11 ヘルプに気付けない
これは中学生の時の話。
自分を軽蔑した話。
学生時代、本当に人に興味が無かった。
部活以外に思い出は無いし、家に帰ってもご飯食べて寝ることしか考えいていなかった。
中学生になって初めて「はぶる」という文化を目の当たりにした。
でも「はぶる」ことにも興味が無かった。
100人が嫌いな人でも、私が嫌いでなければ話す。
逆に100人に好かれていても、私が苦手なら関わらない。
その行為に加担することは無かったし、止めることも無かった。
興味が無かったので。
そもそも誰がそのターゲットなのかすら気付いていなかった。
いつ、どこで、誰に対して行われているかも知らない。
「私、はぶられたことなかったもんな~」と大人になって中学の友達と話していて、中1の時に自分がはぶられていたことを知った。
ちゃんと経験していたらしい。笑
仲良い友達が急に話してくれなくても、他の友達と話すし、教室でいつも寝てたし、放課後も休日も部活だったから気にならなかったんだろうな…。
それか当時は気にしていたけど、もう忘れているか。
それくらい興味がない。
中2の時、クラスにあまり馴染んでない女子がいた。
物静かで真面目で自己主張の少ない子。
小学生の時いじめられていたらしい。
私はその子と違う小学校だし、クラスが同じになって初めて存在を知ったくらいの子。
私の小学校は全員ちゃんとアホで、いじめという概念が存在しなかったので、全くイメージが湧かなかった。
これは本当の話。笑
都内なのに自然豊かな小学校で、運動神経が良くて頭が悪いというのが母校の特徴。
イジメって多少は知識が無いと出来ないこと。
アホの集団の私の学校では、殴り合いの喧嘩が主流だった。笑
女子同士でも1対1の罵り合い。
でもアホだから悪口の質も低い。
そしてアホだから、翌日まで持ち越さない。笑
ご飯食べて寝たら忘れる。笑
私は彼女が嫌いでは無かったので、普通に挨拶するし、席が近くなれば話もする。
ただ、全然プライベートの話はしない。
全く興味がない。
放課後一緒に帰ることも、休日遊ぶことも無い。
連絡先も知らない。
特別好きな訳でもないから。
あと自分から誰かを誘うことも、連絡先を聞くこともしたことがなかった。
本当にただのクラスメイトだった。
1/30の人間。
そんな私に対して、彼女はクリスマスやバレンタインにお菓子をくれた。
誕生日にはおめでとうと言ってくれた。
まあ誕生日当日は創立記念日だから、翌日に言われていたけども。笑
もちろん私は、彼女の誕生日も知らないし、クリスマスやバレンタインにお菓子を友人あげるタイプでもない。
貰うだけだった。
美味しいし、嬉しいから「ありがとう」と言うだけ。
中3になるとクラスが離れた。
それでも廊下ですれ違えば挨拶をする。
「おはよう!」「バイバイ!」くらいだけど。
クリスマス、バレンタインには下駄箱で私のことを待っていて、わざわざお菓子をくれた。
何て真面目の子なんだ!と思っていた。
凄く女の子らしくて感動していた。
自分とかけ離れすぎて「同じ人間かよ。」くらいに思っていた。
友人は「あの子、お前の事好きなんじゃない?」と言っていたが、私には同性を恋愛対象として見ていないので、聞き流した。
もし告白されても「ごめんね。」と言うだけだし。
「お菓子もらえてラッキー!」と喜ぶだけだった。
そして卒業式を迎えた。
彼女とは最後まで同じ距離感。
卒業式で私は大号泣。
こういう時、超感化されるタイプ。笑
鼻水も涙も出し切った!
