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「おいしい」はうれしい
先週、子どもたちが帰省したときのこと。
お昼は手巻き寿司か素麺か、サッと出せるものにしようと思っていた。
でも、毎日時間に追われてゆっくり作って食べられない子どもたちには、ザ・お母さんなメニューがいいかもしれないなと、切り替えた。
と言っても手の込んだものではなく、ゴーヤチャンプルをはじめ全然オシャレじゃない夏野菜料理ばかりだ。
お父さんの作った、ピーマン大量消費メニューも並べた。
先に食べ終えた孫のPくんがお昼寝したがらないので、隣の茶の間のカーテンを閉めて寝かしつけることにした。
「だるまさんがね、Pくんはお昼寝するのかな…って見てるよ」なんて、適当なこと言いながらお背中トントンしていた。
しばらくすると、コトンと私の肩に頭をもたれかけ、しめしめ寝た寝たと座布団の上に寝かせた。
添い寝をしていると、隣のダイニングから娘夫婦と夫の話す声が聞こえる。
娘の夫の「これ、おいしい」「美味しいですね」と言うのが何度か聞こえた。
あのメニューの何をそう言ってくれたのかわからないけれど、「おいしい」はとても嬉しかった。
「おいしいと言ってくれてありがとう」とは言えなかったけれど、また今度も普段のご飯でいこうと思った。
その夜、夫とふたりそんな話をしていた。
すると夫は「日ごろはR(娘)がご飯作ってないからかなと思ったよ」と。
え〜!?と思いながら、そうかもしれないなと。
どちらがご飯を作るかは決めてないらしいから。
去年、娘のところへ手伝いに行った時「何か食べたいものある?」と聞くと、「いつも家で食べてたやつ」と言った。
自分では母の味が何なのかがわからなくて「例えば何?」と聞いても、いつもの…としか言わない。
餃子でもグラタンでもない、名前のない家のごはん。
それでいいのかもしれないな。
「おいしい」と言われたのは、何より嬉しいご褒美だった。
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