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産み分けは可能?

こんにちはポチです🐶
前に友人から「産み分けってできるの?」と言ったことを聞かれました。「できないよ」と話しましたが改めて調べようと思い調べてました☺
見てくださると嬉しいです。

今回はフローサイトメーターと着床前診断は除いています。

  • Y染色体はX染色体の二倍の数がある

  • Y染色体は寿命が短い、X精子は長い

  • Y精子はアルカリ性に強いX精子は酸性に強い

  • Y精子は泳ぐのが早い

こういった内容聞いたことあるかもしれません。
いくつかの論文があったので紹介します✨


ポチの感想🐶

長いので最初に感想です。
まず、Y精子とX精子の数は⑥から変わらなそうです。
Y精子の泳ぐのが早いのは①で否定されてます。②のスイムアップでも差は証明されてないみたいなので、変わらなさそうだなと感じてます。
Y精子とX精子の寿命の差は⑤の論文がパーコールで分離したときの下層はX精子、上層はY精子が多いという前提が正しいと成り立ちますが、⑦の論文から前提が成り立たなさそうだなと感じます。
酸性、アルカリ性でのX精子とY精子の分類は④の論文からなさそうだなと感じています。
現状では着床前診断とフローサイトメーター以外での産み分けは難しそうかなと感じています🐕️

①X 精子と Y 精子に関する根深い誤った情報

Entrenched misinformation about X and Y sperm

Grant VJ. Entrenched misinformation about X and Y sperm. BMJ. 2006 Apr 15;332(7546):916. doi: 10.1136/bmj.332.7546.916-b. PMID: 16613983; PMCID: PMC1440662.

Y 染色体を持つ精子 (Y 精子) は X 染色体を持つ精子 (X 精子) よりも速く泳ぐという広く信じられている考えは1960 年のシェトルズの研究に端を発しているようです。
シェトルズ研究は
・精子の「2 つの異なる集団」を観察し、小さい頭には Y 染色体、大きい頭には X 染色体が含まれている
・頭の小さい精子はより速く移動し、遠いところの卵子を受精させると結論付けています。

多くの研究者が Y 精子は X 精子よりも速く泳ぐと信じた。
コンピューター支援精子分析 (CASA)3が開発されるまで、これを正すことができる信頼できる研究がなかったそうです。

・現在では研究者はヒトの X 精子と Y 精子の間に形態的な違いは見つかっていない。
・成熟した精子もその前駆細胞も、X 遺伝子型と Y 遺伝子型の間には大きな形態的な違いは見つかっていない。
・牛の研究だがY精子は X 精子よりも速く泳がない。
ということがわかっています。

②精子の性別選択方法を評価

Application of modern molecular techniques to evaluate sperm sex selection methods

Flaherty SP, Matthews CD. Application of modern molecular techniques to evaluate sperm sex selection methods. Mol Hum Reprod. 1996 Dec;2(12):937-42. doi: 10.1093/molehr/2.12.937. PMID: 9237237.

FISH を使用した性別選択方法のうち、フローサイトメトリーのみがXまたはYを持つヒト精子の臨床的に有意な濃縮をもたらすことが示されている。
12 段階パーコール勾配法では、X 染色体を持つ精子が臨床上重要ではない程度に濃縮
スイムアップ法では X 染色体を持つ精子も Y 染色体を持つ精子も濃縮されない
アルブミン勾配法では Y 染色体を持つ精子は濃縮されない。
この証拠にもかかわらず、これらの方法の一部は臨床で使用され続けている。

③X 染色体と Y 染色体を持つ精子を選別するための精子頭部容積の違い

Difference in sperm head volume as a theoretical basis for sorting X- and Y-bearing spermatozoa: potentials and limitations

van Munster EB, Stap J, Hoebe RA, te Meerman GJ, Aten JA. Difference in sperm head volume as a theoretical basis for sorting X- and Y-bearing spermatozoa: potentials and limitations. Theriogenology. 1999 Dec;52(8):1281-93. doi: 10.1016/s0093-691x(99)00217-4. PMID: 10735076.

雄牛精子使用
選別済みのX 染色体および Y 染色体を持つ雄牛精子頭部の厚さと面積を比較。

X 染色体および Y 染色体を持つ雄牛精子頭部間の DNA 含有量の差 (3.8%) と一致する体積差を確立しました。
生物学的変動を見つけることはできませんでした。

現時点では、体積に基づいて X 軸と Y 軸を持つ精子細胞を物理的に分離する技術はありません。

④X 精子と Y 精子の移動に対する pH の影響

Effects of pH on the migration of X and Y sperm

Diasio RB, Glass RH. Effects of pH on the migration of X and Y sperm. Fertil Steril. 1971 May;22(5):303-5. doi: 10.1016/s0015-0282(16)38224-3. PMID: 4102480.

