
海峡を越えて欧州側のワイナリーへ マルマラ海沿い街道の旅★2019(18)
よし、今日はダーダネルス海峡の対岸(ヨーロッパ側)に渡ってみようじゃないか、と友人Mが言う。
山の中を走るから4WDで行くぜ、とチャナッカレのガレージに預けてあったオンボロ・ランドローバーに乗り換え、港からフェリーに乗り込む。
海峡を横断し、ヨーロッパ側の街キリトバヒルに渡るフェリー料金は、1台51 TL、ほぼ満車です。
フェリーは相変わらず、車の詰め込み方が適当に見える。
「いーや、ちゃんと指示に従っている」
と言うのだが、そもそもその指示が、こっちこっち、と手をひらひらさせるだけのいいかげんなジェスチャーじゃないの?

キリトバヒル港の近くから、さらに海峡の端(半島の先端)に向かって行ったところに要塞跡がある。チャナッカレ側の要塞跡は公園になっているだけだが、ヨーロッパ側のキリトバヒル城は博物館になっている。

フェリーに乗りこむ時は、まだ係員が指示していたが、対岸に着いて降りるときは、とにかく早い者勝ちの無法状態で、《秩序》に慣らされている日本人はヒヤヒヤであーる。
ランドローバーは外も中も埃だらけで、家を出る時に着替えた方がいいぞと言われた意味がようやくわかる。走りだすとものすごい振動で、どこかが悪いのは間違いなかった。こんな車では、山の上どころか、普通の道を走るのも心配ですがな。
海岸沿いを北に20分ほど走る。ガタガタ震えながら走るランドローバーのすぐ前を、トマトを満載したKIA製小型トラックが右に傾きながら走っている。トマトは籠に入って整然と積まれているが、その上にカボチャが山盛りになっており、ネットで抑えられてもいない。
これは何かの芸当か?

海岸通りから山に入り、深い亀裂の入った急激な坂道を、4輪をロックして登る。登りはまだいいのだが、下りはこの再低速のエンジンブレーキで、ぜったいにフットブレーキをかけないで走る。
登りも下りも非常に怖く、こいつと心中するのはごめんだ、と思った。生半可な4輪駆動では、車輪を取られて無理だろうね。

まあしかし、山腹から海峡を眺め、
「こういう光景を守りたい」
という友人Mには賛同する。
エジェアバトの街に下り、家族経営の大きなワイン農場「SUVLA」のショップに行く。


ショップには美しい庭があり、庭でワインの有料テイスティングができる。

ロゼワイン3種をチビチビやりながらチーズとクラッカーをつまむ。
ウェイトレスは2人が交互に来る。ひとりはやや浅黒く、胸もおしりも大きなトルコ系っぽい女の子、もうひとりはショップに出ていたマネージャー格らしい、(日本流に言えば)白人とのハーフっぽい美人。

ここで飼っているらしい犬や猫がチーズ欲しさに寄って来る。
うーむ。キミたちは、お客さんの《善意》で生活しているのかい?

ご参考までに:
試飲が41 TL×2人分=82 TL;チーズのおつまみが24.5 TLで合計106.5 TL(2300円ぐらいかな)。
ところで私は、ワインは赤のフルボディの辛口が大好物で、一応好きなブランド(もちろん、安い!)もありますが、生産年など詳しいことはよくわかっていません。でも、友人Mは一応ワイン畑を持っているからね。
ということで、きわめて適当に、日本へのお土産に赤白1本ずつ選んで買いました。
帰りのフェリーは待機場所がほぼ満車に近くなるほどの「待ちの列」。おそらくは日曜の夜なので、休日をヨーロッパ側で過ごした人がアジア側に帰るのでしょう。中にはズルして早くから待っていた車の後ろにちゃっかり付く車があり、係員からとがめられている。
この《ズル》に対する厳しさは、《意外》な感もありましたね。
まだこの国のことを、よくわかっていないのかもしれない。