卒業式の後に校庭で、先生・同級生・後輩と戯れる。
無くなっていく私の制服。
最終的にワイシャツのボタンまで奪われて、身ぐるみを剝がされた。笑
ひと段落したタイミングで、彼女が私の所へ来た。
彼女のお母さんと一緒に。
彼女のお母さんに「ありがとうございました。」と言われ、お菓子を頂いた。
お嬢さんも卒業する立場で私と対等だし、私は何も持っていないし、私の母もここにはいない。
何なら私の母親は随分前に帰って行った。
そもそも、彼女の母とは初対面だった。
私は意味がわからなかった。
何のありがとうかわからなかった。
これどういう状況?と首を傾げた。
「〇〇さんが話してくれて、中学校が楽しかった。」と彼女に言われた。
話してくれたとは、どういう意味?と思った。
正直そんなに話していない。
むしろ全然話していない。
挨拶と必用最低限の会話のみだ。
みんなとコミュニケーションが取れない中で、教室で挨拶してくれたことが嬉しかったと。
…まじか。
全然知らなかった。
全然気付かなかった。
彼女がそんな些細な事でも嬉しかったと思えるほど、クラスに馴染めていなかったこと。
私との上辺の関係でも喜んでくれていたこと。
本当に何も考えていなかった。
自分を軽蔑した。
無頓着さに引いた。
無神経さにドン引きした。
私は彼女に何の思い入れも無く接していただけで、そういう思いに一切気付いていなかった。
私が気付いていたら、彼女はもっと楽しい中学生活を送れたかもしれない。
状況を変えられるほどの力が自分には無いが、嫌な気持ちは少なくなった可能性は大いにある。
「こんな程度のことで喜べるのかよ…」とも思った。
挨拶も雑談も、私にとっては当たり前の日常で、特別な要素が微塵も無い。
私にとっては小さなことでも、その人の物差しは違かった。
この日、この瞬間までそんなことを知らなかった。
思い返してみれば、小学生の時も不登校気味の男子が家まで手作りのチーズケーキをホワイトデーに届けてくれた。
全員に渡した中の1つだったのに。
初めてホールのチーズケーキを食べれたことに大喜びしただけだった。
これも、同じことだったのかもしれない。
無関心もイジメと同じというが、本当にその通りだと思った。
無害ぶって、何もしないのも同罪だった。
罪の意識が無い分、厄介かもしれない。
もしかしたら、私が見ていないところで、本当は嫌なことをされていた可能性もある。
でも私は知らぬ存ぜぬで、自分のペースを崩さなかった。
私はイジメてはいない。というだけ。
私は関係ないと思っていた。
きっと彼女は私と話した教室での話を、ご家族にしていたのだろう。
だからお母さんが、私の所まで来てくれたのだと思う。
「今日寒くない?」とか「あの先生、唾飛んでキモい!」とか本当にくだらないことしか言っていないのに。
どんな気持ちで、私の誕生日を祝ってくれたのだろうか。
どんな気持ちで、下駄箱で私を待っていたのだろうか。
そんなこと1秒も考えていなかった。
私は人に興味がない人では無く、人の気持ちを考えない人だったんだ。
考える努力をせず、気持ちを汲み取らない。
冷たく思いやりの無いだけ。
感謝をしないといけないのは私の方だった。
自分の最低な部分を教えてくれたのだから。
時間は巻き戻せないから、彼女との関係性は何も変わらない。
中学を卒業して、成人式まで会わなかったし。
成人式で連絡先を交換することも無く、今どうしているかも知らない。
でも彼女のお陰で、人の気持ちに気付く努力が出来る。
相手の感情にアンテナを張り巡らせることが出来る。
きっと苦手分野だし、何も変わらないかもしれないけど。
私は色んな人にたくさんのことを教わっている。
本当にアンドロイドのような人間だったので。
誰かに教えてもらわないと、わからないことだらけだった。
人の気持ちも感情も、社会人になった今でも教えてもらっている。
迷惑を掛けたり、嫌な思いをさせてしまいながらも、成長させてもらっている。
こんな私に関わってくれることに感謝をしなければならないと、常々思っている。
そんな優しい人たちの心の声にも耳を傾けられるように生きていくのが、私の目標!
同じ過ちは二度と繰り返さない!