くちなしの花
くちなしの花の〜
花の香りの〜
(若き日の渡哲也さんの声で再生してください)
🎵お前のような〜 (花ではなかった〜、ごめんね)
梅雨入りも近そうなこの地方、空はどんより湿度高めの朝。
そんな中で、庭のクチナシが咲いているのを見つけた。
くちなしの花の香りが好きだ。
昨日、駅に向かう道の山田さん(表札で知ってるだけ)のお宅でもたくさん咲いていて、いい匂いが漂ってきた。
専業主婦&子育てから、小さく外へ踏み出したのはこんな季節だったなと思い出す。
“女の人の話は長い”発言で総スカンを食らった森喜朗元総理。
でも私が社会に戻るきっかけを作ったのは、あのお方だと感謝している。
(すこしだけね)
国民の誰もがパソコンを使えるようにしよう。
一瞬「はあっ?」と思った発想も、私にとってグッドタイミングだった。
そうして私は、日本全国津々浦々で開催されたパソコン講習のサブ講師として、家の外の社会に戻った。
派遣ながらそこそこいいお給料で、今まで働いた中では一番だったかも。
ただ、時間数は短いし、急なキャンセルはダメ、1年ほどの期間限定だった。
自分にとって遊び道具だったパソコンが仕事になるなんて、申し訳ないような気持ちにもなったが、あれはいい経験をさせてもらった。
子どもを幼稚園バスに乗せ、朝9時までに指定の会場に行く。
クルマだったり、電車と徒歩だったり、たいてい1時間くらいかかる場所だった。
大変だったけど、約束の時間に仕事に着くという当たり前のことを身体に思い出させてくれる日々だった。
そんな時、通勤路にある山田さんちのクチナシに、何度も勇気づけられた。
山田さんも、クチナシも、そんなことは知らないだろうけど、ここで言っておこう。
「あの時はありがとう」
クチナシの香りは20年以上経った今も、あの日の緊張と高揚感を思い出させてくれる。