ヒトドナーから採取した新鮮な射精精液サンプルを使用。X 精子と Y 精子の移動に対する pH の影響を調べた。

さまざまな pH の培地を含む毛細管を使用。
Y 精子を含む精子は、蛍光染色を使用して識別。
・pH のわずかな変化は、精子の比率に影響を与えるのに効果はありませんでした。
・より酸性の pH で分析したところ、移動に有意な変化はありませんでした。

Y 精子の割合が培地の pH の影響を受けないことを示し、pH の培地の移動による X 精子と Y 精子を区別できる可能性は低いことを示唆しています。

⑤性別選別のためのパーコール勾配による分画前後の精子の運動学と形態: コンピューターによる分析

Sperm kinetics and morphology before and after fractionation on discontinuous Percoll gradient for sex preselection: computerized analyses

Watkins AM, Chan PJ, Patton WC, Jacobson JD, King A. Sperm kinetics and morphology before and after fractionation on discontinuous Percoll gradient for sex preselection: computerized analyses. Arch Androl. 1996 Jul-Aug;37(1):1-5. doi: 10.3109/01485019608988494. PMID: 8827340.

多層不連続パーコール密度勾配遠心分離法は性別選別のために使用されている。いくつかの報告では分離効率が 77% を超えると言われているが、裏付けとなるデータは一貫していない。

性別選別のため 8 層パーコール勾配法の後、上部と下部の分画における精子の頭部、運動性、尾部の長さを研究した。
精子細胞は解凍したドナー標本(N = 20)から採取

・下部のパーコールから得た精子は、上部から得た精子と比較して、運動率が3倍(p < .05)高くなった。
・下部の精子は24時間の培養後も高い運動率を維持した。
・下部の精子は、上部の精子と比較し尾部の長さが短い 。
・下部 の精子の頭部の寸法は上部画分の精子よりも大きかったが、有意差はなかった 。
今回のデータでは精子頭部の大きさの違いを観察することはできず、X染色体に由来する染色体が多いために精子が大きいという推論は成り立たない。

⑥in situハイブリダイゼーションによるX染色体およびY染色体を持つヒト精子の検出

Simultaneous detection of X- and Y-bearing human sperm by double fluorescence in situ hybridization

Han TL, Ford JH, Webb GC, Flaherty SP, Correll A, Matthews CD. Simultaneous detection of X- and Y-bearing human sperm by double fluorescence in situ hybridization. Mol Reprod Dev. 1993 Mar;34(3):308-13. doi: 10.1002/mrd.1080340311. PMID: 8471253.

in situ ハイブリダイゼーション (FISH) を用いて、脱凝縮したヒト精子核内の性染色体を検出した。12,636 個の精子のうち 96% に蛍光標識が見られ、そのうち 47.4% が半数体 X、46.8% が半数体 Y 。
XX 精子の頻度は 0.46% (2 染色体 0.28%、2 倍体 0.18%)YY 精子の頻度は 0.38% (2 染色体 0.21%、2 倍体 0.17%) 
射精液中の X 染色体および Y 染色体を持つ精子の全体的な割合はそれぞれ 47.9% と 47.2% で、予想された 50:50 の比率と有意差はありませんでした。

⑦不連続パーコール密度勾配によるX染色体含有ヒト精子の分離は、二重標識蛍光in situハイブリダイゼーションによって非効率であることが証明された

Separating X-bearing human spermatozoa through a discontinuous Percoll density gradient proved to be inefficient by double-label fluorescent in situ hybridization

Lin SP, Lee RK, Tsai YJ, Hwu YM, Lin MH. Separating X-bearing human spermatozoa through a discontinuous Percoll density gradient proved to be inefficient by double-label fluorescent in situ hybridization. J Assist Reprod Genet. 1998 Oct;15(9):565-9. doi: 10.1023/a:1022590321986. PMID: 9822986; PMCID: PMC3454920.

12 段階の不連続パーコール勾配による X 染色体および Y 染色体を持つ精子の分離効率を評価しました。10人の健康なドナーから採取した液化した正常精液サンプルをパーコール勾配で分離
X:Y比は二重標識FISHで検証
1人の観察者によって盲検的に採点した。
全体の平均標識効率は 99.2% 。
パーコール分離分画 (平均 X:Y 比 = 52.2:46.4) では、対照群 (X:Y 比 = 49.5:48.4) と比較して、X 染色体含有精子が増加したが、X 染色体を持つ精子の濃縮は妊娠前の性別選択における臨床使用には不十分です。

終わり

読んでくださりありがとうございます。
やっぱりフローサイトメーターと着床前診断以外は厳しいかなと感じました。
あきらかに誤情報もあったなと感じています。
また、記事を書きたいのでよろしくお願いします🐾