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あれだけ言ってたのに
義母の介護認定に立ち合うため、出かけてきた。
今回が初めてではないので、だいたい想像していたとおりに進み、今回も要支援2が出るのだろうなと思って聞いていた。
幸い義母に認知症の様子は見られない。
聞き取りがほぼ終わるころ、調査員の女性が、
「物がなくなったり、見つからなくて探すことはありますか?」と尋ねた。
すると、義母は少し口ごもってから「ある」と答えた。
そして、まさかの出来事を話してくれた。
不要品の買取り業者が家にきたという。
もちろん突然来たのではなく、「家に使わなくなった靴などありませんか」と電話があったので来てもらったと。
予定の日に、靴箱から出して土間に並べておいたという。
(うぁ…と声が出そうになる)
いくつもの、お義母さんそれダメよという関門をクリアし、業者は家に上がり込んだらしい。
そのあたりでもう犯罪の域では?と思うが、今となっては後の祭りだ。
足が悪くてすぐに動けないうち、タンスを物色され、後から真珠の指輪の箱を不審に思い見てみると、中身がなくなっていたらしい。
義母はあまり高価な物は持っていないので、そんな程度で済んだのだろう。
おぼつかない説明にもっと問いただしたくなったが、もう何も言わずに聞くだけにした。
というより、私もショックな現実を受け止めるのに必死で。
あれだけ夫が気をつけるように言っていたのに。
そんな人のことを、義母は馬鹿にしたように言っていたから大丈夫だと思ったのに。
いとも簡単にやられてしまった。
それも、2回も!?
そういう電話は、はっきり「ありません」ガチャ!と切ってねと言うと、それがなかなか切らしてくれないんだと。
さらに「じゃあ次からは『私おばあさんで一人暮らしだから何もわからない』って言うわ」と。
この言葉、どこかで聞いた…。
そうだ、実家の母も言った。
絶対ダメよ!とそのときは強く言ったのを思い出す。
実は母も怪しかった。
そういう電話がよくかかると言うから、気をつけるように言っていた。
父が他界した後、母は寂しさを紛らすため、高価なおりんを買っていた。
金色に輝くおりん。
こっそりお値段も教えてくれたが、それで寂しさが紛れるならいいと思った。
お盆や法要の時だけ出すおりん。
盗まれたら困るからと気を遣っているようだった。
父の3回忌が済んだころだったか、そのおりんを見かけないので母に聞くと「もう売ったー」と。
母が買取り店舗や貴金属商に出かけることは考えられず、詳しく話さないところをみると、いい加減な金額で買い取られたのかもしれない。
それよりもっと残念なことも想像したが、母が自分で買った物を自分で納得してるならそれでいいと思った。
怒るのも可哀想で、母のプライドもあるだろうから「ふう〜ん」だけで終わった。
義母のこと、夫に話そうかどうしようかと思った。
余計な心配はかけたくない。
でも私のこういう、面倒なことは自分で片付けるところ、ある意味危険なのでは?と思う。
突然の電話に「息子さんが会社のお金を失くして、今日中に振り込まないと…」みたいなこと言われたら、絶対信じないと言えるかどうか。
パパに心配かけないよう自分の口座から、あー恐いこわい!😆
遅くに帰宅した夫に、一部始終を話した。
「あれだけ口酸っぱく言ったのに」と残念そうだ。
お義母さんを責めたらイカンよとだけ、頼んでおいた。
あれだけテレビやポスターなどで啓蒙されていても、後を絶たない詐欺。
義母の話を聞きながら、簡単にできちゃうんだろうなと思った。
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