと思う?」という私に、やはり150万と予想したからだ。
しかし、通販番組は良いことしか言わないだろうと、ジャパネットの言わないことを晩酌の肴に、ふたりで想像を巡らせた。
貸切りと言っても、もっと高い設定がないのはなぜ?
全て込みと言うけど、豪華なレストランやバーは別料金でしょ。
(出国税など諸費用や寄港地での食事はもちろん別料金)
スマホで調べてみると、確かに150万円クラスのスイートルームもあったが、既に予約が埋まっている。
行かない(行けない)やっかみもあり、話は尽きない。
下船後のインタビューに答えている人は、ほとんどが70歳以上の老夫婦か姉妹だった。
時間とお金に余裕があり健康でないと、船旅は行けないからだろう。
私は、そのツアーの1人利用の料金を調べた。
通路側の部屋ならさらに10万ほど安い。
ここ20年以上、家族だけでなく仕事でも、常に誰かのためを考えてきた。
そんな私に、自由な船旅のご褒美くらいいいんじゃないか。
そして私の頭は、番組で見た豪華な船内にワープする。
レストランで食事とワインを楽しむ私。
隣の席のご婦人に声をかけられ、一人旅というのに驚かれる。
親しくなるうち、スマホの写真を見せながら老夫婦の孫自慢が始まる。
終わりそうにない話を、私は「まあ可愛いですね」とただ聞いている。
あー、疲れたと部屋に戻るが、ビジネスホテルより狭い窓のない部屋で、本を読むか寝るしかない。
そして、今日の船内での出来事をnoteに綴る。
あれ?予想してたのと違うな…。もっとゴージャスなはずなんだけど?
でもラグジュアリーな世界を知らないから、これ以上想像ができない。
私は、船旅に行きたいのか、行きたくないのか、どっちなんだい?
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