火口縁一周はけっこう怖い、不思議な形の大室山 (山で★深読み)
伊豆の東岸を走っていて、偶然通りかかった《さくらの里》で、しだれ桜やしだれ八重桜の見事さに感激しました(↓)。
桜をめでているうちに気になって仕方なくなったのが、背景にある謎の山です。
高い山ではないのに、木がまったく生えていない。
上空から見た写真を「伊豆・伊東観光ガイド」よりお借りしました。
形はまるでミニ富士山ですが、中央のくぼみは火山の火口であり、木が生えていないのは、毎年2月に《山焼き》をするからなんだとか。
これはやはり、登ってみないと ── 低そうだし(標高580 m)、と思うのですが、リフト乗り場で尋ねると、昔は登れたが今は禁止されているらしい。
仕方がない、リフトで行くか!
上る途中、斜面を見下ろしても、見事に木がない! それどころか、草も《チョロ毛》程度ではないですか。
山焼きは、なんと、700年も続く伝統なんだとか。700年前、というと鎌倉時代末期以来ということになります。
リフトの終点は火口の縁にあたり、すり鉢状の火口の大きさは、直径250 m、深さ40 m。火口の縁をぐるりと1周(約1 km)する、幅2 mほどの舗装された道があります。
この道が、── 私が《臆病者》なのかもしれませんが、けっこう怖い。
火口側も、外側も、けっこう急な傾斜で、うっかり転んだらコロコロコロ、と昔のアメリカン・コメディーのように裾野まで転がり落ちていくこと、間違いなし。
本当にそうなるか、実験したかったけれど、自分を実験台に使いたくはないので想像にとどめることにしました。
ペルーのマチュピチュに行った時、
「あぶねえなあ。日本の観光地なら必ず手すりが設けてあるだろうに」
と思いましたが、大室山はその点、国際スタンダードなのかも。
蔵王のお釜のように、こうした火口跡には水がたまりやすいのものですが、ここは水はけが良いのか乾いており、火口底はアーチェリー場として使われています。
この日は、二組がプレイしていましたね。
大室山は、4000年前の噴火の際に、火口からマグマが吹きあがってできた、《スコリア》と呼ばれる多孔質の石が火口の周囲に積みあがってできたのだそうです。
水はけが良いのは、多孔質だからでしょう。
「ミニ富士山」と書きましたが、ご本体の富士山はもちろん、先日の屋久島もこの大室山も、火山活動でできた地形って、日本に多いんですね。
富士山もそろそろいつ噴火してもおかしくない、と言ってる専門家もいるし、東南海地震もそろそろだということだし、そういう国・地域に住んでいるんだなあ ── と時々自覚しますね。
年齢のせいか、《だから備えよう》よりは、《悔いのないよう、やるべきことをやって》とは思うのですが……なかなか。