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引き返す勇気

大袈裟だけれど、不安になったら戻るのはだいじだと思った。

今朝、出勤しようとすると、さっきまで晴れてた空がかき曇り、見る見るうちに暗くなっていった。

そのうえ風が強くなってきた。
車が風に煽られるのがわかる。

右から吹いたかと思えば左から、風が巻いている。

雷雨とは少し違う、突然台風が来たみたいな、珍しく「これ、恐い」と思った。

職場に1時間遅刻しますのメールを送信した頃には、雨が窓を叩いていた。

何なのこれ。

今朝テレビのテロップで「竜巻注意報」と見たような気がするけど、そういう感じ?

とりあえず嵐が去るまで家の中にいることにした。

雨雲レーダーの不気味な赤黒いエリアは、どんどん東に移動していく。

30分ほどすると雨も風も収まったので、外に出た。

さっきまでの暑さが嘘のように涼しくなり、爽やかな雨上がりだった。

まだ時間に余裕はあったが、出勤することにした。
いつもの通勤路には、薬局のポイント5倍デーの旗や青いゴミバケツの蓋なんかが散乱していた。

職場に着くと植え込みの小枝が地面に叩きつけられて、台風の後みたいだった。

あれが酷いと竜巻になるんだろうな。

玄関にいたビル管理の女性から「大丈夫でしたか?」と声をかけられた。
職場周辺もなかなかの嵐だったらしい。

すんでのところで嵐に合いそうになった同僚TさんとM教授が、自宅待機で正解だったよと話してくれた。

山ガールでもあるTさんは、先日山に行ってきたらしい。

涸沢ヒュッテに泊まり、穂高を目指そうとしたのだけれど、雨と霧で登るのを諦めカールをぐるりと回って、あとはお花畑を楽しんで帰ってきたと。

残念…だよね? と言うと、

彼女は、「いや、また行けばいいから」と。

山では決して無理をしないという。

というわけで、山ガールに教えられる、行かない勇気、戻る勇気が、大事だなと思う朝だった。

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御手洗 育/暮らしのエッセイスト
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