信州蓼科の旅(2)露天風呂で傍受(旅で★深読み)
「蓼科の旅」と言いつつ、第1回は《信州割》のデザインについて辛口批評を書いてしまいました。
自分も利用しておきながら、なんて言い草だ! ……バチが当たるかもしれませんね。
「旅館の夕食が多過ぎて、旅の終わりにはデブになっちゃう!」
と一部関係者の不満もあり、今回はキッチン付きの部屋を朝食のみのプランで予約しました。
冷やした缶ビールも、赤白ワインも持参です。
諏訪インターを降りて蓼科高原のホテルに向かう途中、新鮮な高原野菜がお手頃価格で手に入る、たてしな自由農園に立ち寄ります。
いつも旅の最終日に立ち寄り、自宅でいただく野菜や果物、はちみつなどを買い込むのですが、今回まずはホテルでの夕食用に少々。
最初の2泊はリゾートマンション型のホテルなので、食事はバスに乗って別棟に行かなければならず、その意味でも「夕食付かず」は賢明な選択でした。
ホテルまでの道のりに野生の鹿が2回、姿を現した。
慎重な運転が望まれる。
さて、到着が早かったので、《信州割》の観光クーポン(ひとり1泊につき2000円分)のみ受け取ってエリア内のパターゴルフで勝負!
今回は借り物でなく、持参の「マイパター」を使うことに。
「自分のパターを使うので安くならない?」
とセコく頼むが不発。
冬はスキーゲレンデになるという斜面に9ホール。これでひとり1000円はちょっと高いんじゃないの、だから誰ひとりプレイしてないじゃん!と思うが、《信州割》観光クーポンと、さらに茅野市独自の《茅野割》クーポン(宿で残り10セットを切ったところ、とぎりぎりセーフ)と「クーポン長者」化した今、気前よく使う。
グリーン上以外のラフに鹿の糞がちらほら、さらに、狸か狐か、とにかく小型犬のそれに似た糞も! ── 要注意。
誰も見ていないので何ラウンド回ってもわかりゃしないな、と思いつつ、木蔭がないので汗ぐっしょり、15時過ぎたのでチェックインして温泉へ。
大小ふたつの露天風呂があり、大きな方に浸かって森の木々を眺めていると、小さな方から声が聞こえてきた。
「ハル君は子供だからいいけど、じいじはだめなんだよ」
「どうしてダメなの?」
隣の岩風呂を眺めれば、白髪頭の老人と、3-4歳の男の子が話している。
「ハル君はママと一緒にお風呂入ることがあるだろ?」
「うん、はいるよ」
「子供はどっちに入ってもいいんだよ」
「じいじはダメなの?」
「……そうなんだよ」
どうやら、ハル君は、お風呂がふたつに別れている理由を解明したいようだった。
「ねえ、どうしてだめなの?」
「おとなは別れて入らなきゃいけないんだよ」
「ねえ、どうして?」
私は耳を澄ませた。
《じいじ》は何て答えるだろう?
「……うーん、どうしてだろうねえ」
《じいじ》は困っているようだった。
「ねえ、どうして?」
ハル君は執拗だった。
(それはね……)
と《じいじ》に助け舟を出したい衝動に駆られたが、おそらく、《じいじ》には歓迎されないだろう。
「ハル君はどっちに入ってもいいけれど、じいじはダメなんだよ……」
《じいじ》の答えは堂々巡りだった。
(……うーむ。子供の疑問にはきちんと向き合わなければいけないのでは? ……しかし実際、どう答えるべきなのか?)
「……ということがあったんだ。《じいじ》の説明に期待して傾聴していたんだけど、答えはなかった」
風呂から上がり、部屋に戻って妻に話した。
「《じいじ》はどう答えれば良かったのかな?」
「女湯に入ると欲情する男がいて迷惑だから、じゃないの?」
「うーむ……まあ、そうだけどさ」
あまりにあっさりと言うので、《欲情》が《浴場》と掛けているのかも不明なまま、とりあえず、
「お疲れ!」
と持参のビールで乾杯をしたのでした。
次は……
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